消費者を離れさせない『サブスクリプションモデル』とは?

19.11.12
ビジネス【マーケティング】
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『サブスクリプションモデル』というビジネスが注目を集めています。
物を購入する際に支払いをするのではなく、1カ月や年ごとに一括で支払い、決められた期間だけ、そのサービスを利用できるというものです。
つまり、『物』ではなく、利用できる『権利』に対してお金を支払うビジネスモデルのことをいいます。
今回は、実例と共に『サブスクリプションモデル』を紹介していきます。
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『利用権』にお金を支払い続けてもらうビジネス

サブスクリプションは日本語で『定期購読』『会費』などの意味があります。
つまり、昔からある新聞や雑誌の定期購読なども当てはまるわけです。
これは、毎月の支払いで“新聞を1カ月分購入している”という見方もできますが、“新聞を毎日1部届けてもらう『権利』を得ている”と考えることもできます。

携帯電話や賃貸の家賃なども、広義ではサブスクリプションモデルといってもいいでしょう。
消費者は毎月、『携帯電話を使う権利』や『家に住む権利』にお金を支払っているわけです。

これはマーケティングの観点から見てみると、非常に利益の出るビジネスモデルだといえます。
1回の売買で終わるのではなく、継続的に消費者との関係が続くため、その消費者が意識的に関係を終わらせるまで、収益を得ることができるからです。

近年で一番有名なサブスクリプションモデルは、ネット通販のAmazonのプライム会員ではないでしょうか。
Amazonではプライム会員にならなくても買い物はできますが、会員になることで、お急ぎ便などの配達オプションや、映画やドラマが見放題の『Prime Video』、音楽が聴き放題の『Prime Music』などが利用できます。
会員になることで受けられる恩恵が大きいため、一度入ると、解約する人が少ないといわれています。
一方、Amazonとしては、便利なサービスを提供する代わりに、継続的にユーザーから利用料を得ることができるというわけです。

このほかにも、音楽配信サービスの『Apple Music』や、動画配信サービスの『Netflix』や『Hulu』なども当てはまります。
こうしてみると、今、世界のトップといわれるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)はすべてサブスクリプションモデルを行っています。
それだけ、収益率の大きいビジネスだといえるのではないでしょうか。


獲得済の顧客にもマーケティングを

このサブスクリプションモデルですが、マーケティング方法も従来のビジネスモデルとは少々異なります。
従来のビジネスモデルにおけるマーケティングは、商品を買ってくれる新規のユーザーに向けたもので、市場を分析し、ターゲットを絞り、広告を打ち出してきました。

しかし、サブスクリプションモデルにおけるマーケティングは、新規のユーザーはもちろんですが、すでに獲得済みのユーザーに向けても行われます。

獲得済のユーザーとは、すでに契約して、定期的にお金を支払ってくれているユーザーのこと。
つまり、契約を解約させないためのマーケティングを行う必要があるわけです。
新規の顧客獲得は企業の命題ですが、顧客の解約阻止も同じくらい重要な課題なのです。

サブスクリプションモデルを主要なビジネスにしている企業であれば、ポイント制度や、割引キャンペーンなどを頻繁に行い、一度契約した顧客を逃さないようにしています。
たとえば、Amazonではプライム会員限定のタイムセールなどを行い、顧客の満足度を高めています。

新規顧客を1人獲得しても、1人解約されたのでは収益は上がりません。
新規顧客の獲得はもちろん、いかに解約されないかというところまで考えなくてはいけません。

また、近年はネットのみならず、さまざま業界でサブスクリプションモデルが広まってきました。
自動車や自転車、飲食店でも取り入れているところがあります。
月額980円で1日1本ジュースが飲める日本初となる自販機のサブスクリプションサービスというものまであります。

契約を結べば、必要に応じて借りたり、一時的に使用したりできる、このサブスクリプションモデルがビジネスの主流になっていくと予想する専門家も少なくありません。
自社の商品やサービスに導入できるかどうかを考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年11月現在の法令・情報等に基づいています。