育児休業取得者や短時間勤務制度利用者の業務代替を支援

25.03.11
ビジネス【助成金】
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両立支援助成金は、仕事と育児、介護、不妊治療などの両立がしやすい職場環境整備に取り組む事業主を支援する制度です。
2024年1月から「育休中等業務代替支援コース」が新設されました。
育児休業や短時間勤務を利用する従業員がいる事業所においては、その期間中に業務を代替する人員の確保が必要となります。
本コースは、そのような業務代替の体制整備への支援を行います。

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両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)

【助成金概要】
両立支援助成金は、仕事と家庭の両立を支援するための制度で、6つのコースがあります。
各コースの概要は以下の通りです。
◆出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
男性労働者が育児休業を取得しやすい環境を整備し、育児休業を取得した場合に支給されます。
◆介護離職防止支援コース
介護休業の取得や介護のための柔軟な就労形態の導入を支援します。
◆育児休業等支援コース
育児休業の取得と職場復帰を支援するためのコースです。
◆育休中等業務代替支援コース
育児休業中の業務代替を支援するためのコースです。
◆柔軟な働き方選択制度等支援コース
フレックスタイム制や在宅勤務制度など、柔軟な働き方を支援します。
◆不妊治療両立支援コース
不妊治療と仕事の両立を支援するためのコースです。

今回は、育休中等業務代替支援コースの詳細を紹介します。

【対象事業主】
中小企業事業主のうち、下記の取り組みを行なった場合に助成金の支給対象となります。
手当支給:育児休業取得者や、育児のための短時間勤務制度利用者の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合
新規雇用:育児休業取得者の業務を代替する労働者を新規雇用(新規の派遣受入を含む)した場合

【支給要件】
主な支給要件は次の通りです。
・対象労働者(育児休業・短時間勤務利用者)の業務を、事業主が雇用する労働者に代替させていること
・業務の見直しや効率化のための取り組みを実施していること
・代替業務に対応した賃金制度を労働協約または就業規則に定め、制度に基づき業務代替期間における業務代替者の賃金が増額されていること
・対象労働者が7日以上の育児休業取得もしくは1カ月以上の短時間勤務制度を利用していること
・育児休業制度などを労働協約または就業規則に定めていること
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出ていること
・育児休業終了後、対象労働者を原則として原職などに復帰させていること

【支給額】
(1)手当支給(育児休業)
以下の合計額を支給
・業務体制整備経費6万円(育休1カ月未満の場合は2万円)
※就業規則整備などを社労士に委託した場合は20万円
・業務代替者へ支給した手当支給総額の3/4(月上限10万円、12カ月まで)
※プラチナくるみん認定事業主は4/5

(2)手当支給(短時間勤務)
以下の合計額を支給
・業務体制整備経費3万円
※就業規則整備などを社労士に委託した場合は20万円
・業務代替者へ支給した手当総額の3/4(月上限3万円、子が3歳になるまで)

(3)新規雇用(育児休業)
育児休業期間中に代替要員が業務を代替した期間に応じて支給
最短:7日以上14日未満 9万円(11万円)
最長:6カ月以上 67.5万円(82.5万円)
※括弧内の金額は、プラチナくるみん認定事業主への割増支給額

(4)有期雇用労働者加算
育児休業取得者・短時間勤務制度利用者が有期雇用労働者の場合は支給額に10万円加算
※業務代替期間が1カ月以上の場合に限る

(5)情報公表加算
自社の育児休業取得状況などに関する情報を公表した場合は支給額に2万円加算

【申請手続き】
支給申請までの主な流れは下記の通りです。
(1)業務効率化の取り組みや、業務代替者に対する賃金増額制度の整備を行います。
(2)原職などへの復帰の取り扱いを就業規則に規定します。
(3)業務代替者への面談や、新たな雇い入れ、派遣による代替要員の確保を行います。
(4)対象労働者の育児休業や短時間勤務制度の利用が開始され、業務代替者の賃金増額や新規雇用を実施します。
(5)対象労働者が育児休業取得者の場合は、原職復帰後に申請します。
※1カ月以上の休業の場合、復帰から3カ月を経過する日の翌日から2カ月以内に申請、1カ月未満の休業の場合、復帰から2カ月以内に申請する。
(6)対象労働者が短時間勤務利用者の場合は、制度利用開始から1カ月経過および1年ごとに申請します。
※1事業主1年度につき、のべ10人まで申請可能です。
※くるみん認定などを受けた事業主は、1年度の上限人数にかかわらず、令和10年度まで延べ50人まで申請可能です。

【おわりに】
2025年4月より雇用保険の新たな給付(育児時短就業給付など)が始まりますが、育児休業の取得者や短時間勤務制度の利用者はさらに増加することが見込まれます。
そういった状況のなか、業務代替者の確保を課題としている事業所も多いのではないでしょうか。
業務代替の取り組みや賃金制度の整備を、この助成金の利用も検討しながら進めてみてはいかがでしょうか。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/


※本記事の記載内容は、2025年2月28日現在の法令・情報等に基づいています。