整合性に気をつけよう! ストループ効果の落とし穴

19.10.30
ビジネス【マーケティング】
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近年、マーケティングの世界で注目を集めているのが、『ストループ効果』です。 
ストループ効果とは二つの異なる情報が干渉し合うことで生まれる心理学的な効果のことで、アメリカの心理学者・ジョン・リドリー・ストループによって名づけられました。 
今回は、マーケティングを行っていくうえで、最大限気をつけたい、ストループ効果について説明します。
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整合性がないと理解に時間がかかる 

『ストループ効果』とは、同時に目にする二つ以上の情報の整合性が取れていないと、それを理解するまでに時間がかかってしまう効果のことを指します。 

ストループ効果の有名な実験の一つに、『文字色の実験』があります。
たとえば、『赤』と『青』という二つの漢字があり、この文字それぞれに色がついているとします。 
『赤』には赤い色、『青』には青い色がついている場合は、スムーズにその状況を理解することができますが、逆に『赤』の漢字に青い色、『青』の漢字に赤い色がついている場合、漢字と色に矛盾が生じ、整合性が取れなくなり、見ている人はその状況を理解するのに時間がかかってしまいます。 
これが『ストループ効果』です。 

漢字と色の整合性が取れていないということは、二つの異なる情報がいっぺんに入ってくるということ。 
脳のなかでは、混乱が発生し、情報の整理を行うために、反応が遅れてしまうというわけです。 

マーケティング業界では、このストループ効果は避けるものとして認知されており、たとえばECサイトの立ち上げや、広告などを打つ際も、マーケティング担当者はその成果物がストループ効果に陥っていないかどうかをチェックする必要があります。 


要注意! 広告のストループ効果 
 
このストループ効果は、日常の些細なことでも頻繁に発生しています。 

たとえば、テレビなどで『大人気のお店』と紹介されているのに、店の前には行列もできていなく店内もガラガラだと、違和感があります。 
『早い・安い』が売りのお店で、『遅い・高い』だったら、やはり矛盾を感じてしまいます。 
マーケティングの世界では、これらの違和感を抱かせないために、できるだけストループ効果のない宣伝手法を考えなくてはいけません。 

また、高級な商品の宣伝を打つ場合、その宣伝ポスターに使われている写真に高級感がなかったり、色合いやデザインがチープだったりすると、一気に違和感が出てしまいます。
消費者は説得力のないものには惹かれませんし、見向きもしてくれません。 

インターネットのランディングページなどで、『興味のある方はこちら!』と誘導を促しているのに、肝心のリンク先のバナーが小さかったり、目立たなかったりしているケースも、まさにストループ効果に陥ってしまっている状態といっていいでしょう。 

伝えたいものと消費者が受け取るものには、整合性がとれていなくてはいけません。
整合性がなく、ストループ効果が発生してしまっているものは、マーケティング的にも失敗です。 

一方で、なかにはこのストループ効果を逆手に取ったマーケティングも存在します。
入り口を分かりにくくしたり、伝えたいイメージとは真逆のことを全面に出したりすることで、ユーザーの興味を引くという方法です。 
しかし、これらの手法は、マーケティングを知り尽くした人が、“あえて”行うもので、付け焼き刃で行っても成功する可能性は低いでしょう。 

あくまで、整合性を取ることを念頭においてマーケティングを行ったほうが成功の確率は高まります。 

『信号は止まれが赤で、進めが青(緑)』であることは、世界の常識です。 
俊敏な判断を求められる場では、可能な限りストループ効果は排除されています。 
同じことはマーケティングにもいえるでしょう。
ポスターにしろ、テレビCMにしろ、ネットのバナー広告にしろ、多くの人は一瞬しか目にしません。 
そのため、ユーザーの意識にすっと入っていくためには、極力、整合性を大切にし、違和感を抱かせないことが重要です。 

商品やサービスを売り出すときは、自社の施策がストループ効果に陥っていないかどうかを常に気にしておきましょう。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。