地域の患者から選ばれる、効果的な歯科医院のブランディング方法

19.03.05
業種別【歯科医業】
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今や、歯科医院の数はコンビニエンスストアの数よりも多いといわれています。 
近隣に複数の歯科医院が開業している状況も珍しくないなか、昔のように“開業すれば自然に患者がやって来る”という時代は終わりを告げました。 
では、どうすれば患者に選ばれる医院になれるのでしょうか。 
今回は、“選ばれる歯科医院となるためのブランディング”についてご紹介します。
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狭い範囲での“トップ”を目指す

「地域の患者に選ばれるために、まずは他院との差別化を図ろう」
多くの歯科医院経営者が、このように考えるのではないでしょうか。
しかし、診療内容が歯科医院によって大きく変わるわけではありません。

そこで提案したいのが、『ブランディング』。
ここでいう『ブランディング』とは、医院の強みをアピールし、価値を上げるための取り組みのことです。
たとえば、狭い範囲での“トップ”になることもその一つの手段です。
具体的には、以下のような内容で歯科医院の特色をアピールします。

「京都市左京区で、特定のメーカー製品を使用した子どもの歯列矯正の実績トップ」
「埼玉県で、優良技工所の義歯用素材をどこよりも多く使って治療している」
「四国地方で、某メーカーの歯科機材をいち早く導入・使用し、患者に喜ばれている」

範囲は絞りながらも、内容は具体的にわかりやすくすることが大切です。
これらの内容は、患者が目にする機会が多い待合室や、医院のホームページなどに載せると効果的でしょう。
また、メーカーと協力して宣伝するのも、独自の強みを出したい歯科医院と商材を売りたいメーカーの双方にメリットがあるブランディング方法です。


スタッフは医院の魅力をアピールする伝道者

地域の住民に歯科医院を知ってもらおうとするとき、どのようにアピールすればよいでしょうか。
広告に多くの費用をかけられない場合でも、医院のよさや特色を知ってもらう方法はあります。
インターネット上の口コミを見てもわかるように、患者はスタッフの対応で歯科医院の良し悪しを決めています。
ドクターをはじめ、受付や歯科衛生士など、すべてのスタッフが歯科医院の顔だという意識を持ちましょう。
そして、患者に対するスタッフのあり方を教育し、育てていくのです。

三重県松阪市にある歯科医院では、スタッフ全員に対して研修を行っています。
研修内容は治療に対するものだけにとどまらず、歯科医院の経営方針や患者への対応も含まれます。
この歯科医院の患者は地域住民が多く、特に高齢の方やその付き添いの方が多くみられました。
そこで、本人だけでなく、家族に対してもわかりやすい説明や言葉選びを行うことを、スタッフ全員で共有しました。
その結果、統一された質の高い対応が評判を呼び、地域で広く認識される歯科医院となりました。
また、患者や付き添いの家族からの紹介が増え、通院患者の増加へとつながりました。


スタッフが長く働ける環境を整える

歯科医院の顔であり伝道者であるスタッフは、医院にとってはなくてはならない大切な人材です。
職場環境を整え離職率を抑えることは、歯科医院のイメージアップにもつながります。

兵庫県加古川市で開業している歯科クリニックでは、スタッフの入れ替わりが多く、仕事の忙しさから患者に冷たい印象を与えてしまうことがあったため、職場環境の改善を行いました。
そこで、スタッフの待遇や福利厚生の改善のほか、雇用やスタッフ教育に投資する方向に力を入れ始めました。
時間とお金をかけて育てられた優秀なスタッフがいることは、患者にも安心感を与えます。
「いつも顔を合わせるスタッフさんと顔見知りになり、話がしやすい」
「質問をしても優しく対応してくれるので安心する」
というように、“風通しのよい明るいクリニック”として、地域住民の間で評判になりました。


多くの歯科医院のなかで、患者に選んでもらうには『ブランディング』は有効な手法です。
そのためには、まずは、自院の強みが何なのか、洗い出してみましょう。
その際、地域住民の患者の傾向を知ることや、スタッフの患者への対応も大切なポイントとなります。


※本記事の記載内容は、2019年3月現在の法令・情報等に基づいています。