キャンプでは火の取り扱いに注意!『火気乱用の罪』とは

26.03.24
ビジネス【法律豆知識】
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家族や友人と囲む焚き火やバーベキューは、キャンプの醍醐味といっても過言ではありません。
しかし、その楽しいひとときが、火の誤った取り扱いにより、犯罪になってしまうかもしれません。
火の取り扱いに関しては、火災を起こして初めて犯罪が成立するのではなく、火災に至る前段階、つまり「危ない火の扱い方」をしただけでも罪に問われる可能性があります。
その罪とは、軽犯罪法で定める「火気乱用の罪」です。
今回は、アウトドアファンにこそ知っておいてほしい、「火気乱用の罪」の内容について、解説します。

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知らずにやってしまうかもしれない火気乱用

ゴールデンウィークから秋の行楽シーズンにかけては、多くの人がキャンプ場へ足を運びます。
最近では管理の行き届いたキャンプ場だけでなく、より自然に近い環境を求めて「野営」を楽しむ人も増えてきました。

しかし、キャンプ場などの指定された場所以外で火を使う場合には、特に注意が必要です。
地面で直接火を焚く「直火」が禁止されている場所はもちろんのこと、一見して問題なさそうな河川敷や海岸、あるいは森林の入り口などであっても、火の取り扱いには十分注意する必要があります。
アウトドアブームのなかで、マナー違反や不適切な火の不始末が問題視されており、法的な観点からも厳しい目が向けられています。

レジャーや日常生活で火を扱う際に、気にしておきたいのが「軽犯罪法」です。
この法律には「相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火しやすい物の附近で火気を用いた者」と記されています。
この規定が、いわゆる「火気乱用の罪」です。

文言にある「相当の注意をしない」とは、「火災が発生する危険を防止するために、普通の人なら当然払うべき注意を怠ること」を指します。

具体的には、焚き火のそばを離れて放置する、周囲に燃え移るものがあるのに遮蔽物を置かない、すぐに消火できるだけの水を用意していない、といった状況がこれに該当します。
また、乾燥注意報が出ているような日や、炎が煽られるほどの強風下で無理に火を焚き続ける行為も、客観的に見て「相当の注意を欠いている」と判断される可能性が高いといえます。
なお、この罪は実際に火災が発生しなくても、その危険な行為自体で成立するのが特徴です。

軽犯罪でも「前科」に? 違反した場合の罰則

では、実際のキャンプシーンにおいて、どのような行為が火気乱用の罪となるのでしょうか。
たとえば、キャンプ場として整備されていない草むらや、森林に隣接した場所での不用意なバーベキューには注意が必要です。
地面が乾いた落ち葉や枯れ草で覆われている場所で、火の粉が飛ぶのを防ぐ対策もせず、消火用の水も手元に置かずに火をおこせば、それだけで「火気乱用」とみなされるおそれがあります。
また、燃料となるホワイトガソリンやガス缶といった引火性物質のすぐ近くで、むき出しの火(ライターやたばこ、トーチなど)を使用することも非常に危険であり、法の禁止事項に抵触します。

さらに、キャンプや庭先などで、集めた落ち葉を燃やす行為も気をつけなければいけません。
住宅地やその周辺、あるいは森林などで焚き火をし、火が完全に消えるのを確認せずにその場を離れる行為は、典型的な「相当の注意を欠いた」状態です。
たとえ悪気がなくても、通報によって警察が駆けつければ、法律違反として処理される可能性があります。

軽犯罪法に違反した場合に科される刑罰は、「拘留」または「科料」です。
「拘留」とは、1日以上30日未満の間、刑事施設に収容される身柄拘束を指します。
一方の「科料」は、1,000円以上1万円未満の金銭を徴収されるものです。
金額だけを見れば少額に感じるかもしれませんが、略式命令などで刑が確定すれば、いわゆる「前科」として記録に残ることになります。

「火気乱用」で済まない事態とは?

火の取り扱いミスは、軽犯罪法だけでは済まないケースがあります。
もし不適切な火の扱いで他人の所有物を汚したり、キャンプ場の設備を壊したりすれば「器物損壊罪」に問われる可能性があります。

さらに深刻なのは、実際に火が燃え移ってしまった場合です。
焚き火の火の粉が飛んで森林を焼いてしまえば森林法の失火罪となり、建物などに燃え移れば刑法の失火罪という重い罪に問われます。

また、最近ではキャンプでのゴミをその場で燃やして帰る行為も見受けられますが、これは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」で原則禁止されている「野焼き」に該当する可能性があり、非常に厳しい罰則が設けられています。

キャンプにおける火の取り扱いは、マナーの問題ではなく、法律の問題です。
「火気乱用の罪」を避けるためには、まずキャンプ場などの許可された場所で、ルールに従って火を扱うことが大前提となります。
また、風の強い日は焚き火を控える、常に消火用の水を用意する、火のそばを絶対に離れないといったことを徹底することも大切です。


※本記事の記載内容は、2026年3月現在の法令・情報等に基づいています。