有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額改定する事業主を支援

25.04.08
ビジネス【助成金】
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キャリアアップ助成金「賃金規定等改定コース」は、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の基本給を3%以上増額するために、賃金規定などを改定し、その規定を適用させた事業主に対して助成金を支給する制度です。
2025年4月から、支給区分の新設や助成額が変更され、加算措置も新設されています。

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キャリアアップ助成金「賃金規定等改定コース」

【対象事業主】
対象事業主は主に下記の条件を満たす事業主です。
(1)賃金規定などを3%以上増額改定し、当該賃金規定などに属する有期雇用労働者等に適用させた事業主(新たに賃金規定などを整備する場合も含まれます)
(2)増額改定前の賃金規定などを、3カ月以上運用していた事業主(新たに賃金規定などを整備する場合は、整備前の3カ月分の有期雇用労働者等への賃金支払状況が確認できることが必要です)
(3)増額改定後の賃金規定などを6カ月以上運用し、かつ、対象労働者について定額で支給されている諸手当を減額していない事業主
(4)支給申請日において当該賃金規定などを継続して運用している事業主


【対象労働者】
対象労働者は主に下記の条件を満たす労働者です。
(1)賃金規定などを増額改定した日の前日から起算して3カ月以上前の日から増額改定後6カ月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
(2)増額改定した賃金規定などを適用され、かつ、増額改定前の基本給に比べて3%以上昇給している者
(3)賃金規定などを増額改定した日の前日から起算して3か月前の日から支給申請日までの間に、合理的な理由なく基本給および定額で支給されている諸手当を減額されていない者


【支給要件】
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定などを3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合に助成されます。
既存の賃金規定などの改定のみならず、新たに規定を作成した場合であっても、その内容が、対象労働者の過去3カ月の賃金の支給実態と比較して3%以上増額していることが確認できれば助成対象になります。
ここでいう賃金規程などとは、以下のように、就業規則や労働協約において賃金額の定めがあるものを指します。


就業規則
例:第〇条(賃金)
契約社員およびパートタイマーの賃金を〇〇のとおり定める……


賃金規定
例:第〇条(賃金)
賃金は、基本給、時間外手当、通勤手当とする

第〇条(基本給)
基本給は、時給によって定める。なお、その金額は本人の能力および経験等に応じ、〇級:〇〇円、〇級:〇〇円とする


賃金一覧表
例:【等級別】1級:〇〇〇円、2級:〇〇〇円、3級:〇〇〇円
※「等級(〇級)」のほか、「見習い」、「一般」、「中堅」等の名称の区分でも可


【支給額】
2025年4月から当助成金の支給額が変更されました。

賃金の引上げ率によって、これまで2区分だった支給区分が4区分へ細分化され、それぞれの助成額が以下のように設定されました。
申請上限人数は、1年度1事業所あたり100名です。

3%以上4%未満:4万円(2.6万円)
4%以上5%未満:5万円(3.3万円)
5%以上6%未満:6.5万円(4.3万円)
6%以上:7万円(4.6万円)
※()内は大企業の場合


【加算額】
2025年4月に昇給制度新設に対する加算措置が導入され、現在2つの加算要件があります。
どちらの場合も、1事業所当たり1回のみ、20万円(大企業の場合15万円)が加算されます。
(1)職務評価(※)を実施し賃金規定などの改定を行なった場合
(2)有期雇用労働者等の昇給制度を新たに設けた場合
※職務評価とは、職務の大きさ(職務内容・責任の程度)を相対的に比較し、その職務に従事する労働者の待遇が職務の大きさに応じたものとなっているかの現状を把握することをいいます。
職務評価の実施方法や内容については支給要領にてご確認ください。


【申請までの流れ】
(1)有期雇用労働者等の基本給を時給、日給または月給に換算します。
(2)金額の多寡の順に一覧表を作成します。
(3)すべての等級の金額が3%以上の増額となるように改定し、実際に、改定後の基本給で給与を支給します(既存の賃金規定などを改定する場合、対象労働者が位置づけられていない等級も、増額改定していることが必要です)。
(4)対象労働者の賃金規定などを改定した(賃金規定などの増額を適用した)後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内に申請します。

なお、キャリアアップ助成金のほかのコースと同様、実施日までにキャリアアップ計画書の届出が必要です。


【おわりに】
有期雇用労働者等について、具体的な賃金額一覧表や職務評価制度を導入していないという事業所もあるのではないでしょうか。
本助成金の利用をきっかけとして整備を実施してみるのもよいのではないかと思います。
多様な働き方が受け入れられるようになっている現在において、どのような雇用形態であってもキャリアアップを目指せる職場環境は、労働者にとって魅力的なものになるでしょう。


https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html



※本記事の記載内容は、2025年4月1日現在の法令・情報等に基づいています。