『勤務間インターバル制度』の義務化を見据えて取り組みたいこと

26.07.07
ビジネス【労働法】
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現在、約40年ぶりの大規模な改正が議論されている労働基準法ですが、そのなかでも注目したいのが、検討項目の一つである「勤務間インターバル制度」の義務化です。
この制度は、仕事が終わってから次の仕事が始まるまでに、一定の休息時間を確保することを企業に求めるものです。
これまでは努力義務にとどまっていましたが、近い将来、すべての企業に対して法的な義務が課される方向で議論が進められています。
人手不足が深刻化するなかで社員の健康を守るためにも、今のうちから業務フローや就業規則を見直しましょう。

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労働基準法の改正と新しい働き方への転換

今回の労働基準法改正に向けた具体的な議論は、2023年に発足した「新しい時代の働き方に関する研究会」から始まりました。
当初は2026年の通常国会での法案提出も噂されましたが、現在はより慎重で深い議論が行われており、実際の法改正は2027年以降になるとの見方もあります。

改正の背景にあるのは、デジタル化による労働環境の変化や、働く人の心身の健康に対する社会的な意識の高まりです。
単に労働時間を短くするだけでなく、労働の「質」と、それを支える「休息」をどう確保するかが問われています。
そうしたなかで、特に注目したいのが、検討項目の一つである「勤務間インターバル制度」です。

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務が終わった時刻から、翌日の始業時刻までの間に、連続した休息時間を設ける仕組みのことです。
たとえば、深夜23時に仕事が終わった場合、11時間のインターバルを設けるルールであれば、翌朝は10時以降にならないと業務を開始してはいけない、ということになります。
この制度の最大の目的は、働く人の睡眠時間とプライベートな時間を物理的に守り、疲労を翌日に持ち越さないようにすることにあります。

2019年の働き方改革関連法による労働時間等設定改善法の改正によって、この制度の導入は企業の「努力義務」となりましたが、依然として導入が進んでいないのが現状です。
厚生労働省による『令和6年就労条件総合調査の概況』によれば、実際に制度を導入している企業は全体のわずか5.7%、「導入予定はなく、検討もしていない」という企業は78.5%にも及びました。

一方で、海外に目を向けると、EU(欧州連合)では適用除外対象があるものの、2003年の改正で「24時間につき最低11時間の連続した休息」が義務づけられています。
日本での義務化においても、EU基準に近い11時間を基本としつつ、業種によっては9時間を最低ラインとする案が検討されています。

義務化を見据えて企業が今取り組むべきこと

将来的に施行される可能性のある「勤務間インターバル制度の義務化」に対応するために、企業がまず着手したいのは、全従業員の「退勤から出勤までの時間」の正確な把握です。
多くの企業は「1日の労働時間」は管理していますが、「勤務と勤務の間の時間」までは意識していないのが現状です。
勤怠管理システムを活用し、何人がインターバル不足に陥っているのか、それはどの部署や特定の職種に偏っているのかを可視化することから始めましょう。

次に必要なのが、業務フローの抜本的な見直しです。
特に、深夜まで残業が発生した翌朝に、早朝から会議やルーチン業務が設定されているようなケースは、制度導入の大きな障壁となります。
インターバルが確保できない場合に「翌朝の始業時刻を自動的に後ろ倒しにする」といった具体的な運用ルールを検討しなければなりません。
しかし、始業を遅らせれば、その分だけその日の終業も遅くなり、また翌日のインターバルが削られるという悪循環に陥るおそれがあります。
これを防ぐには、そもそも「その業務は本当に今日中に終わらせる必要があるのか」「その会議に全員出席する必要があるのか」といった、仕事の優先順位付けと、無駄な業務の削減が必要になります。

特に、早朝の店舗開店や物流、顧客対応が必須となる業態では、勤務時間の組み替えだけでは限界があります。
ITツールの導入による自動化や、交代制(シフト制)の設計変更、あるいはサービス提供時間の見直しなど、事業モデルそのものに踏み込んだ対策が求められる場面も出てくる可能性があります。

勤務間インターバル制度の義務化は、短期的には企業の負荷が増えるように思えます。
しかし、長期的な視点で見れば、社員がしっかりと睡眠をとり、リフレッシュした状態で仕事に臨める環境をつくることは、生産性の向上や離職率の低下などに直結します。
現状を把握し、少しずつ休息に対する意識を変えていくことが、社員の健康を守ることにつながります。
今のうちにできることから取り組んでいきましょう。


※本記事の記載内容は、2026年7月現在の法令・情報等に基づいています。