採用は企業の営業活動 [企業成長のための人的資源熟考]

13.11.17
ビジネス【人的資源】
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採用は長い道のり。

人の採用というと、
面接試験で合否を決める場面が浮かびますが、
実はもっと長いストーリーがあるのです。

一般論としては、
第一に労働市場のマーケットリサーチ、
第二に募集、第三に選考、
第四に採用そして入社・配属と続きます。
そしてこれら一連の活動は、
世間に関わりのあることですから、
自社のアピールをする好機でもあるのです。
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第一のマーケットリサーチとは、
必要とする人材の相場がどれくらいかを調べること。
そして、そのような人材が
自社のどのような情報を求めているか。

第二の募集とは、どのような募集方法をとるか。
縁故か、情報誌か、ハローワークかなどです。
そして、応募者の資格などの条件を提示します。

第三の選考とは、仕事歴や学歴など
履歴書に記入しているもの以外に、
一般的能力ややる気などどのような基準で
採用を決めるか予め用意しておくことです。

第四に採用を決めますが、
相手のあることですから
事故や辞退のないように
入社まで見守る必要があります。
このように考えると、
新卒採用は年単位の時間がかかり、
それ以外でも相応の時間と
手間がかかることが分かります。

採用活動は社会への窓を開けること。
通常、企業の内部のことは
あまり世間に知られていません。
けれど、人を募集するということは、
企業を世間に知らしめる活動ですからIRの一環です。

応募する側からすると、企業イメージが大切です。
大手企業はともかく、
その地域であまり知名度の高くない企業は、
募集活動は営業活動にもなるほどです。

また、日ごろイメージアップに気をつけていると、
人材の募集や採用にもプラスになります。
反対に、男女・年齢や出自や健康など、
反社会的な採用活動が企業イメージのマイナスに
ならないよう気を付けましょう。

採用において特に注意することは、
不幸にも不採用になった応募者へのケアです。
応募する限り、その会社へ入りたいといういわば顧客です。
できれば不採用の理由くらい知らせたいところ。
人気企業は、はじかれる人も多いので
潜在的にやっかまれています。


次回の企業成長のための人的資源熟考は
「給与」をテーマにお届けいたします。


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

企業成長のための人的資源熟考

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