車のペダル踏み間違いはなぜ起きる? 加速抑制装置の搭載義務化も

26.07.28
ビジネス【法律豆知識】
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近年、車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故がニュースなどで頻繁に取り上げられるようになりました。
すでに社会問題化している踏み間違い事故に対し、国土交通省は道路運送車両の保安基準などを改正し、今後の新車に対して踏み間違いを防ぐための装置の搭載を義務づけることを決定しました。
踏み間違い事故の現状や発生する要因を整理したうえで、新しく義務化される安全装置の仕組みと、ドライバーが運転時に気をつけるべきポイントについて、解説します。

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高齢者も若い世代も踏み間違いに注意

アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故は、ここ数年のあいだ、年3,000件前後で推移しています。
公益財団法人交通事故総合分析センターのデータによると、2025年に発生したブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いによる事故は2,926件でした。
踏み間違いによる事故件数自体は横ばい傾向にありますが、その内訳を見ると、65歳以上の高齢ドライバーが占める割合が年々上昇しています。
2023年は49.5%、2024年は52.2%だったのに対し、2025年は53.3%でした。

こうした数字の通り、踏み間違い事故はどうしても高齢者特有の問題としてとらえられがちです。
ニュースで報道される重大な死亡事故や重傷事故の多くに、高齢者が関与しているケースも目立ちます。
たしかに、加齢に伴う視力の低下、反射神経の衰え、瞬時の判断力の低下といった老化による運転能力の変化は、事故を引き起こす大きな要因となります。

しかし、2025年のデータを見てみると、65歳未満の非高齢ドライバーによる踏み間違い事故も1,365件発生しています。

なぜ高齢者ではない若い世代でも踏み間違いが起きるのでしょうか。
主な要因として、運転中になんらかの危険を察知して慌ててしまい、パニック状態に陥ることが考えられます。

人間は想定外の事態に直面してパニックになると、冷静な状況判断ができなくなり、とっさの回避行動をとる際に足元の確認が疎かになります。
急いでブレーキペダルを踏もうとした結果、誤ってアクセルペダルを強く踏み込んでしまい、車が急加速することでさらにパニックが連鎖していく悪循環に陥ります。

また、心理的な「思い込み」も大きな原因となります。
たとえば、駐車場などで車を後退させる際、ドライバー自身はブレーキペダルに足を乗せていると思い込んでいるにもかかわらず、実際にはアクセルペダルに乗せてしまっているケースがあります。
後ろを振り返りながらの姿勢は、身体の軸がねじれるため、無意識のうちに足先の位置が右側にずれてしまうことが少なくありません。

ほかにも、レンタカーやカーシェアリング、あるいは家族や友人の車など、普段乗り慣れていない車を運転するときも、ペダルの配置、ペダル同士の間隔などが異なるため、注意が必要です。

踏み間違い事故を防ぐ装置の搭載義務化

ペダルの踏み間違い事故を防ぐために、国土交通省が道路運送車両の保安基準の改正を行なったことで、2028年9月からオートマチック車(AT車)および電気自動車(EV)に対して、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の搭載が義務化されることになりました。
クラッチ操作が必要なマニュアル車を除き、実質的に国内で販売される乗用車のほぼすべてが対象となります。

「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は、日本で開発された独自の安全技術であり、車に搭載されたセンサーやカメラが障害物を検知している状態で、ドライバーがアクセルペダルを強く踏み込んだ場合、システムが「踏み間違いによる異常な操作」と判定し、エンジンやモーターの出力を抑え、警告音とともに急加速を防ぐ仕組みになっています。

国内で製造されるAT車は2028年9月1日以降の新型車から適用され、輸入車については1年遅れて2029年9月1日以降に製造された車両が対象となります。

ドライバーの安全意識が踏み間違いを防ぐ

しかし、安全装置が義務づけられるとはいえ、現在日本の道路を走っているすべての車がすぐに入れ替わるわけではありません。
また、物理的な限界や特定の条件下ではセンサーが障害物を認識できず、作動しない可能性もあります。
そのため、機械に頼り切るのではなく、ドライバー個人の意識と対策が引き続き重要になります。

ペダルの踏み間違いを防ぐためには、そもそも踏み間違いを起こしやすい状況をつくらないことが原則になります。
運転席に座ったら、まずは正しいドライビングポジションを確保しましょう。
シートの位置が前すぎたり後ろすぎたりすると、足首の角度が不自然になり、的確なペダル操作ができません。

また、運転に適した靴を選ぶことも重要です。
底が厚すぎる靴やハイヒール、脱げやすいサンダルなどはペダルの感覚が足裏に伝わりにくく、操作ミスの原因になります。

さらに、心にゆとりを持って運転することも事故防止のポイントです。
時間に追われて焦っていたり、同乗者との会話に夢中になって運転への集中を欠いたりすると、注意力が散漫になります。
道に迷ったり、イライラしたりしているときも運転操作が荒くなりがちなので、常に冷静さを保ち、パニックに陥る状況をつくらないよう心がけましょう。

アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故は、高齢者だけではなく、すべてのドライバーの問題といえます。
「自分だけは大丈夫だ」と過信せず、常に安全を意識した運転を心がけましょう。


※本記事の記載内容は、2026年7月現在の法令・情報等に基づいています。