残薬を大量に抱えている患者さんのため、地域の薬剤師を活用しよう

16.08.05
業種別【医業】
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先生方のかかりつけの患者さんは、処方通りに薬を服用できていますか? 

高齢者にありがちなことですが、内科、神経内科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科など複数の診療科目でかかりつけのクリニックがあり、各医院から複数の処方薬が出ていると思われる患者さんを診察していませんか?
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鎮痛剤と胃粘膜保護薬が複数の診療科から処方されていれば、通常の何倍もの成分にあたる薬が、かかりつけ医の意図を超えて服用されることになります。

処方されている薬をすべて並べてみると、医師や薬剤師が真っ青になるような量に及ぶ高齢者の患者さんは、想像以上に多いと思われます。 

本来であれば、お薬手帳で処方薬全体を管理できます。しかし、かかっている保険薬局やお薬手帳まで複数あるという患者さんは珍しくありません。

そうなると、処方薬全体を見通せる専門家は存在しないことになります。 

また、薬をきちんと服用していない高齢者が多いことも、先生方の悩みの種の一つだと思われます。

ある老人が入院したときに、未開封の処方袋にあった残薬が、大きな段ボールで数箱分も出てきたなんて話はよくあります。

毎食後服用する薬が数十錠を超えていると、そもそも服用自体に無理があるといえるでしょう。 

このような残薬や薬の重複の問題を改善するために、平成28年の診療報酬改定では「かかりつけ薬剤師・薬局」という言葉が登場しました。

薬剤師が在宅訪問し、残薬の整理や処方内容について患者さんのご希望をうかがいます。

もし、「いろいろなクリニックにかかっているようだが、処方内容が心配だ」「薬を服用できていないようだが、正直には話してくれない」など、お薬に関して心配している患者さんがいるのなら、お近くで在宅業務を行っている保険薬局に「患者さんを訪問して残薬を整理し、処方提案してほしい」と相談するとよいかもしれません。

全国の保険薬局のうち、在宅訪問の業務を行っている保険薬局は2割ほどというデータがあります。 

患者さんのほうにも一言、「残薬の整理をしてくれる保険薬局があるのですが、私のほうから連絡してみてもいいですか」と提案してみてください。 

在宅訪問をしている保険薬局がわからない場合は、地域の薬剤師会に問い合わせるという手があります。

J-HOP(全国薬剤師・在宅療養支援連絡会)のホームページでは、在宅訪問を行っている保険薬局を探すことができます。


選ばれるクリニックへのナビゲーション 


[プロフィール] 
藤原恵子(ふじわら・けいこ) 
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。 
 


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