広告とゲームが融合! 注目が集まる『アドバゲーム』とは?

25.06.24
ビジネス【マーケティング】
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近年、企業のマーケティング戦略において、新たな潮流として注目を集めているのが「アドバゲーム」です。
アドバゲームとは、広告(Advertising)とゲーム(Game)を組み合わせた造語で、商品やサービスなどをゲームと組み合わせることで、ユーザーに楽しんでもらいながらブランドの世界観を伝える新しい広告手法です。
ユーザーが主体的にゲームをプレイするなかで、自然とブランドへの理解や関心を深めることができる点が大きな特徴といえます。
マーケティング担当者であれば理解しておきたい、アドバゲームの基礎を解説します。

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アドバゲームが注目されている背景と歴史

スマートフォンの普及やゲーム市場の拡大、そして消費者の広告に対する意識の変化などを背景に、「アドバゲーム」が存在感を高めています。
アドバゲームとは広告とゲームを組み合わせた広告手法で、企業が自社の商品やサービス、ブランドイメージなどをゲームのなかに組み込み、ユーザーがゲームを楽しみながら、自然と情報に触れられるよう設計されているものです。

スマホゲームを筆頭に、多くの人々が日常的にゲームをプレイするようになったことで、ゲームが広告媒体としてのリーチ力とエンゲージメント力を高めました。
同時に、テレビCMやバナー広告など、一方的に情報を伝える広告が消費者に敬遠されるようになってきたのもアドバゲームが広まった要因の一つです。
このような背景により、アドバゲームのように個人が楽しみながら、自然な形でブランドに触れる広告手法が受け入れられやすくなってきたといえます。

ただし、アドバゲーム自体は最近のものではなく、昔からあるマーケティング手法でした。
アドバゲームの歴史は意外と古く、1980年代の家庭用ゲーム機時代にまでさかのぼることができます。
1988年には、ファミコン用ソフトとして、マクドナルドのキャラクター・ドナルドが主人公のアクションゲーム「ドナルドランド」が発売されていますし、1999年にはペプシのキャラクター・ペプシマンを起用した同名のプレイステーション用アクションゲーム「ペプシマン」が人気を博しています。
このように、一部の企業が自社製品をPRするために、オリジナルのゲームソフトをリリースする事例は過去にも見られました。
その後、インターネットの普及と共に、オンラインゲームやブラウザゲームといった形でアドバゲームは広まり、さらにスマホの普及とアプリ市場の成長により、新たな局面を迎えようとしています。

大手企業による近年のアドバゲームの事例

今も多くの企業が、さまざまな形でアドバゲームを活用し、マーケティングの効果を上げています。
たとえば、「レッドブル」はエクストリームスポーツやモータースポーツをテーマにした多様なオンラインゲームやモバイルゲームを提供しています。
「ナイキ」はオンラインゲームのプラットフォームである「Roblox」上に仮想空間の「NIKELAND」を構築し、バラエティに富んだミニゲームを楽しめるようにしています。
ほかにも、実在の車種が登場するカーレースゲームや、実際のファッションブランドとコラボした着せ替えを楽しめるファッションゲームなども、アドバゲームの一種といえるでしょう。
少し変わり種としては、2024年にスペインのケンタッキーフライドチキンが、「たまごっち」によく似たフライドチキン育成ゲーム「エドゥアルドっち(Eduardo-chi)」をリリースして話題になりました。

こうした事例からもわかるように、アドバゲームの活用方法は多岐にわたります。
企業の目的やターゲット層、そしてブランドイメージに合わせて、最適なゲーム形式やプロモーション戦略を選択することが重要になります。

また、大切なのはアドバゲームをリリースするだけで終わりにするのではなく、データ収集と効果測定を行うことで、さらに効果の高い施策へとつなげることです。
どれくらいユーザーがゲームをプレイしたのか、何時間ブランドに接触したのか、ゲーム内の特定の行動がブランド認知や購買意欲にどのような影響を与えたのかなどを分析することによって、今後のマーケティング戦略の改善に役立てることができます。

ユーザーがゲームを体験することで、そのブランドに対する好感度や信頼感が高まります。
特に、自社ブランドをテーマにしたオリジナルのゲームは、ユーザーにブランドの世界観を深く理解してもらい、愛着を育むための有効な手段となるでしょう。
そして、面白くて魅力的なアドバゲームは、ユーザー間で口コミやSNSを通じて自然に拡散されるでしょう。
SNSとの連携機能を備えたゲームや、友達と競い合ったり協力したりできる要素を持つゲームは、ユーザー自身が広告をシェアすることにより、広範囲なリーチへと発展する可能性を秘めています。

アドバゲームは、広告とゲームという異なる要素を融合させることで、従来の広告手法にはない新しい価値と可能性をもたらします。
ただし、高いエンゲージメントとターゲット層への効果的なリーチが可能になる一方で、ブランドイメージとの整合性や法規制および倫理的な配慮などは考慮しなければいけません。
慎重に検討しながら、取り組みを進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。