自社の福利厚生をより充実! 地域のサービスセンターの活用術
社員の働く意欲を引き出し、長く働き続けてもらうための施策として、福利厚生を強化する企業が増えています。
人材獲得のための競争が激しくなるなか、福利厚生によって魅力的な職場環境を整えることは、採用活動でも大きなアピールポイントとなります。
しかし、経営資源に限りのある中小企業にとって、大企業のように福利厚生を充実させるのはむずかしい側面もあります。
そこで検討したいのが、各地域の『中小企業勤労者福祉サービスセンター』への加入です。
コストを抑えながら自社の福利厚生を充実できる地域のサービスセンターについて、解説します。
日本企業の福利厚生費が増加している理由
2026年3月に厚生労働省が公表した福利厚生費に関する調査結果によると、企業が独自に支出した「法定外福利費」は、2025年の1社平均で1,741万9,000円となり、前年から4.8%増加しました。
法定外福利費とは、法律で義務づけられた社会保険料などの「法定福利費」と異なり、住宅手当や慶弔見舞金、レクリエーション費用など、企業が任意で設ける制度にかかる費用を指します。
この数字から、企業が福利厚生への支出を増やしていることがわかります。
特に物価上昇による生活への影響を補うための手当の拡充や、健康経営を意識した医療やフィットネス関連の補助など、社員の生活基盤や心身の健康を支えるための費用が増加傾向にあります。
福利厚生の充実は、社員が安心して生活できる土台となり、会社への愛着や信頼感を育みます。
働きやすい環境は社員の離職を防ぎ、結果として採用や教育にかかるコストの軽減につながるでしょう。
新たに人材を募集する際にも、社員を大切にする会社というメッセージになります。
一方で、中小企業が福利厚生を充実させるための取り組みを進めるうえでは、現実的なハードルも少なくありません。
大企業のように多くの予算や専任の担当者を配置することは簡単ではありません。
新しい制度を立ち上げるには、企画段階から制度設計、実際の運用に至るまで、費用だけでなく時間と手間もかかります。
たとえば、保養所を契約したり、各種のチケット割引を手配したりするには、それぞれ個別に契約を結ぶ必要があり、事務手続きだけでも担当者の大きな負担となります。
独自に制度をつくったとしても、社員の年齢層やライフスタイルによって利用状況に偏りが出やすく、不公平感を生んでしまうという悩みも出てきます。
特に、経営者や人事担当者がほかの業務と兼任していることが多い中小企業では、多様なニーズに応える福利厚生を充実させたくても、そこに割く時間や労力が不足しているという現実があります。
地域のサービスセンターが提供するサービス
こうした中小企業が抱える課題を解決する手段として、活用を検討したいのが「全福センター」が支援する各地域の『中小企業勤労者福祉サービスセンター』です。
全福センターは、中小企業で働く人々の福祉向上を目的に、全国約200カ所の勤労者福祉サービスセンターなどの活動を支援する団体です。
地域のサービスセンターの最大の強みは、地域の中小企業が集まることで生まれるスケールメリットにあります。
1社単独では人数の関係で割引契約を結べないようなサービスでも、地域の複数の企業が共同で利用することで、大企業並みの多様な福利厚生を提供できるようになります。
具体的なサービス内容は地域のセンターによって異なりますが、慶弔時の給付金制度をはじめ、人間ドックや健康診断の受診料補助といった健康管理支援が用意されています。
また、遊園地や映画館、宿泊施設などの割引利用、スポーツクラブの優待といった余暇活動を支援するメニューも豊富です。
さらには、自己啓発のための通信教育費の補助や、資格取得を支援する制度を設けているところもあります。
社員の生活を支える幅広いサービスがそろっているため、特定の社員だけが利用することによる不公平感も生じにくくなります。
コストと手間を抑えて福利厚生を充実させる
中小企業が地域のサービスセンターに加入するメリットは、費用対効果の高さと手間の削減です。
地域のサービスセンターを利用すれば、あらかじめパッケージ化された多様なサービスをすぐに社員へ提供することができます。
これにより、担当者の事務負担を増やすことなく、制度の充実を図ることが可能です。
また、費用の面でも大きな利点があります。
多くの場合、入会金や月々の会費は比較的安価に設定されています。
少ない経費負担で、自社単独で実施するよりも質の高いサービスを導入できることは、経営上の大きなプラスとなるでしょう。
人材不足が加速するなかで、社員が働きやすい環境を整えることは企業にとっての大きなテーマの一つです。
福利厚生を充実させる方法の一つとして、自社で独自の制度を無理につくるのではなく、地域のサービスセンターのような外部の仕組みを上手に活用することも検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2026年9月現在の法令・情報等に基づいています。