有限会社 サステイナブル・デザイン

財務と非財務が融合した「●●経営計画」の12ステップ(第1部・第3章・第2節)その2

26.05.05
4バリュー経営
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永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。

第1部:永続戦略としての4バリュー経営モデル(総論)(Plan)

3. 4バリューを実現する経営計画の作り方

3.1 ●●年先のビジョンから今の経営を考える

3.2 財務と非財務が融合した「●●経営計画」の12ステップ

3.3 自社の過去・現在・未来を表す「コンセプトブック」

 

※本記事の無断引用・転載・複製・配布等はご遠慮ください。
※予告なく記事内容の訂正・修正・補足等を行うことがあります。

3.2 財務と非財務が融合した「●●経営計画」※の12ステップ(続き)

 前回、12ステップの最初の4ステップ・8つの質問をお伝えしました。
 続きに進む前に、、、本節の「●●経営計画」の「●●」には、どんな言葉が入るでしょうか?
・・・
・・・
・・・
 前段に「財務と非財務が融合」とありますから、なんとなく想像がつくと思いますが、「統合」です。これ、私がそう考えただけなので、別の表現もありえるかなと思いますが、この言葉にしたのには理由があります。
 上場企業を中心に多くの企業の「統合報告書」が発行されるようになってきました。株式会社宝印刷D&IR研究所 IR/サステナビリティ研究室の調査によると、2025年1年間に統合報告書を発行した企業数は1214社だったそうです。
 統合報告書は、財務と非財務の両面から企業の活動の実態と価値創造のストーリーを伝える媒体です。実態の部分は過去~現在の情報、価値創造の部分は未来にかかわる情報ということになるので、PDCAサイクルでいえば、CAの結果をまとめた情報ともいえます。
 しかし、ほとんどの場合、財務と非財務の両面か統合された計画(P)がないのに、結果(CA)だけ統合して報告するのはそもそも無理があります。というわけで、最初から、財務と非財務の両面か統合された計画、つまり「統合経営計画」を作りましょうよ、というのが私からのご提案。あくまで、統合報告との対で統合経営計画ということで、M&A後の経営統合という文脈ではありません。
 ※・・・と考えて、目次段階では「経営●●計画」としていましたが「●●経営計画」に変更しました。
 では、12ステップの続きに参りましょう。

(2)経営方針:望む未来

 Where there is a will、のwill(意志)を示すということで、望ましい未来から、少し表現を変えました。
 
⑤パーパスの定義(または再確認)
・Q:会社は何のために存在しているか?
 ➡創業時の理念、現在の経営理念の再確認(または改めて言語化)
・Q:会社がなくって困る人は誰か?なぜか?
 ➡誰に・何に責任を負っているか(ステークホルダーの再確認)

「パーパス」とは会社が存在する理由。創業時、とくに理念は掲げていなかったとしても、存続年数を重ねていくにつれ、次第に経験則的に「これが大事」というものが見えてくるものです。端的に言えば「社長の口癖」に顕れてきます。
また、会社は会社のために存在するわけではなく、誰かの・何かのために存在します。なくなって困る人がいなければ、会社は存在する理由がありません。言い換えると、会社はその人々に対し存続し続ける責任を負っていることになります。それこそが、会社が永続を目指す目的となります。
ただ、時とともに、社会も会社も、会社で働く人もステークホルダーも変わっていきます。そこで、この部分は経営者と社歴・職種等の異なる多様な社員による社内ワークショップで、自社理解・自社認識をそろえていくことが有効です。

⑥アウトカムの定義(ステークホルダーへの良い影響力の発揮)
 この項目の「アウトカム」、次の項目の「インパクト」の部分は、「社会的インパクト評価のロジックモデル」のフレームを活用します。各種解説がありますが、それらを参考に、私の場合は、下図の5段階に整理しています。



 ざっくり、会社が社会の役に立ち、社会が会社を必要とするから、会社が存続できます。
 左の3段階は会社経営の分解です。会社は、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を投入(インプット)して生産・販売などの事業活動(プロセス)を行い、商品・サービス提供の対価として売上などの事業成果を得ます(アウトプット)。
※ここまでの分析は(1)現状把握の対象です。
 わかりづいらいのが右の2段階ですが、ここでは、顧客など特定のステークホルダーへの価値提供をアウトカム、究極、人々が大切にする価値観への貢献をインパクト、と整理しています。
 たとえば当社の場合、以下のような感じになるでしょうか。

■経営資源(インプット):経営者の知識・経験・ノウハウ・スキル等
■事業活動(プロセス):コンサルティングおよび教育研修事業
■事業成果(アウトプット):顧客数・研修回数・動画や書籍の販売数等とこれらに伴う売上・利益
■ステークホルダーへの貢献(アウトカム):経営力向上(法人)と経営者・社員の能力向上(個人)
■人々の価値観への貢献(インパクト):永続企業の輩出

