有期雇用労働者等にも正社員と同じ賃金体系を導入する事業主を支援
少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化するなかで企業にとって優秀な人材の確保と定着は最優先課題です。
しかし、多くの職場において正社員と非正規雇用労働者(有期・無期雇用労働者等)の間には、依然として不合理な待遇格差が存在しています。
キャリアアップ助成金「賃金規定等共通化コース」は、同一労働同一賃金の考え方に基づき、非正規雇用労働者に対しても正社員と共通の賃金体系を導入する事業主を支援するものです。
公正な評価と処遇を整備することで、従業員のモチベーション向上と組織全体の生産性底上げを図ることを目的としています。
キャリアアップ助成金 賃金規定等共通化コース
キャリアアップ助成金「賃金規定等共通化コース」は、有期雇用労働者等に関して、正社員と共通の職務等に応じた賃金規定(基本給、手当、賞与など)を新たに設け、適用した事業主に対して助成される制度です。
単に給与を上げるだけでなく、「正社員と同じルールで査定し、同じ水準の賃金を支払う」という仕組み(共通化)を構築することがポイントとなります。
これにより、雇用形態による「納得感のない格差」を是正します。
【支給対象事業主】
以下の要件を満たす事業主が対象となります。
(1)就業規則または労働協約の定めるところにより、その雇用する有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務などに応じた賃金規定等を新たに設け、賃金規定等の区分に対応した基本給等の賃金の待遇を定めていること
(2)正規雇用労働者に係る賃金規定等を、新たに作成する有期雇用労働者等の賃金規定等と同時またはそれ以前に導入していること
(3)当該賃金規定等の区分を有期雇用労働者等と正規雇用労働者についてそれぞれ3区分以上設け、かつ、有期雇用労働者等1人以上と他の雇用する正規雇用労働者1人以上をそれぞれ共通化した区分に格付けしていること
(4)有期雇用労働者等を共通化した区分に格付けされている正規雇用労働者と同等またはそれ以上の区分に格付けし、適用していること
(5)上記(3)(4)の同等またはそれ以上の区分における、有期雇用労働者等の基本給など職務の内容に密接に関連して支払われる賃金の時間当たりの額を、正規雇用労働者に適用される同等の区分における時間当たりの額と同額以上としていること
(6)当該賃金規定等が適用されるための合理的な条件を就業規則または労働協約に明示していること
(7)当該賃金規定等をすべての有期雇用労働者等と正規雇用労働者に適用させていること
(8)当該賃金規定等を6カ月以上運用していること
(9)当該賃金規定等の適用を受けるすべての有期雇用労働者等と正規雇用労働者について、適用前と比べて基本給および定額で支給されている諸手当を減額していないこと
【支給対象労働者】
以下の要件を満たす労働者が対象となります。
(1)就業規則または労働協約の定めるところにより、賃金に関する規定または賃金テーブル等を共通化した日の前日から起算して3カ月以上前の日から共通化後6カ月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等であること
(2)共通化した区分に格付けられている正規雇用労働者以上の区分に格付けされている者であること
(3)賃金規定等を共通化した日以降の6カ月間、当該対象適用事業所において雇用保険被保険者であること
(4)賃金規定等を新たに作成し、適用した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること
(5)支給申請日において離職していない者であること(本人の都合による離職、天災、本人の責めに帰すべき理由による解雇などは除く)
【支給要件】
助成を受けるためには、以下のプロセスを適正に行う必要があります。
(1)共通化の内容
賃金規定等(基本給、賞与、退職金、役職手当など)を改定し、正社員と同一の基準(職務の内容、職能、責任の程度など)により計算し、支給する仕組みを導入すること
(2)賃金の低下禁止
共通化によって、対象労働者の賃金が以前より低下していないこと
(3)実施期間
改定後の賃金規定に基づき、対象労働者に6カ月分の賃金を適正に支払うこと
(4)比較対象
比較対象となる正規雇用労働者(正社員)が1名以上雇用されていること
【対象経費】
本助成金は、規定導入にかかる実費(コンサルタントや社会保険労務士への費用など)を補填するものではなく、「規定を導入・実施したこと」に対して一定額が支給される仕組みです。
ただし、導入にあたっては就業規則の改定や賃金台帳の整備が必要となるため、これらに伴う事務的・労務管理的なコストが実質的な対象になるといえます。
【支給額】
1事業所あたり、以下の金額が支給されます(1事業所当たり1回限り)。
・中小企業:60万円
・大企業:45万円
【申請期間】
賃金規程等共通化後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内とされているため、早い段階から準備を進めることが重要です。
なお、取り組みの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を管轄の労働局またはハローワークへ提出しておく必要があります 。
【おわりに】
本コースは、職務に応じた公正な待遇整備を目指す事業主を支援する制度です。
同一労働同一賃金の実現や、優秀な人材の確保・定着を課題とする企業に最適です。
この取り組みは、社内の評価を可視化し、従業員の意欲やエンゲージメントを向上させます。
受給を機とした体制整備は、生産性の向上や採用力の強化をもたらし、企業の持続的な成長へとつながるでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
※本記事の記載内容は、2026年4月30日現在の法令・情報等に基づいています。