『花咲か爺さん』の遺産が"ポチ"だったら② ―信託制度の利用について―

18.02.09
業種別【不動産業(相続)】
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前回、『花咲か爺さん』の遺産が"ポチ"だったら? という仮定のもとで、お話をしました。 

「息子に託すにしても、ちゃんと世話をしてくれるのかどうか……」。 
そんな不安に応える策として近年注目されているのが、"信託"という制度の利用です。 

第2回の今回は、『花咲か爺さん』の登場人物を例に"信託"について、ご説明していきます。
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"信託"とは? 

"信託"とは簡単にいうと、委託者(この場合はおじいさん)が信頼できる人(=受託者)に財産を移転し、受託者が委託者の設定した信託目的に従って、その財産の管理や処分などを行う制度のことをいいます。 

では、『花咲か爺さん』を例に見ていきましょう。 
おじいさんは、元気なうちに息子と下記のような"信託契約"を結びます。 

まず、おじいさんは息子に対し、 
(1)ポチが天寿を全うするまで、お金をきちんと管理すること 
(2)ポチの飼育を信頼できる団体などに委ね、飼育状況を管理し、必要な飼育費用を支払うこと 
(3)管理しているお金の中からポチの飼育費用を支払うこと 
を委託します。 
そして、"ポチが天に召されたら、残ったお金を息子が受け取れる"という仕組みにするのです。 

お金の管理とポチの世話を分離する! 

この仕組みの最大の"肝"は、お金の管理とポチの世話を分離するところにあります。 

おじいさんとしては、"遠く離れた息子が本当にポチの世話をしてくれるかどうか"が心配です。 
そのため、ポチについては"息子よりもポチを大切にしてくれる人"に任せた方が安心でしょう。 

しかし、その人にポチのためのお金まで委ねてしまっては、お金に気を取られてポチのお世話が疎かになる不安があります。 
そこで、お金は息子に委ねて管理を依頼するとともに、ポチが元気なうちは使い込まないよう信託契約で拘束しておきます。 
その一方で、ポチが死んで天国でおじいさんと一緒に暮らせるようになった後は、残った財産は息子のものとします。 

このようにすることで、息子から見れば"ポチのお世話もお金の管理もきちんとすれば、おじいさんの遺産を手にすることができる"というモチベーションを得られるのです。 


安心して任せられる人を探しておこう! 

しかし、ペットに関する問題で万能策のようにいわれる"信託"でも、越えなければならない壁があります。 

それは、ペットの飼育を委託することになる、"信頼できる団体"を見つけることが、現実的になかなか難しいということです。 
最近では、動物愛護団体や老犬・老猫ホームが受け皿になってくれることもあるようです。 
しかし、 
「家族同然に過ごしてきたポチの世話をこれまで何の繋がりもなかった団体に委ねてしまって本当に大丈夫なんだろうか……」 
という大きな不安が最後まで残ります。 

これは、ペットに関する悩みに限らず、"信託"という制度を利用する際には必ず向き合わなければならない問題です。 
「この人に任せておけば大丈夫!」と思える人がいてくれて初めて、"信託"という制度のメリットが最大限の効果を発揮します。 

相続対策においては、"メリットとデメリットのどちらも見据えて、遺言や信託などあらゆる制度の利用を考えていくこと"が、とても大切なのです。 



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