有限会社 サステイナブル・デザイン

「経営課題」としての環境問題(第2部・第4章・第1節)

26.06.02
4バリュー経営
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永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。

第2部:4バリュー実現のための経営技法(各論)(ToDo)
4. 健全な環境

4.1 「経営課題」としての環境問題

4.2 基本の環境マネジメント:負荷軽減・環境安全・公害防止

4.3 21世紀の3大課題:脱炭素・循環経済・生物多様性

 

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※予告なく記事内容の訂正・修正・補足等を行うことがあります。
※20260602一部加筆修正

4.1 「経営課題」としての環境問題

世の中には、たくさんの問題があります。社会問題と呼ばれたり、社会課題と呼ばれたりします。「社会課題 リスト」で検索すれば、
・日本財団:日本の社会課題一覧
・三菱総合研究所:社会課題リスト2025
などがすぐに出てきますし、そもそも
SDGs17ゴール・169ターゲット
は、世界共通の社会課題リストといえます。

問題は、「誰が」社会課題に取り組むのか

SDGsの「誰ひとり取り残さない」のキャッチフレーズを見聞きしたことがある方は多いと思います。

これは、「すべての人々の人権を実現」するという2030アジェンダの目的を言い換えたものです。半分の人々だけの人権の実現、10%の人々だけの人権の実現を目指した場合、残り半分や90%の人々は人権をあきらめてね、と言われるわけですから、全員が納得するわけにはいかないですね。

ほぼ誰も読んでいないと思われる2030アジェンダ(その中の目標パートとしてSDGsが入っています)の前文に、
・「我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。」外務省仮訳1ページ目、前文第2段落の最後)
・"As we embark on this collective journey, we pledge that no one will be left behind. "英語
とあります。

外務省仮訳では「共同」と訳されているところ、英語では"collective"ですが、本来は「集団的」という意味合いです(根拠のない推測ですが、集団的自衛権という言葉を想起させると思ってか、共同にしたのでしょうかね)。

超砕けていえば、「みんな一緒に行こうぜ!」ということです。これは、誰も置いてけぼりにしないということですが、「行ってらっしゃい!がんばって!自分は関係ないけど!」と見送る傍観者も残さないよ、ということでもあります。

2030アジェンダの宣言52段落では、このように明記されています(出典は同上)(太字は筆者による):
・「我々の旅路は、政府、国会、国連システム、国際機関、地方政府、先住民、市民社会、ビジネス・民間セクター、科学者・学会、そしてすべての人々を取り込んでいくものである。」
・”Our journey will involve Governments as well as Parliaments, the UN system and other international institutions, local authorities, indigenous peoples, civil society, business and the private sector, the scientific and academic community – and all people. ”

経営との関連でいえば、「うち、民間の営利企業だから、関係ないですわ」というスタンスは、なしにしてくださいね、ということです。

・・・とはいうものの。

現実問題として、世界共通とか、日本全体の社会課題に対して、民間企業1社でできることは微々たるものですね。与えている影響も微々たるものです。

そこで、「わが社1社ががんばったところで・・・」から、「やってもしかたがないし」・・・「やらなくてもいいよね」・・・「そもそもやるべきではないんだよ」・・・と、"セルフ・サラミ戦術"が発動されていきがちです。
※サラミ戦術というのは、サラミを薄切りにするように、少しずつ敵の力を削いでいき、最終的には消滅させてしまう戦法のこと
※"セルフ・サラミ戦術"というのは、これをヒントに私が思いついたもので、「うちなんか、たいしたことないですから」と自分で自分を切り離して部外者・局外者・無関係者の位置に置こうとする作戦。面倒なことから逃げたいときに、よく使われますね、この言い訳!

単独で一挙に全世界を変えられるような会社はありませんから、実はこの論法、GAFAでも、トヨタでも、どんな大きな会社でも使えます。

そして、みんながこの論法を持ち出すと、(あの会社がやらなくていいなら、うちだって・・・の連鎖が生じて)誰もやらなくていい、の結論になるので、「全員取り残される」(Everyone will be left behind)、現状は何も変わらない、ということになります。

そうならないためには、、、
「世界」の定義を調整することが重要です。

・世界=地球全体、世界人口83億人
と定義すると、セルフ・サラミ戦術の出番です。

しかし、この世に存在している限り、誰にも何の影響も与えていない・誰からも何の影響も受けていない、という会社はありません。
そこで、サラミの大きさに合わせて、
・世界=自社の影響力の及ぶ範囲・自社が影響を受けている範囲
と定義を変更してみたら、どうでしょう。言葉が同じだと混乱しますから、仮に「自社ワールド」としてみましょう。

実質的に、あらゆる事業活動はこの「自社ワールド」の中でのみ行われているわけです。

わかりやすくいえば、「商圏」ですね。前にも書いたかもしれませんが、私の実家は小売酒屋、その商圏は半径700mといったところでした。

また、扱っている商品の「サプライチェーン」を川上に問屋さん、メーカー、原材料生産者、とたどっていくと、国内でも広域ですし、海外にも広がります。その過程で、環境・社会に様々な影響を間接的に与え、また間接的に影響を受けています。

マーケットを広げれば「自社ワールド」は広がります。取り扱う商品・サービスが変われば「自社ワールド」も変わります。そのようにして、どの会社も「自社ワールド」とかかわり、「自社ワールド」を変え続けています。

さて、環境問題は、自分が原因で他人に悪い影響を及ぼす「自業他損」の構造でした。この構造から完全に無縁といえる会社はありません。内容や程度は千差万別ですが、多かれ少なかれ「自社ワールド」の環境に影響を与えていることに間違いありません。

そうであれば、その内容や程度に応じて、「自社ワールド」における「自業他損」をできるだけ少なくし、できれば「自業他得」に変えていくことは、会社の永続を考えるならば、どの会社にも求められることなのではないでしょうか。



そう思うか、思わないかは、自由です。

ただ、どちらであるにせよ、経営者の考え・態度・姿勢が事業活動に反映され、「自ワールド」からそれに見合った評価を受けることになります。

私はエコアクション21(EA21)という環境経営システムの審査員を20年続けています。この認証に取り組み・維持している会社の経営者は、本音ではいろいろ思うところはあるにせよ、、、環境問題に関して、自社のできることはやるべきだ、そのために必要最低限の経営資源は投入する、という姿勢で経営判断を下しているわけです。

地球・全人類の前に、まずは「自社ワールド」で「できる範囲でベスト」を考えましょう。

あなたの会社は、どんな自業他得を行っていますか?

私は自分自身の専門家としての理念を、「環境菩薩」として定義し、
・環境問題で苦しむ人のいない世界をつくる
ことを目指しています。そのために、
・環境問題を生む人・仕事・事業・会社をなくします
・環境問題をなくす人・仕事・事業・会社をふやします
を使命としています。

EA21の審査業務は、「環境問題をなくす人・仕事・事業・会社をふやす」の一環として位置づけています。これ、私なりの「できる範囲でベスト」です。

次回は、経営課題として取り組む環境問題の、ベーシックなところを解説していきます。

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