『ISO認証』を取得するメリットとデメリット

24.09.24
ビジネス【企業法務】
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ニュースなどで『ISO規格』や『ISO認証』といった言葉を耳にしたことはないでしょうか。
ISOとは、スイスのジュネーブに本部を構える「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」という非政府機関の略称で、ISO規格とはISOが定める国際的に統一された製品やサービスなどの規格のことを指します。
そして、ISO認証とは、自社の製品やマネジメントシステムなどがISO規格を満たしていることを証明するための制度で、取得することによって、企業価値や製品の信頼性を高めることができます。
ビジネスチャンスを広げるのであれば取得を検討したい、ISO認証について解説します。

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ISOの定めた製品・マネジメントシステム規格

1947年にイギリスのロンドンで設立されたISOは、製品やサービスについて国際的に統一された規格を作るための非政府機関で、統一された規格を策定することによって、各産業における国際交流を活発化させ、その分野を発展させることを目的としています。

製品の品質やサイズ、機能や安全性などが世界共通の規格によって統一されていれば、異なる国でも安心してその製品を購入したり、使ったりできますし、国際的な取引も円滑に行えます。
もし、品質やサイズがバラバラで、機能や安全性も異なるのであれば、取引の際に大きなリスクを抱えてしまうことになります。

品質や安全性を保証し、製品やサービスの互換性を確保するISO規格は、ISOに加盟する各国の標準化機関の投票によって規格の制定や改訂が決められており、現在は、電気・通信および電子技術分野を除く、全産業において、ISO規格の策定が行われています。

標準化機関とは、各分野の標準を決める団体のことで、ISOには各国ごとに一つの標準化機関が加盟できます。
現在は約170カ国の標準化機関が加盟しており、日本からはJISC(日本産業標準調査会)が加盟しています。

ISO規格には、製品に対してサイズや品質を定めた「モノ規格」と、組織の活動を管理する仕組みについて定めた「マネジメントシステム規格」があります。
モノ規格は非常口のマークやカード、ネジなどがISO規格として定められていますし、マネジメントシステム規格は品質を管理するISO 9001や、環境を管理するISO 14001などがよく知られています。
規格の数は2023年12月時点で2万5,000規格以上あり、それぞれ認証の取得件数は異なります。
ISO認証の取得を検討するのであれば、自社の事業に合う規格について、認証の取得に向けて動いていきましょう。

信用は高まるが相応の手間とコストがかかる

ISO認証を取得すると、企業価値や社会的な信用の向上などのメリットがあります。
「モノ規格」に関する認証であれば、国際的な規格に準じた製品を作っている証になるため、海外企業との国際取引の開拓が期待できます。
ISO認証を取得していることが取引の条件になるケースもあり、認証の取得はビジネスチャンスを広げることにもつながるでしょう。
また、「マネジメントシステム規格」に関する認証であれば、認証を取得するために社内の業務や体制などを見直すことになるため、業務の効率化や組織の活性化にもつながります。

一方で、ISO認証の取得には一定の手間とコストがかかります。
マネジメントシステム規格であれば、取得する認証や適応の範囲を決めたら、ISOが要求する事項を満たすために、社内のマネジメントシステムを構築する必要がありますし、認証機関による審査も受けなければいけません。
審査は取得後も定期的に行われるので、認証を取得して終わりではなく、継続的にシステムの運用を行なっていく必要もあります。
そのほか、規格に応じた書類やマニュアルの作成、担当者の選任、方針の策定など、さまざまなことに対応しなければいけません。

また、取得に際して審査費用もかかりますし、維持費用も必要です。
組織の規模や審査期間、取得する認証によっても異なりますが、認証数が120万以上と世界でもっとも普及しているISO 9001の場合は、1~10名規模の企業で審査料が20~50万円ほどかかるといわれています。
維持や更新のためには一定のランニングコストがかかるうえに、書類の保管管理も行わなければならず、せっかく取得したのに更新を止めてしまった企業もあります。

ISO認証を取得する際には、メリットとデメリットをよく理解し、ISO規格に詳しい専門家と相談しながら、進めていくことをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。