もしも「わらしべ長者」の長者さんに息子がいたら…!? 相続対策は今そこにある危機

17.08.04
業種別【不動産業(相続)】
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「父さんも母さんも元気だし、我が家ではまだまだ先の話…」
なんて、高をくくってはいませんか? 

相続問題は“争族”問題。
今、そこにある危機だと捉えて対策しておくべきです!
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「わらしべ長者」は“争族”問題のはじまり!? 

昔々、あるところに、正直者だが貧乏な男が住んでいた。この男、観音様のお告げにしたがい、一本の藁を使って、最終的には長者さんのきれいな娘さんと全財産をもらったとさ。めでたしめでたし。 
「わらしべ長者」のハッピーエンディング。 


ところで、仮にこの長者さんに息子さんがいた場合、この話はハッピーエンドで終わったでしょうか? 

息子さんからすれば、長者さんの家系で代々受け継がれてきた財産を、突如出現したどこの馬の骨ともわからない男にすべて持っていかれたわけですから、さぁ大変。 

“父さんも、こんな男に全財産をあげるなんて、呆けてしまったのだろうか…こんなことなら、事前に我が家の財産をどうするか話し合っておけばよかった…”と、さぞかし後悔したことでしょう。 

しかし、こうなってしまってはもう、後の祭りです。 

…と、有名な昔話を取り上げてみたのは、歴史の“if”がおもしろいからというわけではなく、これと似たようなご相談を受けることがよくあるからです。 

「父が、素性の知れない第三者の口車に乗せられて、いつのまにか自宅を売ってしまっていて…」 
「母が、気づかないうちに預金を引き出して、電話をかけてきた『オレだよ、オレ』と名乗る男に言われるがまま振り込んでしまって…」 

こうなってしまうと、周囲が気づいてからではもう遅い、というケースがほとんど。
手の打ちようがなく、何もできないのです。 


“晴天の霹靂を予防するための相続対策”の重要性 

このような事態を招く最大の原因は、家族や会社で築き上げてきた財産を、今後どう管理し、将来に残していくかをよく話し合っておかずに放置した点にあります。 

高齢になっていく父や母に財産の管理を任せっきりにしておくと、気づいたときには2人とも判断能力が衰え、財産を散逸している…ということは、決して他人事でもなければ、昔話の世界の話でもありません。 

特に日本人は、両親が存命のうちに亡くなった後の話をすることをタブー視する風潮があるせいか、両親の死後、相続人間で遺産をめぐって大いに争う「争族問題」が勃発するケースが非常に多く見られます。 

そのほとんどは、事前に関係者同士で話し合いをしていれば防ぐことのできたトラブルばかりです。 

「わらしべ長者」の長者さんのご子息のようなことにならないよう、ぜひ “トラブルを予防するための相続対策” に目を向けてみませんか? 

「相続対策」といえば相続「税」対策を考える方が多いですが、親族間のトラブルを防ぐ予防策として考えることの重要性が、昨今ますます高まっています。 

そして、このようなトラブルを事前に防ぐ最善かつ最先端の方法として最近注目されているのが、「民事信託」という制度の利用です。

次回は、民事信託を利用した相続対策について、具体的な事例を取り上げながら、そのメリット・デメリットを見ていきたいと思います。 


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