遺言がある場合の相続手続きは?

18.10.04
業種別【不動産業(相続)】
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相続対策として『遺言』を残そうとされる方は多くいます。
しかし、死後に相続手続がどのように進んでいくのかを理解しておかないと、意図する通りに財産を残すことができなくなるかもしれません。 
今回は、遺言が残されている場合の相続手続きの流れについて、詳しく解説します。
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自筆証書遺言は検認手続が必要に

被相続人が亡くなった後、自筆の遺言(自筆証書遺言)が存在する場合には、その遺言の発見者や保管者は、家庭裁判所に対して、遺言の検認手続の申立てをしなければなりません。
検認手続は、発見後の遺言書の偽造・変造を防ぐために行われるものであり、家庭裁判所は、遺言書の要旨、筆記用具、内容、日付、署名、捺印の情報を記録します。

遺言書に封がされていても、されていなくても、検認の申立てはしなければなりませんが、封がされている場合には、開封せずに検認を申し立てなければなりません。
開封してしまった場合には、開封した者に対し、5万円以下の過料(行政罰)が科されます。
また、開封した場合、それが間違ってやってしまったものであったとしても、遺言が偽造ないし変造などされたのではないかという誤解が生じ得ますので、相続人の方は注意が必要です。
 
なお、遺言がない(または見つからない)場合には、当然、法定相続人の間での協議によって遺産分割の内容を定めるということになりますが、相続人間の協議による遺産分割手続が終了した後に遺言書が発見されたという場合は厄介なことになりがちです。
相続人全員で、それまでの協議に基づく分割内容でよいと合意ができればよいですが、誰か一人でも異を唱えたときには、遺言に基づいて、遺産分割をやり直さなければいけなくなります。

このような可能性もあるので、被相続人となる方は、自筆証書遺言を遺すならば、遺言の存在が明確になるように、信頼できる人に預けたり、保管場所を知らせておいたりする必要があります。
また相続人においては、後々に手続のやり直しということにならないよう、被相続人が亡くなったら、まずは遺言が残されてないかを念入りに確認しておく必要があるでしょう。


検認をしなくてもよい公正証書遺言とは?

検認手続が必要なのは、自筆証書遺言を残した場合です。
公正証書遺言』を残した場合については、検認手続が要求されません。
これは、公証人という法律の専門家が内容をチェックして作成されるため、形式面の審査が不要と考えられるからです。

また、公正証書遺言については公証役場に原本が保管されます。
そして、相続人が被相続人の亡くなった後に公証役場に問い合わせると、被相続人が公正証書遺言を作成しているかどうかを検索してもらうことができ、作成されている場合には、遺言書の謄本の交付を受けることもできます。
そのため、万が一、被相続人の手元にあった遺言書が紛失していたとしても、遺言を確認できるので安心と言えます。

ただし公正証書遺言は、遺産の額に応じた作成費用がかかりますし、公証人の面前で証人2名の立会いのもと作成しなければなりません。
形式的要件を満たせば自分だけで作成ができる自筆証書遺言と比べると、手間もコストもかかるので不便といえば不便です。

なお、先日成立した民法の相続法分野の改正によって、自筆証書遺言の形式に関する要件が緩和されるとともに、自筆証書遺言を法務局に保管してもらえる制度が創設されました。
そして、この自筆証書の保管制度を利用する場合には、遺言の検認も不要とされています。
改正法は2020年7月までに施行されることになっていますので、改正法の施行後は、この遺言の保管制度を利用することも選択肢の一つになるでしょう。

もっとも、この制度も、第三者によるなりすましなどの防止のため本人が法務局に赴いて手続きをする必要があるなど、一定の手続的負担があります。
また、自筆証書である以上、遺言の内容に法律上の問題がないかについては留意する必要があります。
いずれにせよ、相続の生前対策は、専門家のアドバイスをよく踏まえて行うことをおすすめします。



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