組織を活性化させる『社内SNS』の導入方法と注意点

22.03.08
ビジネス【人的資源】
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従業員間のコミュニケーションの活性化や、素早い情報の共有を目的に、社内SNSを導入する企業が増えています。
社内SNSとは、企業向けのビジネスICT(情報通信技術)ツールの一つで、テレワークの普及と共に広がってきました。
近年はさまざまな社内SNSがリリースされており、営業や開発など、職種に特化したサービスも生まれています。
メールよりも気軽に使えて、活発な情報交換が可能な社内SNS。
その導入方法や、運用のポイントなどを、人気サービスの紹介を交えながら説明していきます。
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社内SNSを巡る日本企業の現状と導入のメリット

SNSは、利用者同士が交流を図ることのできるWebサービスのことで、日本ではTwitter、Facebook、Instagram、LINEなどが一般的です。
このなかでも特にLINEはコミュニケーションツールとして爆発的な人気を誇り、全世代の利用率は8割、若年層の利用率は9割を超えるといわれています。

社内SNSとは、社内向けにカスタマイズされたLINEのようなもので、種類にもよりますが、チャットやタイムラインへの投稿、データのアップロード、グループ作成などが行えます

2018年に総務省がまとめた『ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究』では、1,200人の就労者を対象にアンケート調査を行った結果、会社にSNSを導入していると答えた人は、全体の23.5%に留まりました。
さらに、そのなかでも『積極的に利用している』と答えたのは7.3%ということから、2018年時点での日本におけるビジネスICTツールの導入はさほど進んでいなかったことがわかります。
しかし、コロナ禍によるテレワークの普及により、社内SNSを導入する企業は飛躍的に増えており、今現在もその傾向は加速していると予想されます。

社内SNSを導入するメリットは、一つに、社員間のコミュニケーションの活性化です。
チャット機能を使えば、メールのような前文が不要で、気軽にコミュニケーションを取ることができるようになります。

また、複数の相手にメールを送る場合は、都度アドレスを入力したり、メーリングリストを作成したりする必要がありますが、社内SNSでは前段となる準備が必要ありません。
対象となる複数人を簡単にグループ化できるので、手軽に大勢の相手と情報共有することができます。
グループ全体で円滑な情報共有ができるため、部署間やプロジェクトチーム間の交流も盛んになり、多角的なアイデアも出やすくなるでしょう。


サービスの選び方と運用する際の注意点

実際に社内SNSを導入する際は、社内の課題を洗い出し、目的を明確にする必要があります。

業務を遂行するにあたり「コミュニケーションが取れていない」「情報共有に時間がかかる」などの課題があれば、改善のために社内SNSを導入するべきですが、特に目的がないまま導入すると、社員に利用されず、使われないまま放置してしまうことにもなりかねません。

現在、各社がさまざまなサービスをリリースしています。
導入を考えているのであれば、実際にサービスを利用する従業員にアンケートをとり、必要な機能を備えたものを選びましょう。

たとえば、コミュニケーションを一番の目的とするのであれば、チャット機能に優れた『Chatwork』や『Slack』などが多くの企業で選ばれています。
ナレッジやノウハウの共有をメインに考えるのであればQ&Aとメモ機能を備えた『Qast』、日報やタスク、勤怠など従業員に関する管理を充実させたいのであれば管理機能が豊富な『WowTalk』といったように、目的に合わせた社内SNSを選ぶことが重要です。
フリープランや試用期間を用意しているサービスもあるので、いくつかを実際に使って試してみるのもよいかもしれません。

一方、社内SNSのデメリットとして挙げられるのが『SNS疲れ』です。
社内SNSは、気軽にできることから、やり取りが増え、従業員がストレスを抱えてしまう可能性もあります

コミュニケーションが活性化するのはよいことですが、社内SNSを導入するのであれば、まずは明確な目的を決めたうえで、『進捗報告は返信不要』『18時以降は返信しない』などのルールを設定し、無理のない範囲で利用していくことが大切です。

さらに、社内SNSの責任者や運用チームを配置し、従業員への利用を促すのも効果的です。
実際に責任者が社内SNSを使ってみせ、教育係としてほかの従業員に使い方をレクチャーすることで、導入時の混乱も減少できます。
従業員の使用状況を見ながら、社内での普及を進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年3月現在の法令・情報等に基づいています。