固定資産税の特例措置が2年延長! 適用の要件とは?
2025年度の税制改正において、「先端設備等導入計画」に基づく固定資産税の特例措置の期間が、2027年3月31日まで2年間延長されることになりました。
この特例措置は、企業の設備投資を後押しし、地域経済の発展や活性化につなげることを目的としています。
今回の延長によって、より多くの中小企業が最新の設備を導入し、生産性の向上を図ることが期待されています。
ただし、特例措置を受けるには、適用要件があります。
措置の対象となっている中小企業に向けて、固定資産税の特例措置に関する具体的な内容を解説します。
先端設備等導入計画で導入した設備が対象
2025年度の税制改正は、多岐にわたる項目に及んでいますが、中小企業にとって特に注目すべきなのが、固定資産税の特例措置の延長です。
固定資産税の特例措置とは、「中小企業等経営強化税制」に基づく「先端設備等導入計画」に沿って取得した設備について、一定期間、固定資産税の課税を軽減する制度です。
従来は、2025年3月31日までに取得した設備が対象とされてきましたが、今回の改正により、その適用期限が2027年3月31日まで2年間延長されました。
そもそも中小企業等経営強化税制は、2016年5月に中小企業投資促進税制の上乗せ措置として創設されました。
中小企業投資促進税制は、中小企業が生産性を向上させる設備や、収益力を強化させるための設備などを取得した際に、その費用について特別償却や税額控除を認める制度です。
そのうえで、さらに企業の生産性向上や経営力強化を支援するために設けられたのが、中小企業経営強化税制ということになります。
それでは、今回の税制改正により延長された固定資産税の特例措置の中身を確認しておきましょう。
特例措置は「先端設備等導入計画」に沿って導入された設備に対して適用されますが、この先端設備等導入計画は、事業者が設備投資を通じて生産性の向上や業務の高度化を図るためのもので、市町村の認定を受ける必要があります。
先端設備等導入計画に含まれる具体的な設備としては、160万円以上の機械装置、30万円以上の器具備品、60万円以上の建物附属設備(家屋と一体となって効用を果たすものを除く)、30万円以上の測定工具および検査工具などがあげられます。
なお、これらの設備は、年平均の「投資利益率」が5%以上となることが見込まれるものでなくてはいけません。
投資利益率とは、投資によって得られた利益が、投資額に対してどれほど効率的だったかを示す指標のことです。
5%以上ということは、たとえば160万円以上の機械装置を取得する予定の場合、8万円以上の純利益が出せる見込みであれば、要件を満たしていることになります。
また、生産、販売活動などの用に直接供されるものであることおよび中古の設備は認められず、新品の取得でないと措置が受けられないことにも注意が必要です。
対象の事業者と措置を受けるための要件
措置の対象となる事業者は、資本金の額または出資の総額が1億円以下の法人か、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人もしくは個人事業主です。
ただし、大企業の子会社など、一定の要件に該当する事業者は対象外となる場合があります。
対象の事業者は、市町村が策定している「導入促進基本計画」に適合したうえで、労働生産性を年平均5%以上向上させる先端設備等導入計画の認定を受ける必要があります。
計画の作成には、設備の導入目的や効果、導入後の具体的な数値目標などを詳細に記載する必要があります。
計画の内容が不十分な場合や、市区村の示す要件を満たしていない場合は、認定を受けることができません。
計画の作成にあたっては、中小企業診断士や税理士などの専門家の支援を受けながら、慎重に進めるようにしましょう。
計画の認定を受けた事業者は、「雇用者給与等支給額」を1.5%以上増加すると表明した場合、対象設備の課税標準が3年間、1/2に軽減されます。
雇用者給与等支給額とは、従業員に対して支払う給与・賃金などの総額を指します。
さらに、雇用者給与等支給額が3.0%以上増加することを表明した場合は、課税標準が5年間にわたり1/4に軽減されます。
今回の改正による固定資産税の特例措置の延長は、中小企業にとって設備投資を促進する絶好のタイミングとなります。
2025年4月1日から2027年3月31日までの間に、事業用として設備を取得する予定があれば、特例措置の適用を検討してみてはいかがでしょうか。
この機会を最大限に活用し、最新の設備導入を通じて、企業の競争力強化と持続的な成長を目指しましょう。
ただし、特例措置の適用を受けるためには、中小企業等経営強化法に基づく先端設備等導入計画の策定はもちろん、対象となる設備の要件や、申告手続きについても正確に理解しておく必要があります。
適用を受けるにあたって、不明な点や不安な点があれば、専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。