『通勤手当の非課税限度額』が改正! 担当者が確認しておきたい変更点

26.09.29
ビジネス【税務・会計】
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働き方やライフスタイルの多様化により、従業員が遠方から時間をかけてオフィスなどの事業場に通うケースも珍しくなくなりました。
この実態に合わせる形で、2026年4月に通勤手当の税務上のルールが変更されました。
特にマイカーや自転車などの「交通用具」を利用して通勤する従業員への支給限度額が見直され、長距離通勤者の非課税枠が拡大されるほか、駐車場代に関する新たなルールも追加されました。
身近な項目である通勤手当のルール変更が経理の実務にどのような影響があるのか、掘り下げていきます。

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通勤距離が長くなると非課税枠が大きくなる

企業が支給する通勤手当は、所得税法に基づき、一定の範囲内であれば所得税などがかかりません。
しかし、定められた非課税限度額を超えて支給した分は給与として課税対象となり、所得税や住民税の計算に影響を与えます。
この非課税限度額の一部が2026年度の税制改正によって変更されました。
具体的には、通勤距離が片道65km以上の自動車などの交通用具を使用した長距離通勤者に対する非課税限度額が引き上げられました。
通勤手当の非課税限度額の引上げは2025年の改正に続いて2年連続となりました。

では、2026年度の改正では、何が変わったのでしょうか。
これまで、片道55km以上の通勤者は一律で月額38,700円の非課税限度額が適用されていました。
しかし、改正後は65km以上の距離について、10kmごとに新たな距離区分が設けられ、それぞれの距離に応じて上限額が引き上げられました。
通勤距離が長くなるほど非課税枠が大きくなる仕組みになり、最も距離が長い片道95km以上の区分では、1カ月あたりの上限が66,400円まで引き上げられます。
長距離を車で通勤する人の負担を踏まえた見直しといえます。
この新しいルールは、2026年4月1日以後に支払われる通勤手当から適用されました。

改正によって駐車場代の非課税枠も加算

今回の改正では、距離に応じた限度額の引上げだけでなく、駐車場代に関する新しい取り扱いも導入されました。
自動車で通勤する従業員のなかには、勤務先の敷地内に駐車場がないため、自分で駐車場を借りている人もいます。
また、最寄り駅まで車で向かいそこから電車に乗るため、自分で駐車場を借りて料金を負担している場合も少なくありません。

改正後は、こうした駐車場などを利用し、その料金を継続的に負担している人について、一定の要件を満たす場合に限り、1カ月あたりの非課税限度額に駐車場代相当額を加算できるようになりました。
加算できる駐車場代相当額は、1カ月あたり5,000円が上限とされており、前述の通勤距離ごとの非課税枠にこの金額を上乗せすることができます。

ここで注意したいのは、すべての駐車場代が対象になるわけではないという点です。
対象となるのは、通勤手当を受け取る従業員が勤務する場所の周辺にある駐車場、あるいは、通勤のために利用する交通機関の駅や停留所などの周辺にある駐車場に限られます。
つまり、通勤経路に直接関係のない場所にある駐車場や、私用が主な目的で借りている駐車場などは対象外となります。
企業側は、従業員がどのような目的でどこの駐車場を利用しているのか、把握しておく必要があります。

公共交通機関と併用している場合の考え方

従業員の通勤手段は一つとは限りません。
自宅から最寄り駅までは自動車を利用し、そこから先は電車やバスといった公共交通機関を利用して会社に向かうという、複数の手段を併用するケースも多く見られます。

自動車などの交通用具と公共交通機関を併用して通勤する従業員に対する1カ月あたりの非課税限度額は、交通用具の使用に応じた非課税限度額と、公共交通機関の合理的な運賃などの額を合計して計算します。
ただし、どれだけ距離が長く運賃が高くても、合算した金額の上限は1カ月あたり15万円と定められています。

ちなみに、電車やバスなどの公共交通機関のみを利用する人の非課税限度額については、従来のルールから変更はありません。
今回の改正のポイントは、交通用具を利用する人のうち、片道65km以上の通勤者に対する非課税限度額の引上げと、一定の要件を満たす駐車場代について、新たに非課税限度額へ加算できるようになったことです。

会社の経理担当者が留意すること

通勤手当のルール変更に伴い、自社の従業員のなかに、今回の改正の影響を受ける人がいるか確認しておきましょう。
距離別の非課税限度額の引上げは、片道65km以上を自動車などの交通用具で通勤している従業員が対象となるため、通勤経路や距離の申告データを見直す必要があります。
新しく加算対象となる駐車場代についても、要件を満たす駐車場を利用し、料金を自己負担している人がいないか、確認しておきましょう。

さらに、給与計算システムの設定も確認する必要があります。
システム側で新しい距離区分や駐車場代の加算機能が正しく動作するように、必要に応じてアップデートや設定の調整を行うようにしましょう。
手作業で給与計算を行なっている場合は、改正後の限度額を反映した計算表を作成し、複数人で確認するなど、計算ミスを防ぐ体制を整えることが重要です。

改正前の非課税限度額を超える通勤手当を受け取っていた従業員などは、課税対象額が減り、手取り額が変わる可能性があります。
税金の計算に関わるため、なぜ変更になるのか、どのような申告が必要になるのかをわかりやすく案内し、手続きの漏れを防ぐようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2026年9月現在の法令・情報等に基づいています。