「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

＜多能工化はチームワークを目指す原則＞

企業規模が小さい時には、すべての社員に多能工化を目指してもらわなけ
ればなりません。ひとつの仕事ができればいいということではなく、あら
ゆる仕事ができるように目指すということです。

社員数が少ない時には職種がある程度分かれていたとしても、職種間で日
によって週によって月によって、忙しさが全く違います。その時に多能工
化が進んでいる組織では、忙しい職種に人が一斉に移動していって仕事を
こなすことができます。

多能工化はそれぞれの社員の優秀さを示すパラメーターとも言えるでしょう。
その会社に５つの職種があったとして、５つの職種をすべてこなすことがで
きる社員がいたら、それは最も優秀な社員といって間違いありません。

このときに最も重要なポイントは、他の職種の社員の仕事がオーバーフロー
して困っている時に、それを助けてあげることです。組織の中では多能工化
がそれを助けてくれることになります。

どんなに隣の社員が忙しく助けを求めていたとしても、それを助けるだけの
技術を持っていなければ、残念ながらそれを実行に移すことはできないのです。
ですから経営者は従業員数が少ない時には、組織にあるすべての仕事を学ぶよ
うに多能工として示さなければならないでしょう。

もっとも、従業員数が少ないときは、特定の職種限定で人を採用していること
も事実です。しかし採用した後では、多能工を目指すように指導教育すべきで
しょう。

これによって、社員は最初は１つの職種ができない、例えば営業しかできない
としても、生産現場の仕事を通じて技術を学ばせるのです。

また生産職の社員も、営業に同行営業などをすることによって、営業の成果を
上げることができるようになったら、これもまた素晴らしいことはないでしょうか。
これが組織全体の最大の成果を実現するのに大きな貢献になることは間違いありません。
　
この多能工化を図ることによって、あることが分かります。他の職種が困って
いる時には、そのスキルを持った人たちが応援に行くことによって、その組織
は最大限のチームワークを発揮することができるということです。

単純にチームワークという言い方をしますが、チームワークを良くするために
は実際にその仕事を応援に行けるスキルを身につけていることが前提です。
困っている人を自分のスキルで応援することが本来のチームワークでなければ
ならないでしょう。

これからは多くの技術を多能工化表に盛り込み、すべての社員が別の職種の仕事
にも挑戦していただきたいと思います。これが組織全体の成果を生み出すことに
なります。チームワークの良い会社は当然ながら生産性が高く、最も高い業績を
上げることが間違いないからです。


　　　＝　この続きは、来月またお送りいたします。　＝