スタッフが集まらない!

14.10.05
業種別【歯科医業】
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歯科の業界は一時、斜陽産業だと言われました。「ワーキングプアの歯科医師」「歯医者余り」などの言葉が週刊誌をにぎわせたものです。

これには、経営難を主張することで公的医療保険制度のもとでの歯科診療への評価(対価)を高めるため、一部の指導者層が報道をあおったという側面もあるとの見方もあり、実際には、それほどお金に困っている業界ではないように思われます。
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歯科業界誌編集長の手記

実際、歯科医院経営で多くの歯科医師が困っているのは「スタッフが集まらない、定着しにくい」という求人、雇用の問題です。

特に歯科衛生士は、実働数が有資格者全体の数を大きく下回っていることが知られていますが、離職した後、二度と歯科医院での勤務を望まない人も多いことが問題です。

歯科医院のスタッフ教育を手がける団体が、「退職を考える理由」を400人に聞いたところ、第一位が「認められていないと感じた」で、以下、第二位は「技術的な失敗をした」、第三位は「患者さんから苦情を受けた」、第四位は「新人が入ると聞いた」というものでした。

いずれも、自信喪失が退職を考える理由として挙げられ、しかも、自由回答を見ると簡単に自信を失ってしまう若手が多いことがうかがえます。

中には、「新人が入ると、その人と比べられる」と辞めていく人も少なくないようです。

受付助手の不足は、特に郊外型の大型歯科医院で問題になっています。

通常、歯科医院は地域密着型の業態ですから、地元の女性を採用しようとするのですが、「近隣に働ける女性が見つからない」という事態が起こっています。

この背景の一部には若年層の貧困化、自動車離れがあるとされます。

国道沿いに高いコストをかけて大型歯科医院を作ったのに、自動車を持たない(持てない)人は、駅中、駅近でなければ働こうとは考えないのです。

全体的に「先輩のいない歯科医院には応募しない」「感染予防対策に関心が高い」「社会保険などが未整備だとNG」などが指摘されます。


【記事提供元】
月刊アポロニア21(日本歯科新聞社)
編集長 水谷惟紗久