相続登記の義務化で利用者増加?『不動産引取サービス』の注意点

26.08.04
業種別【不動産業(登記)】
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地方の原野や山林、古い空き家など、売却や活用がむずかしい不動産、いわゆる『負動産』を相続するケースが増えてきました。
こうした手放したいけれど買い手の見つからない不動産を処分する方法として、不動産業者による『不動産引取サービス』が注目を集めています。
このサービスは、売却できない不動産でも引き取ってもらえる画期的な仕組みです。
利用価値のない不動産を相続した人に向けて、不動産引取サービスの仕組みや安全に利用するためのポイントを解説します。

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相続登記の義務化と引取先がない不動産

2024年4月1日から、これまで任意だった相続登記が法律によって義務化されました。
義務化の背景には、不動産の所有者が亡くなった後も登記が変更されずに放置され、誰の土地なのかわからなくなってしまう「所有者不明土地」が全国で増加したことがあります。
所有者がわからない土地が増えると、周辺の環境が悪化したり、民間の取引や公共事業が進まなくなったりするなど、深刻な社会問題に発展します。
この問題を解決するために法律が改正され、相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記をすることが義務づけられました。

地方にある原野や山林、古い空き家などは、市場での需要がほとんどないにもかかわらず、所有しているだけで毎年の固定資産税が発生し、草木の伐採や建物の維持管理といった手間やコストはかかり続けます。

国が土地を引き取る「相続土地国庫帰属制度」も新設されましたが、審査基準が厳しく、すべての土地を引き渡せるわけではありません。
その結果、売ることも手放すこともできない不動産が、一部の人の大きな負担となっています。

困っている相続人向けの不動産引取サービス

売却や活用が困難な不動産を抱える人の助けになるのが、民間の事業者が提供する「不動産引取サービス」です。
このサービスは、不動産の所有者が事業者に一定の金銭を支払うことで、不動産の所有権を事業者に引き取ってもらうというものです。
一般的な不動産売買のように金銭を受け取って売るのではなく、金銭を払って引き取ってもらう点が特徴です。

不動産引取サービスのメリットは、買い手がつかないような土地や建物であっても、金銭を支払えば手放せることにあります。
また、事業者のなかには現地への立ち会いを不要としているケースもあり、遠方に住んでいる場合でも、手続きを迅速に進めることができます。
長年悩まされてきた管理の手間や、税金の負担から解放されることになるため、相続人にとっては一つの有力な選択肢になるでしょう。

ただし、不動産の引取には、それなりの料金がかかります。
土地の面積、建物の状況などによっても大きく料金が変動する可能性があります。
料金設定に明確な基準がないため、利用の際には事前に見積を取ることが大切です。

不動産引取サービスの安全性と潜むリスク

不動産引取サービスの利用者が増加するなかで、気になるのはその安全性です。
国土交通省によると、現時点では大きな被害は報告されていません。
また、不動産引取サービスを行う一部の事業者が、任意団体を設立し、自主的な規制を行う動きも始まっています。

しかし、すべてが安全な取引ばかりとは限りません。
たとえば、後から高額な費用を追加で請求されるといった金銭トラブルや、引き取られた不動産が悪質な業者に転売され、詐欺行為などの犯罪に利用されてしまうケースなどが考えられます。

不動産引取サービスを安全に利用し、トラブルを防ぐためには、契約を結ぶ前に契約書の内容を細部まで把握しておくことが重要です。
特に、追加費用の発生条件や、引取後の管理責任が誰に移るのかなどは明確にしておきましょう。
不明な点は事業者に質問して、解消しておくことをおすすめします。

また、宅地建物取引業の免許の有無も、可能であればチェックしておきましょう。
不動産を有料で引き取る行為は宅建業の範囲外の取引とされているため、「免許があるから必ずしも安心」とはいえませんが、事業者の信頼性を判断する一つの目安にはなります。

さらに、契約もしくは決済後に、速やかに業者名義(または次の転売先)に登記が移転される取り決めになっていることも確認しておきましょう。
金銭を支払ったにもかかわらず、登記が変更されていなければ、法律上の所有者は自分のままとなり、税金や管理の義務が残り続けてしまいます。

不動産引取サービスは『負動産』を相続した相続人の助けになるサービスですが、法律の規制が十分でない面もあるため、複数の会社を比較し、契約内容をよく理解したうえで、信頼できるサービスを利用しましょう。


※本記事の記載内容は、2026年8月現在の法令・情報等に基づいています。