『防災協定』の締結で地域を支援! そのメリットとは?

19.08.01
業種別【建設業】
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震災や大雨、川の氾濫など、日本では毎年各地で大きな災害が多発しています。
こうした災害で被害に遭った人を支援し、町を修復するために、自治体が民間企業などと提携しているのが『防災協定』です。
さまざまな業種の会社が防災協定を締結しており、建設業も例外ではありません。
では、防災協定を結ぶことで建設業者にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
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貢献できることは企業によってさまざま

防災協定を自治体と締結している民間企業は数多くあります。
たとえば、東京都国分寺市では医薬品の販売業者であるマツモトキヨシと防災協定を結んでいますが、その内容は『災害時、国分寺市内のマツモトキヨシに対して医薬品や日用品の供給を要請する』となっています。
防災協定の内容については協定を結ぶ企業と市町村の間で個別に決められるため、一律に内容が決まっているわけではありません。

また、建設業者が自治体と防災協定を結んでいるケースも少なくありません。
防災協定の内容は、地域特性や企業の得意分野などによってさまざまです。
ある建設業者では、災害時には施設を一時避難所として提供するほか、重機などの機械を提供するといった内容で協定を結んでいます。
また、崩れてしまった箇所の応急措置を行うほか、がれきの撤去をして人命救助活動のサポートをするという建設業者もあれば、緊急時に社員が巡回活動を行うこととして人員を提供する建設業者もあります。

自治体と災害協定を結ぶにあたって気になるところが、社員の労働災害や物損についてではないでしょうか。
作業中に建設業の労働者が被害に巻き込まれてしまい、怪我をしたり亡くなってしまったりするケースも残念ながらあります。
こうした人的被害や物損については協定締結時に、建設業者と自治体のどちらが損害を補償する費用を負担するかを取り決めます。
自治体の一部では防災協定用に開発された損害保険に加入し、補償制度を設けて建設業者の負担を軽くしようと動いているところもあります。


防災協定を締結するメリットとは?

このように、災害が起こったときに、人員や設備を提供し、地域を支援することになる防災協定。
建設業者によっては、いつでも支援ができるようにと太陽光発電エネルギーに切り替えたり、社員の防災訓練を定期的に実施したりして普段から体制を整えているところもあります。
こうした施策は会社にとって負担にはなります。
しかし、防災協定を締結することは建設業者にとってメリットが大きいのです。
以下にその理由をあげていきましょう。

1.経審のW点が上がる
まず、現実的なメリットとしてあげられるのが、自治体と防災協定を締結することで経営事項審査(経審)のW点(企業の社会性等を評価する指標)に影響します。
経審には経営状況評点などさまざまな評点が設定されていますが、W点は『その他の審査項目』に分類されます。
W点は、かつて雇用保険加入の有無や退職一時金制度の導入といった項目について評価されるところとなっていました。
そのW点に、2006年の法改正によって『防災協定を締結していること』という項目が加わりました。
さらに2018年には、それまで15点だった加点点数が20点に拡大されたのです。
つまり、現在は自治体と防災協定を結んでいる場合、W点が20点加点されることになります。

2.地域密着企業としてのイメージアップにつながる
建設業者の多くは、地域に密着して企業活動を行っています。
そのため、防災協定を締結していることで、地域の人たちに『地域に貢献してくれる建設業者だ』というプラスのイメージを抱いてもらうことができます。
建設業者は、全国に46万業者以上あると言われています。
そうした競争の激しい市場において、防災協定の締結は一つの差別化として、周りにアピールできるポイントともいえるでしょう。
また、防災協定はボランティアに近い性質を持っています。
『仕事を通じて公的な支援に関わりたい、地域に貢献したい』と考える経営者にとっては、自分の理念を形にできるものでもあるといえます。

災害が起きたとき、会社をあげて地域の力になりたいと考える経営者は、ぜひ一度防災協定の締結を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年8月現在の法令・情報等に基づいています。