将来発生する債務まで保証する『根保証契約』が必要なケース

26.09.29
ビジネス【企業法務】
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会社を経営するなかで、物件を借りたり金融機関から融資を受けたりする場面があります。
その際、状況によっては『根保証契約(ねほしょうけいやく)』を結ぶこともあります。
通常の保証契約が契約時に指定した特定の債務のみを対象とするのに対し、根保証契約は、今後の継続的な取引関係のなかで発生する『不特定の債務』が対象になります。
特に中小企業の代表者は、根保証契約の締結を求められる傾向にあります。
根保証契約の基礎知識や、会社運営で必要になる具体的なケースなどについて、2020年の民法改正で設けられたルールを踏まえながら解説します。

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継続的な関係を築く場面で結ぶ根保証契約

根保証は1回きりの特定の債務ではなく、将来にわたって増減する不特定の債務をまとめて保証する仕組みです。
会社運営において、根保証契約は主に継続的な関係を築く場面で利用されます。

たとえば、会社が金融機関から「当座貸越」や「事業用リボルビングローン」など、一定の枠内で繰り返し資金を借り入れられる融資枠を設定することがあります。
この際、金融機関は貸し倒れによる損失リスクを防ぐため、会社の代表者個人に対して根保証契約を求めることがあります。

また、オフィスや店舗の賃貸借契約も、継続的な取引の一種です。
家賃の支払いは毎月発生しますし、将来的に家賃を滞納する可能性や、退去時に原状回復費用が発生する可能性もあります。
契約した時点では「将来いくらの支払いが発生するか」が不確定であるため、物件を借りる際に保証人を立てる場合、その保証人は、実質的に根保証契約を結ぶことになります。

さらに、会社が新しく社員を雇う際、社員の親族などに「身元保証書」の提出を求めることがあります。
これも根保証契約の一つです。
万一、その社員が横領したり、業務上のミスをして会社に損害を与えたりした場合、身元保証人が損害賠償責任を負うことがあります。
入社時点では損害額がわからないため、根保証契約によって、将来の不特定の債務を保証する形になります。

民法改正で定められた個人を守る新ルール

これまで、根保証契約は性質上、保証人になった個人が想定以上の保証責任を背負うリスクがありました。
そこで、個人に過度な負担がかからないよう2020年に民法が改正され、個人が保証人となる「個人根保証契約」について規制が設けられました。

設けられた主なルールは「極度額(きょくどがく)の設定」「元本確定事由の導入」「公証人による保証意思確認手続」の3つです。

まず、「極度額」については、保証人が支払う責任の上限額(極度額)を、書面や電磁的記録(電子契約など)で明確に定めなければならなくなりました。
「極度額:1,000万円」のように具体的な金額が明記されていない個人根保証契約は、無効となります。

同時に、保証する金額が固定される元本確定事由のルールが設定されました。
元本確定事由とは、保証人の負担が際限なく拡大することを防ぐため、一定の事由が発生した時点で、保証の対象となる債務の範囲を確定させるルールです。
具体的には、保証人が死亡したり、破産したりした時点で、それ以降に発生した新しい債務は保証の対象外となります。

そして、事業用の融資について、経営者以外の個人(友人や親戚など)が根保証人になる場合、契約の前に公証役場で保証人になることの内容やリスクを理解し、本人の意思で保証しようとしているかを公証人が確認する手続が義務づけられました。
この手続を経ていない契約は無効になります。
なお、主債務者が法人である場合の取締役など、一定の関係者は、この手続の対象外です。

会社の代表者が根保証契約を結ぶ際の注意点

会社の代表者が自社の借入や賃貸借契約のために根保証人になる場合、まずは契約書に記載されている「極度額」を必ず確認しましょう。
万一、会社が倒産した場合、経営者個人が、極度額を上限として支払いの義務を負う可能性があります。
自分の資産状況と照らし合わせ、引き受けられるリスクなのかを判断することが重要です。

また、代表者として把握しておきたいのは「経営者保証に関するガイドライン」の存在です。
以前は、中小企業が融資を受ける際に、経営者個人の根保証を求められるのが一般的でした。
しかし、現在では、「法人と個人の資産が明確に分離されている」「財務状況が透明である」といった条件を満たせば、経営者個人の保証なしで融資を受けられる場合があります。
金融機関から提示された内容を十分に確認せずに根保証契約を結ぶのではなく、会社の財務体質を改善し、将来的に個人保証の解除や見直しについて交渉することも重要です。

根保証契約は、将来発生する不特定の債務を保証する仕組みであり、会社が継続的な取引を行ううえで利用されるものです。
一方で、保証人には負担が伴うため、2020年の民法改正によって極度額の設定などが義務づけられ、個人の保護が強化されました。
会社経営において根保証契約を結ぶ際は、仕組みや上限額を正しく理解し、個人が必要以上のリスクを背負わないよう、契約内容を十分に確認しましょう。


※本記事の記載内容は、2026年9月現在の法令・情報等に基づいています。