不動産登記申請時の国籍記入を検討、手続き上の影響は?

26.02.03
業種別【不動産業(登記)】
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これまでの不動産登記においては、申請時に所有者の「氏名」と「住所」を記入する必要がありました。
今後は、これらに加えて、新たに「国籍」の記入の検討が進められています。
国籍の記入は、不動産登記制度において外国籍者の不動産所有の実態を把握することを目的としており、現在は2026年度の施行を目指して調整中です。
では、国籍を記入するようになると、手続き上はどのような変更が生じるのでしょうか。
不動産の所有者にとっては気になるトピックスである国籍記入が検討されている背景や、市場への影響などについて、解説します。

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国籍記入が検討されている背景とは

現在、法務省は不動産登記規則を改正して、所有権の移転登記などを行う際の申請情報に、所有者の国籍を追加する仕組みを導入しようとしています。
具体的な手続きとしては、売買や相続などで新たに不動産の所有者になる人は、登記の申請時に、所有権移転登記の申請書に自身の国籍を記入する必要が出てきます。

では、なぜ所有権移転登記において、その申請書に国籍の記入が検討されているのでしょうか。
これには、主に二つの理由があります。

一つ目は、国土の適切な利用および管理の観点から、外国人による不動産保有の実態を把握する必要が出てきたということです。
これまで、登記簿だけでは所有者が日本人なのか外国籍者なのかを判別することがむずかしく、統計的な実態把握が困難でした。

たとえば、2025年上半期における東京23区の新築マンションの所有者は、全体の3.5%が日本国外に住所を持つ個人や法人であることがわかっています。
また、内閣府の調査によると、防衛省市ケ谷庁舎や陸上自衛隊の衛生学校など、重要施設周辺で、外国籍者による不動産取得が増えていることがわかりました。

国籍情報を収集することで、どの地域の土地が、どのような属性の人によって所有されているのかを明確にし、国土保全の観点からも適切な政策を立てることが可能になります。

二つ目の理由は、深刻な社会問題となっている「所有者不明土地」の解消です。
所有者不明土地の発生を予防するため、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)により、所有権の登記名義人の相続登記が義務化されました。
不動産の所有権の登記名義人が死亡した場合に適用される準拠法は、その者の国籍によって定まることから、所有権の登記名義人の国籍を登記所において把握することは、相続登記をより適正かつ円滑に実施することにも資すると考えられます。

透明性の向上による不動産市場への影響

不動産登記に国籍が記入されることで、不動産市場にはポジティブな影響が期待されています。

国籍に関する正確な情報を国が収集することで、外国人の不動産取得の実態を把握しやすくし、適切な市場環境づくりにつなげることができます。
国籍情報について、デジタル庁が令和9年度以降に整備する「不動産ベース・レジストリ」に集約することを検討しています。
これらの施策により市場の透明性が向上し、一般の居住者や所有者にとっても安心材料になります。

一方で、実際の登記手続きにおいては、これまで以上に準備が必要になる場面が増えることが予想されます。
特に外国籍者が日本で不動産を取得する場合、国籍の記入だけではなく、国籍を証明する手段として、在留カードやパスポートの提示、あるいは本国の公的な証明書の提出が求められる可能性があります。

不動産登記への国籍記入は、日本の土地管理をより明確にするためのものです。
2026年度の施行に向けて、今後はより詳細な運用のルールが公表されていく見通しです。
不動産を所有している、もしくはこれから不動産の取得を検討しているのであれば、国籍記入がもたらす透明性の高い不動産市場の形成にも注目しておきましょう。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。