税理士法人エスペランサ

新人の悩みにきちんと対応し、長く働いてもらえる職場に

21.02.02
業種別【美容業】
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美容師免許を取得する人は、毎年約2万人いるといわれています。
その多くが、美容業界へ羽ばたいているにもかかわらず、離職率は高止まりしているのが現実です。
一方で、せっかく採用した新人が、すぐに辞めてしまうため、困っている経営者も存在します。
そこで今回は、新しく入ってきた従業員の定着のために、どのような対策ができるかを紹介します。
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新人の訴えには真摯に耳を傾ける

おしゃれで華やかな世界に憧れ美容学校を卒業し、就職先を決めたものの、思い描いていた現実とは違うことに失望して、辞めていってしまう若者は残念ながら多く存在します。
しかし、せっかく門戸を叩いたのであれば、なるべく長く活躍してもらうことが、本人のためにも、ひいては経営のためにも大切です。

新人が不満をためこんでしまうことが退職につながっていくので、まずはよくある不満の種を理解しておきましょう。

美容業界の離職理由としてよくあるのが、給料・労働時間・勤務条件に満足できなかったというケースです。

確かに、アシスタント時代の給与は、あまり高い手取り額とはいえないかもしれません。
特に、技術の習得に関しては、本人の積極性がものをいう面もあるため、技術を磨くための個人的な練習や、先輩の補助業務などで、お金にならない労働時間が増えることはあるでしょう。

この時期は、仕事以外にもいろいろと覚えることがある時期で、体力的にも精神的にも疲れがたまりやすくなっています。
加えて、使用者側は平等に扱っているつもりでも、自分だけが悪条件のなかで働いているのではないか、と疑問を感じたりもするのです。
不満解消のためにできることは、新人の訴えを『聞く』ことです。

使用者側は、使う・使われる側のギャップをなくすためにも、決して下働きではなく、一人前の美容師になろうとしている一人の従業員として、新人を見てあげる気持ちが大切です。
もしも、不満がありそうだったら、話しかけて真摯に聞く姿勢を見せましょう。

ほかにも、新人が辞める理由としては、実力主義がつらかった、上下関係が厳しくついていけなかった、といった事項がよくあります。
若い世代へは、ある程度の歩み寄りも必要ですが、すでに定着している職場の文化はなかなか変えづらい面もあります。
面接の段階で、しっかりと職場の風土やルールを伝え、それでもよいかを確認しておくだけで、入職したあとの気構えが違います。
最初の段階で、相手の立場になってわかりやすく説明することが、ひいては信頼づくりにもつながるのです。


意外と多い、職業病による退職

さらに、さまざまな薬品や化学物質に触れることで起こる深刻な手荒れやアレルギーが原因で、退職してしまうケースも見られます。
最初は本人も原因がわからないことが多く、「なんとなくおかしいな」と思いながら仕事をしているうちに、気が付けば深刻な状態になっている場合もあります。
こうしたことにならないよう、管理者が注意して見ておく必要があります。

昔の修業を思えば「多少の手荒れなら我慢して、お客さんの髪に触れるときは素手で作業してほしい」といいたくなるかもしれません。
しかし、アレルギーは深刻化することもあり、症状が出ているのに軽く見てはいけません
薬品に直接触れず、手袋をつけて作業すれば、症状が改善して、再発を防げることもあるのです。
せっかく希望の職業に就いたのに、アレルギーで辞めることになるのは非常にもったいないこと。
新人に手荒れの相談を受けたら、病院に行くように伝え、よくなるまでは無理をさせないように気を付けましょう。

また、腱鞘炎、腰痛、膀胱炎などが原因で退職するケースもあります。
アシスタント同士の競争もあるため、「自分だけが休めない」と気を遣って我慢をした結果、病状が悪化して、仕事が続けられなくなることもあるのです。
働く経験が浅い若者は、自分の限界を知らず、無理をしがちです。
体調不良を早めに発見できるようにするためにも、相談しやすい環境を作っておくことが大切です。
新人の相談に真摯に向き合うことも、人が定着しやすい職場づくりの一環になるといえるでしょう。

十人十色の個性を理解しながら、適切にサポートしていくことが、信頼を得る近道です。
改めて『人を大切にする』という視点で経営を見直し、人材の定着を図ってみてはいかがでしょうか。 


※本記事の記載内容は、2021年2月現在の法令・情報等に基づいています。