契約書のリーガルチェックでビジネストラブルを未然に防ぐ!
リーガルチェック(法務確認)とは、契約などを締結する際に、法的な観点から契約書などの内容を確認するプロセスを指します。
多くの企業、特に上場企業などの大手企業では、取引先と何らかの契約を結ぶ際に、リーガルチェックを必須としていることも多く、もはや今日のビジネスを行なっていくうえでは避けては通れない業務といえます。
今回は、リーガルチェックの概要と必要とされる理由、そしてリーガルチェックの進め方を解説します。
なぜ契約書にリーガルチェックが必要か
リーガルチェックを行う目的はいくつか存在しますが、(1)法的リスク回避、ならびに、(2)取引先とのトラブル防止が大きなものとしてあげられます。
たとえば、契約内容や取引のプロセス内に法令違反などのリスクがあった場合、そのまま契約を締結してしまうと、企業の信用を失うことにもなりかねません。
そうしたリスクを回避し、法的に適切な手続きに変更するためには、リーガルチェックで該当箇所を見つけ出し、早期に修正や是正措置を講じる必要があります。
また、法律に違反していなかったとしても、契約書に曖昧な条項や誤解を招く内容が含まれていたために後々トラブルが生じたり、先方から送られてきた契約書に自社にとって不利な条件が一方的に盛り込まれていたりする可能性もあります。
こうした、担当者レベルでは判断がつかない事項についても、リーガルチェックを行うことで、リスクを最小限に抑えることが期待できます。
とりわけ昨今では、企業を取り巻くさまざまな状況が急速に変化しており、それに応じて、法的な整備も進んできています。
「以前は大丈夫だったが、今の法律に照らし合わせると、大丈夫なのか?」といった点も含め、リーガルチェックの重要性は今後ますます増していくと考えられます。
なお、リーガルチェックの対象は多岐にわたりますが、通常の業務では「取引基本契約書」「業務委託契約書」「秘密保持契約書」などの契約書類が代表的なものです。
主なリーガルチェックの進め方
リーガルチェックの主な進め方としては、(1)社内の法務担当がチェックする、(2)弁護士に依頼する、(3)契約書チェックサービスを使用する、の3つが考えられます。
状況や対象となる契約書によって、社内の法務担当によるチェックと弁護士への依頼を使い分けたり、併用したりするケースが多く見られます。
近年はAIを活用した契約書チェックサービスも出てきており、そうしたサービスを活用している企業も増えてきています。
いずれにしても、どれか一つで完璧に対応できるケースは多くないため、それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、状況に応じた適切な方法を選定できるようにしましょう。
以下でそれぞれの進め方について説明します。
(1)社内の法務担当がチェックする
この進め方の最大のメリットは、費用が抑えられる点です。
また、社内の法務担当であれば、自社のビジネス状況を理解しており、柔軟な対応が期待できる、やりとりが社内で完結するといった点も、リーガルチェックをスムーズに進めるうえで役立ちます。
一方で、法務担当者や依頼件数の数によっては、リーガルチェックに時間がかかる可能性があります。
また、法務担当者も基本的な法律知識は備えているとはいえ、最新の情報やより専門的な内容、幅広い分野については十分にカバーしきれないケースもあり得ます。
そのため、社内の法務担当者に加えて、顧問弁護士などにも相談できる体制をとっている企業が多く見られます。
(2)弁護士に依頼する
この進め方のメリットは、何より専門的な知見を得られる点です。
直近の法令改正などの詳細も把握しているため、対応の抜け漏れなどのリスクを最小限に抑えられます。
ただし、外部への依頼となるため、社内で対応するより費用がかかってしまいます。
また、社内の法務担当者とは異なり、ビジネス状況や社内事情に通じているとは必ずしも限らないため、効果を最大限に引き出すためには、弁護士との窓口担当者(社内の法務担当が務めることが多い)が、必要な背景情報を提供することが求められます。
(3)契約書チェックサービスを使用する
サービスをうまく活用することで、費用と工数を抑えることが可能です。
多くのサービスでは、契約書をシステムにアップロードするだけで、不足している条項や自社に不利な条項、過去の同種の契約書と異なる点などをチェックしてくれるため、大幅なスピードアップが見込めます。
一方で、「すべての形式の契約書に対応しているわけではない」「個別の状況に応じた判断ができない」といったデメリットも存在するため、現状では社内の法務担当によるチェックや外部の弁護士への依頼と組み合わせる必要のあるケースが多いといえるでしょう。
ビジネスを適正に進めるうえで、今やリーガルチェックは必須ともいえる業務です。
さまざまなやり方があるため、自社の状況に合った方法を選定しましょう。
※本記事の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。