ガソリン税廃止でどうなる? 社用車を電気自動車にするメリット
「カーボンニュートラル」や「SDGs」といった環境への配慮は、今やすべて企業の重要な経営課題となっています。
近年は、社用車を従来のガソリン車から電気自動車(EV)へ切り替える企業も増えてきました。
社用車のEV化には、税金面での優遇や日々の燃料費を抑えられるといったコスト的なメリットがあります。
一方で、2025年12月31日には、長らく議論されてきたガソリン税の「暫定税率」が廃止される大きな動きもあります。
こうした社会的な流れを前提として、社用車をEV化するメリットとデメリットを考えます。
補助金や優遇措置など恩恵を受けられるEV化
昨今、環境問題への取り組みは企業の社会的責任の範疇を超え、投資家や金融機関が企業を評価するうえでの重要な指標にもなっています。
CO2を排出しないEVを社用車として導入する姿勢は、取引先や消費者、さらには求職者に対しても『環境に配慮する先進的な企業』という印象を与えるでしょう。
もちろん、社用車のEV化には、イメージアップ戦略だけではなく、コスト削減という実利的なメリットもあります。
まず、コスト面の最大のメリットが「節税効果」です。
EVを購入する際、国や地方自治体から「補助金」が支給されるケースがあり、購入時の持ち出しを直接的に軽減することができます。
たとえば、国のEV補助金は「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」という名称で、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)などの購入に対して、交付されます。
補助額は、EVが上限90万円、小型・軽EVが上限58万円です。
個人はもちろん、法人や地方公共団体も対象となっており、2025年度補正予算で実施されているCEV補助金に関しては、補助対象となる初度登録(届出)期間が2026年2月1日まで、交付申請書の受付期間が2026年2月13日までとなっています。
この期限に間に合わなかったとしても、CEV補助金は毎年新しい制度として継続されるため、2026年度に関しても、動向を注視しておきましょう。
ほかにも、地方自治体でも補助金や優遇措置を設けている場合があるので、確認しておくことをおすすめします。
たとえば、東京都では、FCV・EV・PHEVを購入する個人や事業者に対して、経費の一部を助成する「FCV・EV・PHEV車両・燃料電池自動車等の普及促進事業・電気自動車等の普及促進事業」を行なっています。
2025年度申請の受付締切は2026年3月31日です。
さらに、「エコカー減税」や「グリーン化特例」などにより、購入時や毎年の自動車税、自動車重量税が大幅に軽減あるいは免除される可能性もあります。
暫定税率廃止でEV化の緊急性が薄れる?
コスト面では、「燃料費の抑制」もメリットの一つです。
EV車両でガソリン車と同じ距離を走る場合、ガソリン代よりも電気代の方が安価な傾向にあります。
特に自社の事業所に充電設備を設置し、電力会社との契約プランを変更したうえで、電気料金の安い夜間に充電するなど、一定の工夫をすれば、燃料費は下がる可能性があります。
ガソリン価格の変動に一喜一憂する必要がなくなる点も、経営の安定化に寄与するでしょう。
ただし、EVの車両本体価格は同等クラスのガソリン車と比較した場合、高額な傾向にありますし、社用車として本格的に運用するには、事業所に充電設備を設置する必要もあります。
複数台を同時に充電する場合や、急速充電器を設置する場合には、相応の設備工事の費用も予算に組み込まなければなりません。
こうした初期コストの高さはデメリットといえるでしょう。
また、運用面での課題もあります。
ガソリンスタンドに比べ、公共の充電スタンドはまだ数が十分とはいえません。
特に地方での営業活動や、長距離移動が多い業種では、充電場所の確保が課題になる可能性があります。
さらに、社用車のEV化を考えるうえでは、「ガソリン税の暫定税率廃止」も無視できません。
通常、ガソリン価格には、本則税率(本来の税率)に加えて、1リットルあたり約25円の「暫定税率」分が上乗せされています。
2025年11月5日には、与野党6党がガソリン税の暫定税率を2025年中に廃止することに正式に合意しました。
この廃止によって、単純計算でガソリン価格が1リットルあたり25円程度下がることになります。
現時点で社用車としてガソリン車を運用している企業にとっては、燃料費の負担が軽減されるため、EVの最大のメリットであった「燃料費(電気代)の安さ」という優位性が、相対的に小さくなる可能性があります。
ガソリン車でもコストが下がるのであれば、高額な初期投資をしてまでEV化を急ぐ必要はないと考えることもできます。
重要なのは、ガソリン税廃止後のコスト変動をシミュレーションしたうえで、中長期的な視点で判断することです。
EVとガソリン車のメリット・デメリットを踏まえ、自社にとって最適な選択を行うことが重要です。
※本記事の記載内容は、2026年1月現在の法令・情報等に基づいています。