2020年から始まる自筆証書遺言の保管制度とは?

19.12.03
業種別【不動産業(相続)】
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死後の自身の財産の処分等について意思を伝えるための法的な文書『遺言書』には、『自筆証書遺言』『公正証書遺言』『秘密証書遺言』の3つがあります。
このうち、『自筆証書遺言』は遺言者自身が自宅などで書くことができるため、手軽に作成することができます。
実は、自筆証書遺言の法務局による保管制度が新たに2020年7月10日から始まります。
そこで、その内容について、詳しくご紹介していきます。
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法務局の書式で作成して保管

自筆証書遺言は、いつでも書くことができ、費用もかからないという利点がありますが、作成に専門家の関与がないため無効となったり、自身の死後に親族が発見できなかったり(場合によっては、遺産分割協議の後に発見されることもあります)、複数の遺言書が存在することもあります。
そこで、自筆証書遺言の利便性を生かしながら、できる限り不便を解消する制度として、法務局による遺言書の保管制度が新たに始まります。

法務局が保管できる遺言書は自筆証書遺言のみです。
また、保管する際には、法務省令に定められた形式で作成されている必要があります。
『法務省令に定められた』というと堅苦しく感じますが、これに沿って遺言を作成すれば、遺言が無効となる可能性は非常に低くなるはずです。

さらに、法務局が遺言書の原本およびデータを保管するということは、相続人が遺言を探しやすくなるということを意味します。
遺言書保管法第4条第3項によれば、遺言書を保管できる法務局は、遺言者の住所もしくは本籍地、または、不動産の所在地を管轄する法務局のみとなります。
もし遺言を残した人物が、住所を転々としていたり、本籍地を次々と変えたり、不動産を多数所有していたりしても、どこにあるのか皆目見当もつかない遺言を探すよりは、限定された法務局に照会をするほうが格段に楽でしょう。


家庭裁判所による検認手続が不要に

現在の法律では、自筆証書遺言の場合、家庭裁判所による検認手続を経なければ、遺言によって、不動産の登記を移転したり、預金を払い戻したりすることはできません。
しかし、公的機関である法務局に遺言を保管してもらっておくと、当該遺言には検認手続が不要となります。
そのため、法務局による遺言保管制度を利用しておくと、相続発生後の家庭裁判所の手続を省けるというメリットもあります。

法務局による遺言書保管制度は自筆証書遺言のメリットはそのままに、できるだけこれまでのデメリットをなくした制度といえそうです。


※本記事の記載内容は、2019年12月現在の法令・情報等に基づいています。