女性活躍推進法が改正! 変更点と対応事項を確認
2026年4月以降、『改正女性活躍推進法』が施行され、「男女間賃金差異」「女性管理職比率」といった情報公表の対象や項目が拡大されました。
特に、これまで公表義務がなかった中規模企業にも対応が求められるようになり、経営層・人事担当者の双方にとって、実務に大きな影響を与える法改正です。
今回は、改正の背景から企業規模別の義務内容、公表にあたっての実務ポイント、認定制度の活用まで、企業が取り組むべき対策をわかりやすく解説します。
今回の改正で何が変わったか
『改正女性活躍推進法』は、女性がみずからの意思で職業生活を営み、その個性と能力を十分に発揮できる社会をめざす法律です。
2016年4月の施行時点から段階的に対象企業の範囲などが拡大されており、今回の改正に先立ち、2025年6月には「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。
この改正により、2026年3月末までとされていた女性活躍推進法の有効期限が、2036年3月末まで延長されました。
また、「女性の健康上の特性への配慮」が法の基本的な考え方として位置づけられました。
妊娠・出産・更年期など、女性特有の健康課題に配慮しながら女性活躍を推進することが企業には求められます。
さらに、政府が策定する基本方針においても、ハラスメント対策が新たに位置づけられ、職場環境の整備に向けた国の取り組みが強化されています。
今回の改正で最も注目すべき点は、情報公表義務の対象が拡大されたことです。
企業規模ごとの対応内容は以下のとおりです。
・労働者301人以上
従来から「男女間賃金差異」に加えて2項目以上の公表義務がありましたが、今回の改正で新たに「女性管理職比率」が公表義務の対象として追加されました。
これにより「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」に加えて、2項目以上を公表する必要があります。
・労働者101~300人
中規模企業も、情報公表の必須項目が拡大されました。
これまでは1項目以上を公表する必要がありましたが、改正により「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」に加えて、1項目以上の公表が求められます。
この変更が、今回の改正の大きなポイントといえるでしょう。
・労働者100人以下
引き続き努力義務とされており、法的な強制はありませんが、今後の動向を注視しつつ任意での対応も検討が望まれます。
自社の常時雇用する労働者数を確認し、該当する区分での対応を速やかに進めることが重要です。
なお、「常時雇用する労働者」には、期間の定めなく雇用されている者や、過去1年以上継続して雇用されている有期雇用者なども含まれるため、集計にあたっては対象範囲を正確に把握する必要があります。
公表の実務と認定制度の活用
情報公表の期限は、2026年4月1日以降に最初に終了する事業年度の翌事業年度が開始してから、原則として3カ月以内が目安とされています。
公表先としては、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が推奨されています。
自社のホームページなどでの公表も認められていますが、データベースへの登録は求職者への積極的なアピールにもつながるため、積極的な活用が望まれます。
集計にあたってはいくつかの実務上の注意点があります。
まず、男女間賃金差異は「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分ごとに算出する必要があります。
パートタイム労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間をもとに人員数を換算することも認められていますが、その場合はその旨を明記しなければなりません。
また、女性管理職比率については、一般的には「課長級」以上の役職者(企業の役職体系に応じて判断)に占める女性の割合を公表します。
人事システム上の区分と法令上の区分が一致していない場合もあるため、公表に備えて、社内の雇用管理区分別の賃金台帳や管理職一覧などのデータを事前に整備しておくことが重要です。
また、公表時には数値の背景や改善に向けた取り組みを補足説明する「注釈・説明欄」を積極的に活用することで、求職者や社会からの信頼を高めることができます。
女性活躍推進法には、優良な取り組みを行う企業を認定する「えるぼし認定」制度があります。
えるぼし認定を取得することで、採用力の向上や公共調達における加点、低金利融資を受けられるなどのメリットがあります。
認定マークを求人情報や企業Webサイトなどに表示することで、求職者へのアピール効果も期待できます。
また、2026年4月には新たに「えるぼしプラス」認定が創設されました。
これは、女性の健康支援に取り組む企業を対象とした認定で、具体的には「女性の健康上の特性に配慮した休暇制度」の整備、制度内容の労働者への周知、健康支援に関する研修の実施、相談担当者の選任といった基準を満たすことで取得できます。
これらの認定制度の活用は、単なる義務対応に留まらず、自社の職場環境を社内外に発信する絶好の機会となります。
「法律で求められているから公表する」という受動的な姿勢ではなく、「情報公表を通じて自社の魅力を伝える」という積極的な視点で取り組むことが、持続可能な企業経営につながるといえるでしょう。
※本記事の記載内容は、2026年7月現在の法令・情報等に基づいています。