 ロジックモデル自体は普遍性がありますが、自社にあてはめた場合の結果は、同地域・同業種・同業態・同規模であっても、必ず会社ごとに異なります(そうでなければ、その会社が存在する理由がありません)。

・Q:自社の商品・サービスの本当の価値は?
 ➡UVP(ユニーク・バリュー・プロポジション)の明確化
・Q:自社の経営資源で満たせる可能性があるが、まだ満たしていないニーズは?
 ➡市場とステークホルダーの変化から価値向上の機会を発見

UVPは、競合他社にはできない、自社だけが提供できている価値を意味します。同じような市場客に同じような商品・サービスを提供していても、自社の顧客と他社の顧客は異なります。自社の顧客に選ばれている理由を突き詰めることで、UVPを明確化します。
ところが、時とともに市場環境は変化します。世の中には情報があふれかえっていますが、自社の事業活動に大きく影響する可能性のある外部要因とその変化の動向を把握・評価することが必要です。そのうち機会の面から、自社の経営資源で満たすことができる可能性があるが、まだ満たしていないニーズを見出し、自社の価値向上の機会を発見することが重要です。

⑦インパクトの定義(社会への良い影響力の発揮)
 一般的なロジックモデルにおいてわかりにくいのが、アウトカムとインパクトの違いです。私の場合は、会社の影響力の及ぶ先・範囲に着目して、特定のステークホルダーへの貢献をアウトカム、不特定多数の人々が大切にする価値観への貢献をインパクト、と整理しています。
 先の当社の例だと、「経営力向上(法人)と経営者・社員の能力向上(個人)」というのは、あくまで顧客への貢献です。
 その先にあるのは、自分が創業した(継いだ)会社をつぶしたくないという多くの経営者に共通する価値観、自分が働く会社には成長発展してほしいという多くの労働者共通の価値観への貢献であり、これを多くの企業が実現できれば、「永続企業の輩出」ということになります。当社は究極、これに対して良い影響力を発揮したい。
 これをSDGs17ゴールにあてはめると、、、当社は
■ゴール8:働きがいも経済成長も(すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する)
に貢献する会社だ、ということになります。

・Q:会社は究極、何に対して良い影響力を発揮したいのか?
 ➡会社がコミットする社会共通の価値観を明確化
・Q:会社が貢献するSDGs17ゴールはどれか?
 ➡世界の共通言語であるSDGsとの関連性を明確化

ここまでくると、客観的事実というより、それをどう解釈するかの問題になってきます。たとえば、松下幸之助に、「ぼくは婦人を解放した」と語った、という逸話があります(1961年)。それに先立つ1957年の広告では「地球上十四億の女性の中からひとりえらんだあなたの奥さま」「家事の苦労から解き放つのが家庭電化」「家事の苦労から解き放つのが家庭電化」。この中に、アウトプット・アウトカム・インパクトが凝縮されています。今風にいえば、インパクトはSDGsゴール5:ジェンダー平等の実現、ということになります。

⑧長期ビジョンの定義

 ⑤⑥⑦の検討を踏まえたまとめとして、結局、わが社はどうなりたいのか?30年後の理想の姿として長期ビジョンを定義します。
 別の言い方をすれば、ゼロからいきなり長期ビジョンをつくることはできないので、⑤⑥⑦で思考をときほぐし、検討材料を集め、集約プロセスを踏む、ということでもあります。
 長期ビジョンの時間軸は、とても現在の延長上では考えられない、自分も社長ではいなくなっているであろう未来ということで30年を推奨していますが、●●周年など周年の節目に合わせたり、2050年などキリのよい区切りに合わせてもよいでしょう。
 当社の場合、2002年創業で、2052年が創業50周年となりますので、これを目指します。具体的には来年(2027年)で創業25周年なので、25周年→50周年の25年で長期ビジョンをつくります(大筋はできていますが1年後にはかなり変わるかもしれません)。
 ちなみに2052年に私自身は84歳を迎え、平均寿命からすると、だいたいその辺で人生終了見込。個人としての残り人生ビジョン(どのように生き、どのように死を迎え、後世に何を遺すか)を考えるのと表裏一体です。

・Q:会社の30年後のインパクト・アウトカムは?
 ➡理想とする30年後の姿(非財務面)
・Q:会社の30年後のアウトプット・プロセス・インプットは?
 ➡理想とする30年後の姿(財務面)

長期ビジョンの構成要素としてロジックモデル(5段階)、インパクト・アウトカムの着眼点として4バリュー(人生幸福・永続企業・社会繁栄・健全環境)を活用するとよいでしょう。

あなたの会社の望む未来は定義できていますか?

次回は、望む未来への道筋(Way)の4ステップについて。

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