「もう1時間残ってもらってもOK?」残業に関する労働法を理解しよう

15.05.06
ビジネス【労働法】
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「残業するのは仕事が遅いから! 残業しないでも終わらせている人もいるんだし、残業したからって残業代は払いませんよ。そんな経営をしている会社はブラック企業? サービス残業なんてどの会社もやってるんだし、当たり前」

これが社長さんの本音ではないでしょうか。では、残業ってどれぐらいやってもいいものでしょうか?
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1日の労働時間は8時間以内、1週間の労働時間は40時間以内とすることが労働基準法で定められています。これを法定労働時間といいます。

たとえば、午前9時から午後5時まで働いてもらっている場合、1時間の休憩が入りますので、1日当たりの労働時間は7時間となります。あと1時間は働いてもらっても大丈夫です。

では、もう1時間働いてもらうのはどうでしょうか?

これは1日の法定労働時間の8時間を超えることになるので認められません。残業代を払うかどうかの問題ではなく、残業自体をさせてはいけません。でも、どの会社も残業をしていますよね? 36(サブロク)協定を結べば残業が認められるのです!

36協定とは、労働基準法第36条に基づいた使用者と労働者との間で結ばれる協定です。36協定は、労働基準監督署に届け出なければなりません。

36協定を結んでいても、残業は無制限には認められません。法定労働時間を超えて働いてもらえるのは、期間ごとに限度時間が決められていて、たとえば1週間では15時間以内、1ヵ月では45時間以内などと決められています。

残業をして働いてもらった場合は、当然賃金が発生します。さらに、法定労働時間を超えた分については割増賃金を払わなければなりません。

たとえば、先ほどの午前9時から午後5時で働いてもらっている会社の場合、1時間残業をしてもらっても労働時間は法定労働時間の8時間以内です。ですから、この1時間に対しては残業代は払いますが、割増賃金を払う必要はありません。

もちろん、法律上は払わなくてもよいというだけであって、会社が割増で支給すると決めてもらうのは何の問題もありません。

さて、36協定を結んでいて、さらにもう1時間働いてもらったらどうなるでしょう?

法定労働時間を超えた分については25%以上の割増賃金と決まっています。

休日に働いてもらったら35%以上の割増です。午後10時から午前5時の間の深夜に働いてもらうと25%以上の割増です。法定労働時間を超えて午後10時以降働いてもらうと、時間外労働と深夜労働を合わせて50%以上の割増賃金を支払わなければならないことになります。

4月に入社した新入社員が、そろそろ残業をするようになるこの時期。残業や残業代について素朴な疑問を抱くようにもなるでしょう。社長さんはいま一度、残業に関する労働法について勉強しておくことが大切なのです。


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