個人で建設業を営む人が知っておきたい『個人事業税』とは

20.12.01
業種別【建設業】
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一人親方などの個人事業主にかかってくる税金のなかで、注意したいのが『個人事業税』という税金です。
所得税や住民税と違って、個人事業税は人によって課税対象かどうかが変わるため、ある日突然個人事業税の納付書が届いて驚いた、という人もいるようです。
では、建設業で個人事業税がかかるケースとは、どのようなケースなのでしょうか。
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個人事業税は法定業種に課せられる

個人事業税は、個人が営む事業のうち、地方税法等で定められた事業(法定業種)に対してかかる税金です。
住民税や所得税のように全ての個人事業主に対して課税されるわけではありません。

また、個人事業税には年間290万円の『事業主控除』が認められているため、実際に個人事業税を納めることになるのは、所得が年間290万円超える場合となります。
営業期間が1年に満たない場合は、月額割で『ひと月当たり242,000円×事業を行った月数分』が控除額となります。
なお、個人事業税を算出する際には青色申告特別控除は適用されません。


建設業は第1種事業の『請負業』にあたることがある

では、建設業を営む個人事業主が課税対象となるかどうかについて、見ていきましょう。

個人事業税の対象となる法定業種には70の業種があり、これらは第1種事業から第3種事業までに区分されています。
区分に応じて3~5%の税率が定められています。
この法定業種のなかには『建設業』という業種自体はありませんが、建設業は第1種事業の『請負業』(税率5%)に該当することがあります。
たとえば、神奈川県ホームページの『通達・通知』によると、以下の4つの要件を全て満たす場合には請負業に該当し、個人事業税の対象となるとしています。

●営業の範囲に属するものであること
●資本的経営を行っていること(=機械・事務設備などがある)
●仕事の計画及び遂行について独立性を有すること
●危険負担を有すること

ただし、建設業においては、現場監督の指揮監督命令を受けて作業をするケースも多々あります。
この場合、事業所得に該当しない可能性もあり、そうなると個人事業の請負業にも該当しないことになります。
国税庁の通達においても、とび職などの所得区分は、『請負契約もしくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのか、または、雇用契約もしくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのかにより判定する』としています。
そして、その区分が明らかではないときは、実態に基づいて判断されます。

つまり、大工や左官、とび職などは一般的には請負業として個人事業税の対象となりますが、契約内容の実態が雇用契約に準じると判断されたときは、個人事業税の対象から外れる可能性があるのです。


都道府県税事務所から問い合わせがあることも

個人事業税は地方税のため、個人事業税の対象となるかどうかの判定は都道府県によって若干ばらつきがあります。

個人事業税の対象となる請負業と認定してよいかどうか、判定が難しいときには、都道府県税事務所から『お仕事の内容について』という照会文書が送られてくることがあります。
照会文書には、仕事の内容や事務所があるか、機械設備があるか、請けた仕事を外注に出しているか、契約先は複数かなどの質問に答える欄があり、この回答書をもとに個人事業税の対象となるかどうかが判定されることになります。

個人事業税が課税される『法定事業』に当てはまるかどうかは、実態をもとに判断されます。
建設業においても、仕事内容によって課税される人もいれば、そうでない人もいることを知っておきましょう。
また、個人事業税は地方税のため、運用は各都道府県によって異なります。
詳しく知りたい場合は、管轄の都道府県税事務所に問い合わせてみるとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年12月現在の法令・情報等に基づいています。