「倒産理由第1位=販売不振」は本当か?(第1部・第2章・第1節)
永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。
第1部:永続戦略としての4バリュー経営モデル(総論)(Plan)
1.非上場・中堅・中小企業にこそ必要・重要な「リスクと機会」のマネジメント
2. 会社の「社会●●性」が存続可能性を左右する
・「倒産理由第1位=販売不振」は本当か?
・CSR(企業の社会的責任)のC(コーポレート)の意味
・会社の「社会●●性」こそが持続可能な経営の本質
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2. 1「倒産理由第1位=販売不振」は本当か?
あまり聞きたくない・したくない話題ですが、東京商工リサーチや帝国データバンクといったリサーチ会社が、毎月、倒産に関する情報を集計し公表しています。
昨今では、人手不足倒産や黒字倒産、後継者難倒産などのトピックスもありますが、伝統的に?倒産理由の圧倒的多く(8割)を占めるのが「販売不振」です。
調査フォーマット上、「販売不振」という項目になっていますが、当然そこまで至るには、理由があるはずです。突き詰めていけば「販売不振」は現象であり、原因ではなく結果です。
たとえば、新型コロナパンデミックで、観光・飲食関係の業界は、瞬時にお客さんが消え、需要が瞬間蒸発して「販売不振」に見舞われました。これは外来急性の外部要因の例ですが、想定外の市場環境の急変・激変が原因で販売不振どころか販売不能の状況に見舞われてしまったわけです。当社もいくつか、受注していた対面研修がなくなったりしました。
しかし、外部要因といっても、こうした急性のものばかりではありません。通常、BCP(事業継続計画)の対象とはなりませんが、新技術やイノベーション、強力な競合の出現などによっても「販売不振」は生じます。
当社のようなコンサルティングや教育研修事業にとっては、生成AIは使いこなせれば新たな価値提供創出の機会でもありますが、あっという間に知識・情報・ノウハウ・スキル・ツール・教材が陳腐化させられてしまうリスク要因でもあります。のんびりしていられません。
前回記事では、皆既日食のたとえを使いましたが、皆既日食は永遠ではありません。というより、ほんの数分の出来事で、すぐに重なりは減り、日食は終わってしまいます。市場ニーズや顧客ニーズにぴったり合っていたかに思えた製品やサービスも同じで、あっという間に「ズレ」が生じて、重なりのない「乖離」した状態に至ると、「販売不振」ということになるわけです。
製品サービスのレベルだけでなく、ビジネスモデル、事業活動、そして組織そのものにも、同じようなことが言えます。それがこの章の主題でもあります。
顧客ニーズと商品サービスが、皆既日食のようにぴったり重なっている状態を実現するための活動を「プロダクト・マーケット・フィット」(PMF)と呼ぶことをご紹介しました。
これをヒントに、私は、社会の求める価値と会社の提供する価値が、皆既日食のようにぴったり重なっている状態を実現するための活動を「コーポレート・ソサエティ・フィット(CSF)」と呼んでいます。覚えていただければ幸いです。
たとえば、採用。労働市場、求職者のニーズと、会社の採用に対する考え方や処遇、制度などに「ズレ」が生じ「乖離」した状態になっているとしたら?
たとえば、ESG。投資家やステークホルダーの要請と、会社のESGに対するスタンスや方針、活動などに「ズレ」が生じ「乖離」した状態になっているとしたら?
たとえば、コンプライアンス。法令遵守だけでなく、その会社にふさわしいと期待されているコンプライアンスのレベルと、会社のコンプライアンスに対する考え方や遵守レベルに「ズレ」が生じ「乖離」した状態になっているとしたら?
社会というのは、実態としては人々で構成されています。会社も、実態としては人々で構成されています。社会と会社の間に「ズレ」が生じ「乖離」した状態があるとしたら、社会を構成する人々と、会社を構成する人々の考えや行動が違うということです。
これを放置しておいたら・・・会社は人々から支持され、応援されそうになく、中長期的にみて、存続可能性は下がっていきそうです。どんなに製品サービスがよいとしても。
もちろん「ズレ」が生じること自体を防止できたらよいですが、人々の変化を直接コントロールすることはできません。「ズレ」が生じるのはやむを得ないこととして、それを感度よく察知して、会社(を構成する人々の考え方や行動)のあり方を、社会(を構成する人々の考え方や行動)のありように合わせこんでいくことが必要です。
それがつまり、コーポレート・ソサエティ・フィット(CSF)の本質であり、それを具体化する手段がサステイナビリティ経営ということになります。
長嶋茂雄さんの「セコムしてますか?」というCMがありました。このCM
が始まった55年前(1971年)、ホーム・セキュリティというサービスは多くの人にとって未知のものでしたが、今となっては誰もが知っています。
コーポレート・ソサエティ・フィット(CSF)は、もしかしたら、会社にとってのセコム、かもしれません。ただし、外から提供されるものではありません。
あなたの会社は、CSFしてますか?
次回は、コーポレート(C)の意味について、掘り下げてみる予定です。