財務と非財務が融合した「●●経営計画」の12ステップ(第1部・第3章・第2節)その3
永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。
第1部:永続戦略としての4バリュー経営モデル(総論)(Plan)
3. 4バリューを実現する経営計画の作り方
3.1 ●●年先のビジョンから今の経営を考える
3.2 財務と非財務が融合した「●●経営計画」の12ステップ
3.3 自社の過去・現在・未来を表す「コンセプトブック」
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3.2 財務と非財務が融合した「●●経営計画」※の12ステップ(続き)
(3)経営計画:望む未来への道筋
現状把握=会社の過去~現在の事実と解釈(Fact&Intaepretation)
経営方針=望む未来(Where there is a will、のwill(意志))
が明確になると、
望む未来-現状=ギャップ(差)
を定義することができます。
カーナビでいえば、現在地と目的地の設定ができる状態ですね。どんなに優秀なカーナビでも、どちらか一方だけではルートを算出することはできません。また、現在地はGPSの電波さえつかめれば正確にわかりますが、目的地は「北の方」「●●県」「●●市」など漠然としていると設定が完了しません。「●●県●●市●●1-1-1」と、住所を特定する必要がありますね。
望む未来は、カーナビの目的地設定における住所の特定と同じくらい、具体的であればあるほど、ギャップが明確に定義できます。
ただ、ギャップを眺めていても埋まりませんので、次のステップは、どうしたらこのギャップを埋めて、現状を望む未来へ近づけることができるだろうかと考えることになります。
この、「現状を望む未来へ近づける」ために必要なことを文章・数字・図解でまとめ「望む未来への道筋(Way)」としてまとめたものが経営計画となります。PDCAのPは、いきなり誕生させることはできないのです。
ビビビっと直感して啓示がおりてくれば、ここまで噛み砕いてきた①~⑦のステップなしに、⑧長期ビジョンから始めることができます。1人会社で自分が食べていければいいというだけならば、社員に説明し理解してもらう必要もないのでそれでもかまわないのですが、資金調達したり協力者を集めていくとなると、「なんで?」「どうなりたいの?」「何がしたいの?」の質問に答えられる必要が出てきますね。
これ、英語にするとWhy?How?What?です。サイモン・シネック氏提唱のゴールデン・サークル理論、「WHYから始めよ」(昨年11月に改訂版が出ていました)で説かれているとおり、ことを起こそうと思ったら、この3点をこの順番で説明できるようにしておくのは最低限の準備です。
※話がそれますが、これはちょっとした企画提案や日常業務の改善提案でも同じです。準備不足の提案者にとって、「なんで?」「どうなりたいの?」「何がしたいの?」は意地悪な質問に聞こえるかもしれません。しかし提案を受ける側からすると、それも説明できないようでは賛成も反対もできないよ、せめてそのくらいは準備してね、と思うところです。
というわけで、経営計画を具体化するためのステップです。ちなみに、経営計画「書」のひながた・テンプレートは、検索すればザクザク出てきます。
ただし、「統合」経営計画なので、非財務面の目標とアクションプランを最初から組み込んでおくことがポイントです。検索して出てくるひながた・テンプレート類では、経営課題までは非財務面も含めた分析や記述を入れられるパートがあると思います。
当社は認定経営革新等支援機関であり、本書の予定タイトルは「永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~」ですから、非上場・中堅・中小企業向けの公的経営支援制度の活用という実利にもつながる「技法」として解説しますね。
⑨経営課題の明確化
・Q:会社の長期的な課題は何か?
➡組織として永続していくために変えるべきこと・変えないべきことの明確化
・Q:会社の当面3-5年(中期)の重点課題は何か?
➡具体的に中期計画で取り組む経営課題への落とし込み
★私の好きな言葉は「ゆく河の流れは絶えずして しかも元の水にあらず」(方丈記)、「不易流行」(松尾芭蕉)、「変わらないために変わり続ける」(一風堂が有名ですね)です。座右の銘にしては多すぎますが。
★長い目でみれば変わらない・変えてはいけないものがある一方、その時その場に応じて臨機応変に変えるべきこともある、という意味です。この見極めを間違えると「ゆく河の流れは絶える」ことになります。当然、会社ごとにその答えは異なるわけですが、自社の正解を間違えないために、①~⑧までのステップの作業を踏んでおくことが必要かつ重要です。
⑩中期目標設定(非財務・財務)
・Q:会社の非財務面の目標は?
