優秀な『建築事務員』を手放さないために必要なこと

24.11.05
業種別【建設業】
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建設業の事務員は一般的な事務作業と並行して、建設業に特化した「建設事務」にも携わることがあります。
建設事務は建設にまつわる慣習や法令の知識が必要となり、高い事務処理能力やコミュニケーション能力も求められます。
しかし、建設事務の仕事は「きつい仕事」といわれ、恒久的な人手不足にあり、人材の確保も容易ではありません。
優秀な建築事務員を定着させるために、事業者が取り組むべき施策を解説します。

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幅広い業務に対応する建設会社の事務員

現場の作業に従事する作業員が中心の建設業界でも、正社員のおよそ2割前後は事務職といわれています。
建設会社における事務員の仕事は経理や総務など、他業種でも行われている一般的な事務仕事のほかに、工事の受発注業務や各協力会社への契約、施工管理台帳の処理など、いわゆる「建設事務」や「現場事務」と呼ばれる仕事が加わります。
小さな建設会社であれば、工事の担当者だけでは契約の締結や書類の作成にまで手が回らないことも多く、事務員が各種事務処理をサポートすることがほとんどです。
したがって、建設会社の事務員として働くためには、ある程度、建設業に関連する法令や慣習などを把握しておく必要があります。

経理についても、協力会社への支払手続きや入金管理、作業員の経費精算、データ入力など建設業独自のやり方があり、また、事業年度終了後に必要な決算変更届の提出も建設業ならではの仕事です。

こうした建設事務と並行して、電話対応や来客対応、コピー取りや備品の補充などの仕事も対応する必要があるため、建設会社の事務員は人手が足りない小さい会社ほど、多忙になりがちです。
昼休憩時も電話番をしなければならず、残業も当たり前で、有給休暇も取りづらい状態が日常化しているなど、そういった労働環境から会社を辞めてしてしまう人も少なくありません。

事務員を退職させないためには労働環境の改善が急務になります。
もし、事務員に業務上の大きな負担がかかっているのであれば、適正な工期の設定や業務内容の見直し、作業の効率化などによって是正していきましょう。

事務員が働きやすい労働環境にするためには?

労働環境の改善とは、従業員が働きやすい職場に変えていくことにほかなりません。
建設業は昔から男性中心の社会といわれており、女性の就業率を見てみると、全産業が45.2%であるのに対し、建設業はわずか18.2%にとどまっています。
女性の事務員を採用しても、周囲に男性社員が多いため、働きづらさを感じてしまう人もおり、男性社員のデリカシーのない言動や態度、荒っぽい言葉遣いなどにストレスを抱えてしまう人もいます。
ただし、近年はハラスメントの防止策や女性用トイレや更衣室の完備など、女性の従業員を増やすための施策に取り組んでいる建設会社も増えてきました。
女性事務員を定着させるためには、会社の男女比についても意識を向ける必要があります。

また、建設会社のなかには、今も書類をデータではなく紙で管理しているところがあります。
昔からのアナログ文化のままでは、事務員の負担が増すばかりです。
書類のペーパーレス化は、仕事の効率化はもちろん、コストの削減や情報漏洩リスクの低減などのメリットもあります。
もし、紙によるやり取りを行なっているのであれば、事務員の負担を減らすためにも、ペーパーレス化を検討してみましょう。

幅広い業務を担う事務員は、複数の仕事をこなせる事務処理能力や、社内および関係各所とやり取りをするためのコミュニケーション能力などが求められます。
しかし、高い能力を備えた事務員であっても、仕事内容の割には給与がそこまで高くありません。
建設会社の事務職は一般的な事務職よりも給与が高い傾向にあるものの、離職率が高いのであれば、より高い給与水準への引上げを検討する必要があるかもしれません。
そのほかにも、福利厚生の充実や昇給制度の導入など、事務員の定着のために自社でできることを考えていきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年11月現在の法令・情報等に基づいています。