がん治療と仕事の両立支援の取り組みを知り、患者さんに伝えよう

17.04.07
業種別【医業】
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平成29年2月初旬に、内閣府が実施している「がん対策に関する世論調査」の結果が公表されました。 

「がんについてあなたが知っていること」という項目の調査結果は、以下になります(パーセンテージは各項目について知っている人の割合)。 

(1)「日本では、死亡者の約3人に1人が、がんで死亡している」…43.4%(前回43.6%) 
(2)「日本では、約2人に1人が、将来、がんにかかると推測されている」…31.3%(前回26.7%) 
(3)「がん全体の5年生存率は50%を超えている」…29.5%(前回24.3%) 

(2)(3)の項目は前回より5%前後、知っている人の割合が増加しています。がんの現状に対する認知度は上昇しています。 

一方、「がんと診断されて5年後に生存している患者の割合(5年生存率)は50%を超えている」ことを、「7割以上の人が知らない」とも読み取れます。
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平成15年に発表された「がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告書」には、「周囲の病気に対する理解と知識が乏しく、腫れ物に触るようで、普通に接してもらえないことが辛い」とのがん体験者の声がありました。 「がんは身近な病気」という認識が当たり前になることは、患者さんが日常生活を送るにあたって、大きな力になります。 

がんの患者さんにとっては、治療と生活を支えるために働き続けることができるのかどうかが大きな課題となります。その一方で、治療と仕事との両立支援の取り組みも始まっています。 

国立がん研究センターの情報サイトでは「がんと仕事のQ&A」のページで、「採用面接でがんの既往を話すべきか」「通院治療の必要性を面接でうまく伝えたいがどうすればよいか」「がん患者の再就職を支援する制度を教えてほしい」など、がん患者が就労に当たり直面するさまざまな悩みについて、わかりやすく具体的に回答しています。企業人事担当者の意見、がん患者の体験談も掲載されています。 

また、平成25年度からは、厚生労働省が「長期にわたる治療等が必要な疾病を持つ求職者に対する就職支援モデル事業」として、ハローワークによるがん患者の職探し支援サービスを開始しました。大学病院などを有する自治体のハローワークが中心となり、キャリアカウンセリングの専門知識と国家資格を有するキャリアコンサルタントが、がん患者のキャリア支援に当たっています。 

かかりつけの患者さんががんにかかり、仕事との両立について悩んでいるのであれば、これら支援体制について伝えるとよいのではないでしょうか。 


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●プロフィール● 
藤原恵子(ふじわら・けいこ) 
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。