短時間&低価格で女性に人気の“ファストサロン”とは?

19.06.04
業種別【美容業】
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現在、日本で営業している美容室の数は、コンビニ店舗数のおよそ4.5倍。 
多くの店舗がクーポンやサービスなど、さまざまな戦略を練っていますが、集客は厳しいのが現実です。 
しかし、今注目されている“ファストサロン”は過剰なサービスなどがなくても、売り上げを着実に伸ばしているといいます。 
今回は、美容業界が着目する新たな形態として、ファストサロンをご紹介します。
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“1,000円カット”とは違うファストサロンとは 

注文後すぐに提供される低価格のファストフードは、学生や家族連れなど老若男女問わず利用されています。 
そんなファストフードのような、低価格で短時間の技術提供を実現し、なおかつ女性に通いやすくしたのが“ファストサロン”です。 
同じような形態としては、すでに市場を確立している“1,000円カット”の理容室があげられますが、サラリーマンが行く場所という印象が定着しています。 
また、トレンドを無視して、ただ単に髪を切るだけといったイメージが強く、女性はなかなか入店したい気持ちにならないものです。 
そんな1,000円カットの理容室と違い、ファストサロンは、働くママを中心として女性の人気が急上昇している新たなビジネス形態です。 

  
お客の回転率の高さで集客数も右肩上がり! 

お客がサロンを選ぶ際に重要視するのが、“技術”“接客”“店のイメージ”です。 
そのなかでも、女性客が特に気にするのが、店のイメージです。 
1,000円カットの場合、技術や接客がよい理容室も多くありますが、イメージが女性には合わないという場合も。 
その点、ファストサロンは、イメージの部分でも女性客に人気です。 

たとえば、あるファストサロン店舗では、人気インテリアショップからアドバイスを受けて、親しみやすい雰囲気づくりを徹底しました。 
また、予約制にせずに、当日受付にある券売機でメニューを選んで発券し、順番がきたら入店するという仕組みに。 
その際、待ち時間の目安が表示されるため、お客は自分の時間が来るまでにほかの用事を済ませることもできます。 
メニューは、カットとスタイリングが一律2,000円(学生割引あり)、スタイリングのみ1,500円、前髪カットのみ700円というシンプルさです。 
普通のサロンとの違いは、シャンプーがないため、切った髪をドライヤーで飛ばすだけという点。 
凝ったスタイリングは提供していないものの、コテを使った巻き髪やストレートアイロンでの仕上げは行っています。 
一番利用客の多いカットとスタイリングは、約20分という短時間で施術されます。
そのため、回転率が高く、集客数を上げることができます。 
予約のない手軽さとシンプルなメニュー、低価格の料金設定で、オープンから絶えず月平均で約2,400人の集客があるといいます。 
仮に全員がカットとスタイリングのみだとすると、月に2,000円×2,400人=480万円の売上が見込めるという計算です。 

  
信頼や安心を生む接客トークが成功のカギに 

ファストサロンの利用者のほとんどは、地元に住むリピーターでメインの客層は30~40代。
自宅から通いやすくて居心地がよく、最低限のサービスでも満足できるという人が通い続けているようです。 

たとえば、普通のサロンでは、カラーやパーマの待ち時間に専売品のアピールなどをされると、不快に感じる人もいます。 
おしゃれ過ぎる店内や、次も指名を取ろうと必死に接客トークを続けるスタイリストが苦手な人もいるでしょう。 
ファストサロンは、商品の押し売りがなく、洗練され過ぎた環境でもないため、そうした居心地の悪さはありません。 
さらに、カット専門店という位置づけでありながら、お客の要望を聞いてカウンセリングもすることで付加価値を高めています。 
利用者から見ると、「短時間で安いのに、そこまでやってくれるんだ」という信頼や安心も生まれます。 

働く側にとっては、カラーリングやシャンプーを施す必要がないため、手荒れの心配がなく、仕事が続けやすい環境といえます。 
技術や経験はあっても、手荒れが原因で離職するケースも多い美容業界にあって、ファストサロンは、人材採用の観点からも新たなビジネスチャンスとして注目されています。 

競争が激化する美容業界において、新たな形態で成功しているファストサロン。 
今後、ますます市場を伸ばしていくでしょう。 


※本記事の記載内容は、2019年6月現在の法令・情報等に基づいています。