➡3-5年後に目指す目指すアウトカム・インパクトの定義・定量化
・Q:会社の財務面の目標は?
➡3-5年後に目指す決算書の姿(貸借対照表・損益計算書)と資金繰り計画
★単なる社会貢献でも単なる売上利益追求でもなく、(実際に活用するかどうかは別として)資金調達の手段としてサステナビリティ・リンク・ローンにおいて必要となる野心的な目標設定(SPTsといいます)を行います。
★現状との対比において、3-5年後のロジックモデルを作成すると、インプット・プロセス・アウトプットのパートがおおむね財務面、アウトカム・インパクトのパートがおおむね非財務面の目標を表現することになります。
★30年後が月面着陸とすれば、3-5年後はその前段として宇宙空間に到達するロケット打ち上げ、といったイメージですかね(アポロ計画は10年で月面着陸を目指しましたが)。
⑪イノベーションプラン
・Q:会社の組織面に必要なイノベーションは?
➡CSF:コーポレート・ソサエティ・フィットのための組織変革
・Q:会社の事業面に必要なイノベーションは?
➡既存商品・サービスのPMF:プロダクト・マーケット・フィット+新事業活動
★同じことを同じように繰り返すならば目標も計画はいりませんし、イノベーション(経営革新)も不要です。会社の永続につながる中期目標はおのずと野心的になっているはずですから、その達成にも野心的なイノベーション(経営革新)が必要です。
★これを絵空事・抽象論ではなく、経営革新計画・経営力向上計画といった国認定の経営計画のフォーマットを念頭に置きながら、国・自治体の各種補助金、雇用関係助成金や税制優遇措置の最適活用を視野に入れて作りこんでいきます。ちなみに、これらの制度はおしなべて、計画期間を3-5年としています。
★また、背伸びし過ぎず無理のない範囲で、補助金申請において加点対象や補助率割り増しの対象となる宣言・登録・認定や条件のクリアにも取り組むとよいでしょう(カタチから入るという意味でも)。
★参考までに、最近は、脱中小企業・中堅企業輩出の観点から100億宣言企業向けのギガサイズ(上限50億円)・メガサイズ(上限5億円)の補助金も用意されていたりします。もちろん、補助金ですから補助金と同額(1/2補助の場合)や倍額(1/3補助の場合)の自己負担があり、先に払って後で一部を補助してもらうので、補助金額が大きければ、先立つもの(資金調達力)もそれだけ必要です。
⑫事業計画(単年度)
・Q:今期(来期)の到達目標と達成計画は?(非財務)
➡イノベーションプランの当期到達点
・Q:今期(来期)の必要利益目標は?(財務)
➡3-5年後に目指す決算書から逆算した根拠のある必要利益目標
★ここまでくると、中期計画(中期目標・イノベーションプラン)の第一歩・初年度としての目標・達成計画への落とし込みとなります。3年計画であればホップ・ステップ・ジャンプのホップに相当します。実際の塩梅は難しいところですが、「現状の延長上では達成できない程度に野心的ではあるが、まったく達成不可能ではない水準」を目指します。
★売上は見積請求で誰にでもわかりますが、利益は計算しないとわからないし、結果論なので、どうしても売上目標でマネジメントしがちです。しかし重要なのは最後に会社に残るお金(税引後当期純利益)なので、これを確保するために、自社のコスト構造から必要な粗利、売上を逆算して算出します(キャッシュフローコーチングの基本手法)。
これでようやく、30年後の長期ビジョンから中期計画を経て、単年度の損益計画までたどり着きます。12ステップを1枚の図にまとめると、こういうことになります↓。
あなたの会社の望む未来への道筋は設計できていますか?
次回は、12ステップの成果をまとめた「コンセプトブック」について。
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