知っておきたい、よくある登記トラブル3選

19.10.01
業種別【不動産業(登記)】
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『不動産は現金と違って消えてしまわないから安心だ』と思っているのなら、注意が必要かもしれません。
『騙されて土地を売られてしまった』『気がついたら家が他人のものになっていた』など、登記に関するトラブルは珍しくないからです。
今回は、不動産に関して知っておきたい、よくある登記トラブルについてご紹介します。
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所有者による二重売買に注意

よくある登記トラブルの一つ目は、所有者が二重売買していて、不動産を手に入れることができないケースです。
これは『ある土地を購入して所有権移転登記をしようと思ったら、登記に記載されている所有者が売主ではなかった。調べてみると、売主はほかの人にも土地の売買を持ちかけていたことがわかった』というものです。

あり得ない話のようにも思えますが、こうしたトラブルは実際に起こっています。
この場合、売主から先に土地を購入した方が土地を手に入れられるかというと、残念ながら違います。
原則として、土地の所有者として権利を主張できるのは、先に所有権移転登記を備えた人になってしまうのです。
とはいえ、売主との売買契約は成立しているため、「払った土地代を返してほしい」と売主に要求することはできます。
しかしこうした場合、すでに売主とは連絡が取れなくなっており、代金を回収できない可能性があります。
不動産売買のときには、登記手続きが終わっていない段階でお金を払ってはいけないのです。


私道持分の登記漏れで、売るに売れない

建築基準法によれば、道路に面していない土地には建物を建てられません。
また、公道に面していない土地の場合、自分の土地に入るためには他人の土地を通らなければなりません。
私人が所有している道路のことを『私道』と呼びますが、私道については、所有者が自分一人のケースと、自分を含めた周辺の住民がそれぞれ持分を有して共同で所有しているケースがあります。
そして、周辺の住民で持分を共有している場合には、相続や売買があっても土地を承継した人が第三者に対して私道持分を主張できるように『私道の持分登記』を行うのが基本です。
しかし、私道の持分登記をし忘れているケースが少なくありません。
持分登記が漏れてしまい、さらにその私道持分を持っていると証明できる書類もない場合、その土地を相続して売りに出そうとしても買い手がなかなかつきません。
こうしたこともよくある登記トラブルの一つです。


相続登記をせずに放置し相続人が増える

相続時に、誰が不動産を相続するかを決めずに放置してしまうケースはよく見られます。
特に、相続人が誰も住んでいない地合や、山奥などの活用しにくい場所に不動産を所有している場合には、こうしたことが起こりやすいものです。
相続時に所有者を決めなければ、その不動産は相続人全員が共有している状態になります。
たとえば相続人として長男Aと長女Bがいたとしたら、不動産は長男Aと長女Bの共有になるのです。
そこで起こりやすい登記トラブルとして、相続が次々に発生して土地の共有者が増えていくというケースがあります。
仮に土地の所有者である長男Aと長女Bが死亡し、さらに長男Aには5人、長女Bにも5人の相続人がいたとしましょう。
不動産の所有者を誰にするかを決めていなかった場合、さらにその相続人が不動産を相続することになるのです。
このような状況で所有者を確定し、改めて不動産の相続登記をしようと思うときは、まず現時点の所有者を確定しなければなりません。
そして遺産分割協議をし、所有者全員に事情を説明して『この不動産を誰のものにするか』について話し合うことになります。
さらに、所有権移転登記をするときには、所有者である相続人全員の印鑑証明書や戸籍謄本などの書類も必要になってきます。
相続登記をせずに放置してしまうことで、こうしたトラブルが起こってしまうのです。

登記は第三者に対して権利を示すためにある制度です。
そのため、登記が漏れてしまうと自分の権利を主張できなくなってしまいます。
そうならないためにも、実態に即した登記を心がけることが重要です。


※本記事の記載内容は、2019年10月現在の法令・情報等に基づいています。