万引きをした場合の量刑とは? 窃盗罪の被害額と刑罰の関係性

21.09.07
ビジネス【法律豆知識】
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ニュースなどで目にすることの多い窃盗事件には、万引きやカバンなどのひったくり、車上荒らし、空き巣など、さまざまなものがあります。
その被害額は、小さなお菓子の万引きなど数百円程度の場合もあれば、数百万円に及ぶ場合もあり、事件によってまちまちです。
では、その量刑は、被害額に比例するものなのでしょうか。
今回は、万引きに的を絞って、被害額と量刑の関係について考えてみましょう。
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量刑には、被害額のほか前科の有無が強く影響する

万引きによる窃盗罪を起こした人の刑の重さは、被害額の大小だけで決まるのではなく、前科の有無も強く影響します。
ここでは前科の有無に分けて、被害額ごとに刑を考えていきます。
なお、あくまでも大まかな目安であり、必ずしも以下のようになるということではありません。

まず、前科がなかった人の量刑の目安は、以下の通りです。

【前科がない場合】
(1)被害額が1万円未満
罰金20~30万円
(2)被害額が1万円以上
懲役1~2年、執行猶予3年
 
前科がない人の万引き事案の場合、被害額によって罰金か執行猶予付きの判決かが決まる傾向にあります。
ただし、被害額が100万円を超えるような巨額窃盗事件の場合には、前科がなくとも執行猶予の付かない実刑判決が出る可能性はあります。


前科があると量刑も厳しくなる

次に、前科がある人の量刑は以下のようになります。

【前科がある場合】
(1)被害額が1,000円未満
罰金20~30万円または懲役8カ月~1年、執行猶予3年
(2)被害額が1,000円以上3万円未満
前刑の刑期または執行猶予期間中の犯行:懲役1~2年(執行猶予なし)
前刑の刑期または執行猶予期間後の犯行:懲役1~2年、執行猶予3年
(3)被害額が3万円以上
前刑の執行猶予期間または刑期から長期間経過していても懲役1~2年(執行猶予なし)

前科がある場合、被害額が極端に低ければ罰金刑だけで済みやすく、仮に懲役となっても期間は短く、執行猶予付きのものがほとんどだといえます。
過去には、100円のキャンディ1個のみの万引きだったため、前科19犯の人でも罰金で済んだ例もありました。

一方で、被害額が1,000円以上になると、前刑の執行猶予中または刑期終了直後であれば執行猶予の付かない実刑判決となりやすく、そうでなければ改めて執行猶予付きの判決が出る傾向があります。
さらに、前科があり、被害額が大きかった場合には、執行猶予付きの判決は出にくく、実刑判決が出る傾向があります。

このように、万引きによる窃盗罪の刑は、被害額のみでなく前科の有無などの要素も考慮して決まります。
ただし、基本的には、被害額が1万円を超えていれば、前科の有無にかかわらず罰金刑で済まなくなる可能性が高くなると考えられます。

どちらにせよ、万引きをはじめ犯罪・事件の裏側には、被害者や公益等、何かしらの犠牲が必ず生じます。
償う刑の重さにかかわらず、罪を犯す人が少しでも減ることを願うばかりです。


※本記事の記載内容は、2021年9月現在の法令・情報等に基づいています。