社員の成長と定着を後押し! 中小企業が取り組むべき人材育成
「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」は、企業が従業員のスキルアップや知識習得のために研修や職業訓練を実施した際に、その費用や訓練期間中の賃金の一部を国が支援する制度です。
近年はDXの推進や技術革新の進展、人材不足への対応などを背景に、従業員の能力開発の重要性がますます高まっています。
本制度を活用することで、企業は人材育成にかかる負担を軽減しながら、従業員の成長を促し、生産性向上を図ることができます。
また、有期契約労働者の正社員化や、45歳以上の労働者のキャリア形成を後押しするなど、多様な人材の活躍を支援する制度として幅広く活用されています。
人材開発支援助成金「人材育成支援コース」
人材育成支援コースは、人材開発支援助成金の代表的なコースの一つであり、企業が実施する教育訓練に対して経費助成や賃金助成を行う制度です。
本コースでは次の4つの訓練メニューが設けられています。
(1)人材育成訓練:
職務に関連した知識・技能を習得させるための10時間以上のOFF-JT(職場外訓練)
(2)認定実習併用職業訓練:
厚生労働大臣の認定を受けたOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
(3)有期実習型訓練:
正社員経験の少ない有期契約労働者等を正社員等に転換するための、OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
(4)中高年齢者実習型訓練:
45歳以上の労働者を対象に、実践的なスキルの習得を目的に実施するOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
【支給対象事業主】
支給対象となるのは、雇用保険適用事業所の事業主です。
企業規模を問わず利用できますが、中小企業と大企業では助成率や助成額に違いが設けられています。
事業主は訓練開始前に職業訓練実施計画を作成し、所轄の都道府県労働局へ提出する必要があります。
また、訓練を適正に実施し、必要書類を整備・保管していることも求められます。
【主な支給対象労働者】
対象となる労働者は、訓練メニューごとに異なります。
共通
・雇用保険被保険者
(1)人材育成訓練
・正規雇用労働者等
・有期契約労働者等 ほか
(2)認定実習併用職業訓練
・15歳以上45歳未満の労働者 ほか
(3)有期実習型訓練
・正社員経験の少ない有期契約労働者等 ほか
(4)中高年齢者実習型訓練
・訓練開始日時点で45歳以上の労働者
・ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを受け、訓練受講の必要性が認められた者 ほか
【支給要件】
中高年齢者実習型訓練をはじめとするOJTを含む訓練では、主に次の要件などを満たす必要があります。
(1)OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせること
(2)総訓練時間数が6カ月換算で425時間以上であること
(3)OFF-JTが通学制または同時双方向型の通信訓練であり、実訓練時間が10時間以上であること
(4)OJTは原則として対面で実施すること
(5)訓練終了後にジョブ・カード様式による職業能力評価を行うこと
また、人材育成訓練は原則として10時間以上のOFF-JTであることが求められます。
上記以外にも、訓練メニューごとに要件が定められていますので、詳しくは要綱をご確認ください。
【対象経費】
助成対象となる経費には、研修機関へ支払う受講料、講師謝金、教材費、施設利用料など、訓練実施に直接必要な費用が含まれます。
また、訓練期間中の賃金の一部も助成対象となります。
なお、eラーニングや通信制訓練については経費助成のみが対象であり、賃金助成は適用されません。
【支給額】
共通
賃金助成額(1人1時間当たり):800円(大企業400円)
賃金要件等を満たす場合、200円(大企業100円)が加算されます。
(1)人材育成訓練
経費助成率
正規雇用労働者等(中小企業):45%
正規雇用労働者等(大企業):30%
非正規雇用労働者等:70%
加算額:賃金要件等を満たす場合、経費助成率15%加算
(2)認定実習併用職業訓練
経費助成率:45%(大企業30%)
OJT実施助成額:20万円(大企業11万円)
加算額:5万円(大企業3万円)
(3)有期実習型訓練 ※正社員化した場合に助成
経費助成率:75%
OJT実施助成額:10万円(大企業9万円)
加算額:賃金要件等を満たす場合、経費助成率25%加算、OJT実施助成3万円
(4)中高年齢者実習型訓練
経費助成率:60%(大企業45%)
OJT実施助成額:10万円(大企業9万円)
加算額:賃金要件等を満たす場合、経費助成率15%加算、OJT実施助成3万円
【申請手続き】
受給に至るまでの手続きは、以下の流れで進めます。
(1)訓練計画の作成・提出
訓練開始日の1カ月前までに、「職業訓練実施計画届」および必要書類を各都道府県労働局へ提出してください。
(2)訓練の実施
計画に基づき訓練を実施してください。
中高年齢者実習型訓練などのOJTを含む訓練では、OJTとOFF-JTを組み合わせて実施し、訓練終了後にジョブ・カード様式による職業能力評価を行なってください。
(3)支給申請
訓練終了日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請書および必要書類を管轄の都道府県労働局へ提出してください。
(4)審査・支給決定
労働局による審査後、支給の可否が決定され、支給決定を受けた事業主に助成金が支払われます。
本助成金の支給回数や支給限度額には一定のルールが設けられています。
まず、1人の労働者に対する支給申請は、1年度(4月1日から翌年3月31日まで)につき3回までとなっています。
また、有期実習型訓練については、同一の労働者に対して1回限りの利用となります。
さらに、1事業所または1事業主団体等が受給できる助成金の総額は、1年度あたり1,000万円が上限となります。
制度を活用する際は、訓練計画や申請スケジュールを事前に確認し、支給回数や限度額を踏まえて計画的に活用することが重要です。
【まとめ】
人材育成は、企業の持続的な成長に向けたもっとも重要な投資の一つです。
事前に訓練計画を作成して労働局へ提出するなどの手続きは必要となりますが、制度を効果的に活用することで、自社の教育環境を大きく前進させることができます。
まずは自社で予定している研修が対象になるかを確認し、計画的な人材育成に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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※本記事の記載内容は、2026年7月31日現在の法令・情報等に基づいています。