会社員でも押さえておきたい! 確定申告の基礎知識

20.12.08
ビジネス【法律豆知識】
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毎年、年末が近くなると会社で年末調整が行われます。
そして、年があければ確定申告の申請期間がやってきます。
企業で働く従業員にとっては、基本的に必要なのは年末調整のみで、確定申告は関係ないと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、従業員でも確定申告をしないといけない場合や、しないといけないわけではないけれど、確定申告をしたほうがお得な場合があります。
今回は、給与所得者が行うべき確定申告について解説していきます。
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確定申告をしなければいけない主な場合

基本的に、会社からの給与収入がある人は、多くの場合、会社が行う年末調整によって所得税額の確定と納税が完了するため、確定申告の必要はありません。
しかし、主に以下の場合には、確定申告が必要となります。

(1)給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合
(2)給与を1カ所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える場合
(3)給与を2カ所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える場合
(4)同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている場合
(5)災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた場合
(6)在日の外国公館に勤務する人や家事使用人などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている場合

昨今では、企業が副業を後押ししたり、あるいはコロナ禍で在宅時間が増えたりしたことに伴い、副業を始める人も増えています。
副業収入が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要になることを押さえておきましょう。


確定申告をしたほうがお得な主な場合

前述した『確定申告をしなければいけない場合』に当てはまらなくても、確定申告をしたほうがお得な場合があります。
例をあげてみましょう。

(1)高額の医療費を支払った場合
高額(少なくとも年間10万円以上)の医療費を支払った場合には、医療費控除を受けられる可能性があります。医療費控除の金額は、

【実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額】-10万円(ただしその年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)

という計算式で算出され、最高200万円まで控除を適用することができます。

(2)株取引で損失を出した場合
株取引で損失を出した場合、確定申告をすると、その年の配当所得や利子所得と損益通算をすることが可能になります。
また、損益通算しても控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株取引に係る利益から繰越控除をすることができます。

(3)住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得または増改築等をした場合
『自己の居住の用に供する』(住宅の取得等をした人が、現にその住居に住み始めた場合)等の要件を満たす場合には、確定申告をすることで、住宅借入金等特別控除を受けることが可能になります。

(4)ふるさと納税などの寄附をした場合
ふるさと納税をしたり、特定の団体や組織に寄附をしたりした場合には、確定申告をすることで、寄附金控除を受けることが可能になります。
ただし、ふるさと納税の際にワンストップ特例の申請をした場合には、確定申告の必要はありません。

このようなケースに該当する場合には、ぜひ確定申告を行いましょう。
ただし、確定申告をすると、20万円以下の副業等、本来申告不要な事項についても申告する必要が生じてしまいます。
確定申告をしたほうがよいのかどうかについては、それぞれの収入状況や支出状況をトータルで見て判断するようにしましょう。

会社勤めの方でも、所得金額を正しく申告し、また、各種控除を適用して節税をするために、確定申告の知識を身につけておくことは重要です。
1年の収入や支出を振り返り、自身のケースでは確定申告をすべきかどうか、検討してみるとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。