売掛金は5年経過すると回収できない! 債権の消滅時効とは

17.09.29
ビジネス【法律豆知識】
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付き合いが長く「持ちつ持たれつ」の関係にある取引先であれば、売掛金の支払期日が過ぎていても強く催促しない(できない)こともあるでしょう。

そんな未回収の売掛金がある場合は、支払期日から何年何ヵ月経過しているのか、常に把握しておかなければなりません。

「いつか払ってくれるだろう」とのんびり構えていると、その売掛金は永遠に回収できなくなってしまいます。

売掛金には時効があり、支払期日から5年が経過すると債権が消滅して、回収不能になる恐れがあるのです。
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売掛金が支払われないまま5年が経過すると、民法166条(債権の消滅時効)が定める「売掛金の消滅時効」が有効になります。 

自動的に債権が消えるわけではないため、時効期間満了後に債権者が売掛金を返済することは問題になりません。 

しかし債務者が消滅時効を援用して「権利を消します」と意思表示をすれば、時効の効果が発生し、それ以降はまったく打つ手がなくなります。
つまり、回収不可能になるのです。 

これを防ぐためには、まず支払いを要求する書面を内容証明郵便で債務者に送付します。
すると郵便到着後、6ヵ月間は時効期間の進行を止めることができます。 

それでも相手が支払わなかった場合は、5年が経過する前に「請求」「差押え」「承認」の、いずれかの手続きを取らなければなりません。 
この手続きによって、時効期間をリセットすることができます。 
たとえば支払期日から4年10ヵ月が経っていても、再び5年間の時効期間を得ることができるのです。 

請求:民事調停の申し立てなど、裁判所における正式な手続きを通して請求する。 
差押え:債務者の財産を差押える。これは訴訟や支払督促により裁判所が強制執行を許可することで可能になる(事前に公正証書を作成しておけば、裁判所の許可なしに強制執行できる)。 
承認:売掛金の一部を支払ったり、執行猶予の申し出をしたりするなど、債務者が債務を認める。 

これらの手続きによって消滅時効を延期させることができても、結局は「振り出しに戻った」だけです。 
売掛金を回収しないかぎり、問題は解決しません。
また、裁判には多額の費用と労力が必要であるため、本来ならば裁判をせずに回収できることが理想です。 

売掛金に限らず、債権の回収は時間の経過とともに困難になります。 

売掛金の回収が難しいと感じたら早めに弁護士に相談し、有効な対策を講じて確実に回収していきましょう。