チケットの高額転売は違法! 注意すべき点を解説
近年、コンサートやスポーツイベント、演劇などの人気チケットを巡る不正転売が大きな社会問題となっています。
インターネット上でフリマサイトやSNSが一般的になり、個人間での売買が容易になったことで、転売をしやすい環境が整ったことも一因といわれています。
今回は、チケットの不正転売の概要ならびに問題点、そして対策について解説します。
不正なチケット転売はなぜ問題なのか
不正転売とは、興行主(主催者)が定めた正規の販売ルートを通さずに、高額で転売する行為を指します。
具体的には、人気のコンサートや舞台、スポーツイベントなどのチケットを、転売目的の業者や個人が買い占め、フリマサイトなどで定価以上の価格で再販売するといった行為が該当します。
こうした行為が横行すると、チケットを本当に求めている一般消費者がチケットを入手できない状況が発生し、本来であれば定価で購入できるはずだったチケットを定価以上の価格で、転売屋から購入することになりかねません。
この場合、定価との差額は転売屋の利益となり、一般消費者は一方的に不利益を被ることになります。
このように、転売目的での購入によって、チケットの適正な流通が阻害されるため、不正転売は問題視されているのです。
こうした状況の改善に向けて、2019年6月14日には「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(通称「チケット不正転売禁止法」)が施行され、チケットの高額転売が禁止されました。
同法は、国内で行われる映画、音楽、舞踊などの芸術・芸能やスポーツイベントなどのチケットのうち、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が明示された座席指定などがされたチケット(特定興行入場券)の不正転売などを禁止する法律で、この法律に違反し、不正転売行為をした場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方の罰則が設けられています。
同法が施行された後は、不正転売が相次いで摘発されており、2020年8月には人気アイドルグループのコンサートチケットをSNS上で不正に転売した20代女性が同法違反で施行後初の有罪判決が下されました。
また、2024年9月にはミュージカルのチケットを高額で転売し、合計1,000万円以上を売り上げたとされる40代夫婦が書類送検されました。
同じ月には、芸能事務所が、個人間チケット売買サイトに対して、不正転売を行なっている出品者の発信者情報開示請求を行なったことが話題になり、興行主側も転売対策を強化しています。
不正転売されたチケットはリスクだらけ
チケットを正規の販売ルートで入手できなかったものの、どうしても観に行きたい場合などに、インターネット上で不正に転売されているチケットの購入を検討してしまうことがあるかもしれません。
購入することで法的に罰せられることはありませんが、不正転売されたチケットにはリスクが多いため、絶対に不正転売チケットを購入しないようにしましょう。
以下は、不正転売チケットを購入した場合のリスクの一例です。
(1)転売チケットでは入場できない場合がある
興行主がチケットの転売を禁止している場合、転売されたチケットは無効とされ、入場できない可能性があります。
また、興行主によっては入場時に本人確認を行うケースもあります。
(2)チケットが届かない場合がある
不正転売チケットをSNSやフリマサイトで購入しお金を振り込んだが、チケットが送られてこないといったケースが報告されています。
(3)公演中止・延期の補償が不十分な場合がある
不正転売で購入したチケットの公演が何らかの事情で中止になった場合、チケット料金は定価分の金額しか払い戻されません。
また、興行主がチケットの転売を禁止している場合は払い戻し自体がされない可能性もあります。
不正転売されたチケットの売買をめぐるトラブルは、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年には、一旦減少したものの、近年、再び増加に転じています。
不正転売されたチケットの購入には、こうしたリスクがあるほか、転売屋から購入することで、転売がより横行するといった可能性もあるため、注意が必要です。
なお、近年は多くのイベントにおいて、正規(公式)のリセールサービスが準備されています。
正規のサービスは興行主の同意を得ており、定価での売買が基本となっているほか、払い戻しなどの補償もしっかりしているため、安心して利用できます。
チケットを購入したものの、急用や急病で行けなくなった場合なども、正規サービスを通じて、買い手を募ることが可能です。
チケットの不正な転売は犯罪です。
転売しないことはもちろん、転売されたチケットを購入しないことが、何よりの転売対策となります。
また、不正に転売されたチケットの購入や利用にはリスクが多いため、チケットを販売・購入する場合は、正規サービスを利用しましょう。
※本記事の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。