2026年の道路交通法改正で何が変わる? 押さえるべき新ルール
2026年4月に予定されている道路交通法の改正は、日常生活に大きな影響を与える包括的な見直しです。
生活道路における速度規制、自転車利用者への取締り強化、運転者の安全確保策の再整理など、幅広い分野でルールが改められる見込みとなっています。
背景には、高齢者や自転車が関わる事故の増加、都市部における交通量や通行形態の変化があり、「事故の抑止」と「道路利用者全体の安全確保」が改正の目的とされています。
今回は、改正の背景と主要な変更点をまとめ、今からどのような対策を講じるべきかを解説します。
道路交通法改正の全体像と見直しの背景
2026年4月に予定されている道路交通法の改正は、歩行者・自転車・自動車が交錯する地域での事故増加を受けた包括的な見直しです。
今回の改正は主に「生活道路の安全確保」「ドライバーの注意力向上」「自転車の法遵守強化」という三つの方向性が軸となっています。
警察庁の統計によると、交通事故死者数の約半数が歩行中または自転車乗用中に発生しており、そのうちの約半数は自宅から500メートル以内という日常生活の範囲で起きています。
特に生活道路での事故リスクは高く、道幅5.5メートル未満の道路では、歩行者・自転車の死傷者割合が広い道路の約1.8倍にのぼることが示されています。
2022年には死亡・重傷事故7,107件のうち、5,201件で自転車側の前方不注意や信号無視、一時不停止などの違反が確認されました。
また、高齢化や都市部の交通量の偏りといった要因も無視できません。
高齢歩行者や子どもの事故は自宅周辺で多く発生しており、「生活圏の交通安全」の重要性が再認識されています。
こうした状況を踏まえ、警察庁は政府の「交通安全基本計画」や関連検討会資料のなかで、事故抑止や歩行者保護を重視する構造的な対策の必要性を示してきました。
今回の見直しは、個人のドライバーだけでなく、企業の社用車運転、従業員の通勤経路管理にも影響を与えることが想定されます。
日常に影響する主要改正ポイント
2026年改正の中心となるのが、生活道路における時速30キロメートル規制の全国導入方針です。
警察庁の検討会資料では、道幅5.5メートル未満、中央線がない、法定速度を示す標識がないといった条件を満たす道路を対象に、法定速度を30キロメートルとする案が示されています。
実際に導入されれば、一般道路の法定速度(60キロメートル)との関係で大幅な制度改正となります。
なお、この全国導入は現時点では法案段階であり、施行時期や対象範囲は確定していません。
30キロメートルという速度設定には明確な根拠があり、衝突速度30キロメートル以下では歩行者の致死率が1%前後に対し、40キロメートルでは約5%、50キロメートルでは17%以上に急増します。
事故抑止効果が科学的に裏付けられていることが、速度低減政策の背景となっています。
次に、自転車への取り締まり強化です。
2026年から、自転車の交通違反に対して「青切符」制度が導入されます。
対象となる違反は113項目にのぼり、信号無視や一時不停止、通行区分違反、携帯電話使用などが含まれます。
反則金額は警察庁の検討会資料(案)で示されており、信号無視6,000円、一時不停止5,000円などがあげられています。
16歳以上の自転車利用者が対象で、違反を繰り返す場合には講習受講が義務づけられます。
また、2023年改正道路交通法の規定に基づき、自動車が自転車などを追い越す際の新たな「側方間隔の確保義務」も2026年までに施行される予定です。
十分な距離が確保できない場合は、安全な速度まで減速することが義務化され、違反すると拘禁刑または罰金の対象となります。
さらに、改正では歩行者保護の徹底も図られます。
交差点や横断歩道手前での徐行義務が整理され、歩行者の通行を妨げないための運転者責務が明確化されます。
ながらスマホに関する罰則強化も検討されており、企業の社用車運転ルールにも影響する見込みです。
そのほか、普通仮免許の取得年齢を18歳から17歳6カ月に引き下げる案も検討されていますが、法改正としては未確定であり、今後の審議の動向に注視が必要です。
今回の道路交通法改正は、個別の規制強化にとどまらず、交通安全全体の底上げを目的とした幅広い見直しです。
生活道路の速度制限、自転車違反の取締り、側方間隔義務、歩行者保護策など、日常生活に直結する改正が多く含まれています。
企業は従業員への周知や社用車運転ルールの見直し、個人は通勤・通学ルートの再確認など、早めの準備を進めることが重要です。
※本記事の記載内容は、2026年1月現在の法令・情報等に基づいています。