ホームページに入居者の顔写真を無断に掲載すると訴えられる!?

16.07.08
業種別【介護業】
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今やインターネットは検索だけではなく、ショッピングや飲食の注文、チケットの購入など、さまざまな用途で利用されるようになりました。

国内のユーザー数も1億人を超えて、日本の全人口の8~9割の方が利用しています。

介護業界でも当然、IT化の波が押し寄せており、デイサービスや老人ホーム等のほとんどの介護施設がホームページを持ち、利用者を集めるために施設の紹介ページを作成したり、レクリエーションや介護の内容などを掲載したりしています。
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利用者やその家族が入居施設を選ぶ用途だけではなく、介護業界への求職者もホームページを閲覧し、どんな会社かを検索します。

スマートフォンの普及により、Facebook、Twitter等のSNS(ソーシャルメディア)でも手軽に介護事業者の情報を取得することも可能になっています。 

ソーシャルメディアの普及に伴い、増加しているのがインターネット上のトラブルです。一番多いトラブルで、かつ簡単に陥りやすいのが利用者情報の漏洩です。

施設利用者の顔やお遊戯をしているアップの写真をFacebookに投稿するだけでなく、ひどいものではお年寄りがトイレにいるところや、入れ歯がずれたシーンを動画として投稿し、問題になったケースも実在しました。

このようなケースは論外ですが、個人情報に対する十分な知識がなく、モラルの低い介護職員がやってしまうことが多いと考えられます。 

では、介護事業所の顔となるホームページに、入居者や利用者の顔写真やレクリエーションの写真などを無断で掲載することは、法律に抵触するのか考えてみましょう。 

該当する法律としては「個人情報保護法」が挙げられます。経済産業省のガイドラインでは、個人情報について次のような記載があります。 

法第2条第1項 
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。 
<事例>防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報等 

つまり、本人が識別できる写真・動画等は個人情報に含まれる可能性が高く、掲載された本人から訴えられると、損害賠償責任が生じると考えられます。 

また、「肖像権の侵害」にも該当する恐れがあります。

肖像権侵害となるのは、「撮影対象の人物がしっかりと特定できる」「意図的に撮影した写真(想定外に写り込んだわけではない)」「SNS等の拡散される可能性が高いところへ掲載(投稿)」という基準に該当した場合です。

ただし、本人の承諾があれば、肖像権侵害とはなりません。 

以上からホームページ掲載のトラブルを回避するためには、事前に利用者または家族からの承諾が必要なのです。

例えば入居申込書をもらう際に、「ホームページ情報の更新の際に、写真を掲載してもよいか」というようなチェック項目を設けて、本人からの承諾を得ておくことも有効な対策となります。

その他、定期的にスタッフへ研修を行って、個人情報の取り扱いについて明確にしておくことも必要でしょう。 


介護事業最前線 


[記事提供] 

(運営:株式会社アックスコンサルティング)