有限会社 サステイナブル・デザイン

5.2「●●対地球」モデルからの脱却(第2部・第5章・第2節)

26.07.21
4バリュー経営
dummy


永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。

第2部:4バリュー実現のための経営技法(各論)(ToDo)
5. 社会の繁栄

5.1「社会課題」リストとしてのSDGs

5.2「●●対地球」モデルからの脱却

5.3ステークホルダーに「●●できることで、まだしていないこと」

※本記事の無断引用・転載・複製・配布等はご遠慮ください。
※予告なく記事内容の訂正・修正・補足等を行うことがあります。

5.2「●●対地球」モデルからの脱却

SDGsは人類の行動計画です。
その冒頭(前文第2段落:外務省仮訳)に、
我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。
とあります。

この中の「誰一人取り残さない」のフレーズがSDGsの象徴としてよく引用されいますが、どういう意味合いでしょうか?

なんとなく、可哀そうな・恵まれない人々を放っておかない、のようにとらえている方も多いかもしれません。

2030アジェンダ全体として、「すべての人々の人権を実現」すること(前文第3段落:同上)を目指していますから、そういう意味で、誰一人取り残さない、という理解は間違っていません。

しかし、英文で読んでみると、ちょっと違うニュアンスも感じられるかもしれません。先ほどの赤字のところ、英語ではこうなっています。
As we embark on this collective journey, we pledge that no one will be left behind. 

"collective journey"が「共同の旅路」と訳されているわけですが、collectiveは「集団的」ですから、「みんな一緒に行くよ」というニュアンスが感じられます。

つまり、誰かほかの人たち、頑張ってね、と旅立つ船に手を振るだけの人はいないよ、みんな一緒にこの船に乗り込むんだよ、ということですね。

すぐ後に、
全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得て(前文パートナーシップの項:同上)
と書かれていることとも整合します。

そういうわけで、事業者も、「全てのステークホルダー及び全ての人」の一員として、この人類の行動計画の推進に「参加」することが求められているわけです。

ただ、そうはいっても、1つ1つの会社の経営資源は限られています。どんな巨大企業であっても、1社単独で全地球・全人類83億人の人権を実現するだけの力はありません(そんな企業があるなら、ぜひ、今すぐ、やってほしいですね)。

ここで「SDGsは素晴らしいことだが、わが社にできることはない」と思考停止してしまうと、どの会社も、できることはないという結論に至ります。

これは、ある意味で、「SDGsなんか知らない・関わらない・関わっても意味がない」という立場を正当化するのに便利な理屈です。

私は、このような論法を「1社対地球」(または1人対地球)モデルと呼んでいます。

実はこのモデルが「ある」と思ったのは最近のことではありません。2003-2006年度(立教大学)、2018-2019年度(関東学院大学)で非常勤講師を務めたときに、期末のレポート課題として、「環境問題を解決するための提案」を書いてもらっていました。

提出されたレポートを読んでみると、大きく2つの傾向があるように思われました(12~16年の時間差がありますが、同じ傾向でした)。

◆立場1:環境問題は大切だが、私にできることには限りがあるので、できる範囲のことをコツコツやるしかない。
◆立場2:環境問題は大切だが、私にできることには限りがあるので、国連とか世界政府とかが、一網打尽に規制をかけるとかすればいい。

どちらも、自分1人の無力感を前提としているわけです。

そこで私が感じたのは、1人と地球の間には何もないのか?ということです。
人は社会的動物と呼ばれるように、様々な種類・様々な大きさの集団に所属して生きています。そして、1人ではできないことを、人々が協力して実現しています。

大学生は、家族の一員であり、大学の一員であり、部活やサークルのメンバーであり、やがては社会人として会社に所属して働いていくだろう、ということは、当時の大学生たちもわかっていたはずですが、なぜかその視点が環境問題の解決という文脈では出てこないのです。

当時、これは大学生になるまでの環境教育に大きな欠陥があるな、と思ったわけです。理科的な環境問題の情報ばかりで、環境問題を解決するための社会科の思考がない、または大きく欠けている。しかしやがて、それは大学生に限らず、ずっと上の年代も同じで、多くの人が、知らず知らずに1人対地球、1社対地球モデルの思考になっていることに気づきました。

不思議なのは、ビジネスにおいて、全地球・全人類を顧客化しようと本気で考えている人はほぼいない(GAFAとかはもしかしたらそうかもしれませんが)し、そのことを気にかけたり気に病んだりしていないのに、環境問題とかSDGsとかの話になると、急に全地球・全人類のことが気になり始めるということです。

このモデルがもたらす無力感を脱するためにはどうすればいいのか?

答えは難しいことではなくて、2030アジェンダに即していえば「パートナーシップ」、1人、1社でできないことは、協力してやろう、ということですね。

実際、何か物事を成し遂げようとするときには、人の力を借りますよね。
本日のメルマガの冒頭で触れた「おまつり」も、多くの人・組織の力を借りて50年、継続してきました。

あなたの会社のパートナは誰ですか?

★ご感想・コメントお待ちしてます➡こちらからどうぞ!
★無料相談ご希望の方は➡日程調整フォームからどうぞ!