大規模な設備投資を支援!『特定生産性向上設備等投資促進税制』

26.06.23
ビジネス【税務・会計】
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令和8年度税制改正で創設が予定されている『特定生産性向上設備等投資促進税制』は、企業による極めて大規模な国内投資を支援するための制度です。
日本経済全体で「稼ぐ力」を底上げし、持続的な賃上げを実現するためには、付加価値の高い事業への投資が欠かせません。
国が本腰を入れて企業の背中を押すこの新制度は、生産性の向上を図りたい企業にとって、非常に強力な武器となります。
税制の中身から活用方法、準備すべきポイントまでを解説します。

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大胆な設備投資を促進する税制が創設

日本企業の国際的な競争力を高め、経済の好循環を生み出すためには、国内での投資を活性化させることが急務となっています。
こうした背景から、令和8年度税制改正において、企業を直接的に支援する「特定生産性向上設備等投資促進税制」が創設されることとなりました。
この税制の最大の狙いは、企業による高付加価値を生み出すような大規模な設備投資を促すことにあります。

設備の老朽化に伴う更新ではなく、これまで以上に生産性を向上させる投資を国が強力にバックアップすることで、企業がより多くの利益を生み出すことを目的としています。
また、こうした大胆な投資を、社員の賃上げやさらなる投資へとつなげることも狙いの一つです。

この税制の最大の特徴は、経済産業大臣から確認を受けた特別な「投資計画」に基づいて実施される大規模な国内投資が対象となる点にあります。
企業は、制度を活用することで、取得した設備の金額をその年度に一括して費用にできる「即時償却」か、あるいは法人税額から直接差し引くことができる「税額控除」のいずれかを選択することができます。
税額控除の割合は最大で7%(建物や建物附属設備、構築物については4%)となっており、納税額を直接的に圧縮することが可能です(控除上限は法人税額の20%)。

対象となる投資額の規模はこれまでにないほど大きく、中小企業者等の場合は合計で5億円以上、大企業の場合は35億円以上(設備投資計画期間中の合計額)が設定されています。
従来の設備投資税制が比較的少額の投資もカバーしていたのに対し、この税制は「事業構造を抜本的に変えるような一定規模以上の大規模投資」に焦点を絞っていることを示しています。

対象となる設備は、工場の機械装置はもちろん、工具、器具備品、建物、さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるためのソフトウェアまで、幅広く含まれます。
ただし、それぞれの設備には最低取得価格も設定されており、たとえば機械装置であれば1台あたり160万円以上、工具や器具備品であれば1台あたり120万円以上といった基準を満たす必要があります。
これらの設備は、あくまで自社の事業のために直接使用することが要件となっています。

税制の適用を受けるために必要なプロセス

この「特定生産性向上設備等投資促進税制」は、青色申告を行なっている法人であれば申請することが可能です。
税制の適用を受けるためには、まず将来の成長を見据えた「投資計画」を策定し、経済産業大臣から確認を受ける必要があります。

ここで重要な指標となるのが「投資利益率」です。
この税制では、年平均の投資利益率が15%以上見込まれることが要件の一つとなっており、高額な設備を導入するだけでなく、それがいかに収益性の向上に寄与するかを論理的に証明しなければなりません。

また、投資計画の確認は、2029年3月31日までという期限が設けられています。
確認を受けた日から5年以内に実際に設備を取得し、事業の用に供することが適用条件となります。
つまり、思いつきなどではなく、数年先を見越した経営戦略と、それを裏付ける計画が求められるということです。
そのため、申請にあたっては経理担当者だけでなく、経営層が主体となって事業の将来像を議論し、説得力のある計画書を作成することが重要になります。

「特定生産性向上設備等投資促進税制」は、日本企業が成長するための強力な追い風となります。
投資計画の最終的な確認期限は2029年3月31日ですが、税制の具体的な申請が可能となるのは、関連法案が成立・施行される2026年の夏頃になる見通しで、今後の法案成立・施行および運用公表を確認する必要があります。
まだ時間があるように思われますが、5億円、あるいは35億円という大規模な投資を決定し、15%以上の利益率を見込む計画を策定するには、長い時間と緻密な検討が必要です。
立案から社内の意思決定、そして外部の専門家との連携まで、今から準備を始めても決して早すぎることはありません。
今できることから進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2026年6月現在の法令・情報等に基づいています。